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【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~

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1月27日(土)、グローバルラボ仙台TSUKUMOの共催により宮城県仙台市のNTT DoCoMo東北支社にてセミナーイベント「バーチャルリアリティ(VR)最前線」が開催されました。この記事ではその後半部分をレポートします。

レポート~その1~はこちら

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
アルファコード代表の水野さんに続き登壇したのは株式会社エクシヴィ代表取締役社長の近藤義仁さん。VRクラスタの方には”GOROman”さんの方がお馴染みでしょう。GOROmanさんは「世界で見てきたVRの今とこれから」と題し、海外のVR業界の動向と今後の展望を披露されました。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
GOROmanさんは子供の頃から「マイコンBASICマガジン」(1982年~2003年まで電波新聞社より刊行されていたPC雑誌。通称ベーマガ)を読みプログラミングに親しみ、長じてからは任天堂のファミコン用立体システム3D SYSTEMやWiiコントローラーを魔改造しまくり、現在のVRブームのはるか以前より”ゲームの中に自分が入り込む”ようなシステムを開発していました。しかし2012年に遂にクラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」にてOculus Riftの開発者版「DK1」の開発プロジェクトがスタート。速攻でBack(出資)したGOROmanさんは、実際にDK1が届いた際、視界全体にカオス空間が広がる視野角の広さとヘッドトラッキング技術に感動し、以降DK1とノートPCを常に担いで歩く「二宮金次郎スタイル」で飲み屋のお姉さんから上場企業の社長まで出逢った人に片っ端からDK1を被せるVRエバンジェリストとなりました。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
そしてDK1を体験したGOROmanさんは「VRを日本に持ってこなかったら日本が遅れる」と強い危機感を抱くようになりました。そんな折、毎年年明けに米ラスベガスで開催されている世界最大級の家電見本市「CES 2014」にOculus VRがブース出展するという情報を得、即アポイントを取って現地まで向かったところ、なんと当時のCEOのパルマー・ラッキーさんが登場。これもVRクラスタの方ならもうご存知でしょうが、彼は日本のアニメやゲームが大好きなオタクで、FacebookのOculus VR買収により億万長者になった現在もコスプレ姿で日本のイベントに参加するほど。CESでも「日本から人が来た」というだけで出てきたそうで、GOROmanさん的には彼とVRの話をしたかったのに、ただテレビアニメ「ソードアート・オンライン」の話をしまくって終わってしまったとのこと。そこで後日、当時ファミリーマートで展開されていた「ソードアート・オンライン」の一番くじを買い占めてその景品を手土産に改めて渡米し、徐々にパルマーさんと親交を深めていったそうです。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
これが縁でGOROmanさんは自身の会社エクシヴィの代表を務めコンテンツやサービスを開発する傍ら、Oculuc VR(Facebook)にも籍を置き、当時全く予定もなかったOculus Japanを立ち上げ日本のVRムーブメントの先駆者として活動します。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
GOROmanさん率いるエクシヴィが手がけた主な仕事は、VR空間内で初音ミクと会って一緒に暮らせる「Mikulus」、DMM GAMES VRのブースに出展された「刀剣乱舞-ONLINE-」の刀剣男士「三日月宗近」に会える「癒しのVR」、ニコニコ超会議に出展された初音ミクのVRスペシャルライブ、リコーの360度カメラシリーズ「TEATA」と初音ミクのコラボモデル「Miku TEATA」およびその連動アプリの開発と多種多様ですが、最新事例は…

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
ライブ動画ストリーミングプラットフォーム「SHOWROOM」より発表された「バーチャルSHOWROOMER」配信システムの「AniCast」です。これはPCとOculus Rift、Oculus Touchだけで誰でも3DCGキャラクターになりきって動画を配信できるシステムで、SHOWROOMでのギフティングシステム(好きな動画配信者に仮想アイテムをプレゼントできるシステム)に連動した機能も有しています。3DCGキャラクターには配信者の顔や手の動きも反映でき、それに伴い表情も変化するため、これまで以上に簡単に生き生きとした動画配信が可能となります。イベントではデモも披露されましたが、GOROmanさんが「東雲めぐ」(バーチャルSHOWROOMER第一弾で3DCGアニメ作品「うたっておんぷっコ♪」の主人公)になるという超レアな場面を見ることができました。

■世界のVRトレンド
【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
このように様々な仕事を手がける一方、GOROmanさんは積極的に海外視察も行っており、昨年だけでもエストニア、フィンランド、アメリカ(2回)、中国(3回)、韓国に渡航し様々なVR系スタートアップやイベント、スポットを巡ったとのこと。特にエストニア&フィンランド渡航の際はフレンドファンディングアプリ「polca」で渡航費募集が行われたので記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
GOROmanさんはフィンランドではヘルシンキに拠点を置くVarjo Technologiesのオフィスを訪問。同社はOculus Riftを魔改造して超高解像度VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発しており、現時点では視野の一部のみ高解像度ですが、いずれはアイトラッキングして見ている部分だけ高解像度にし、最終的には人の目と同程度の解像度となることを目指しています。既に今の時点でも映像の網目が見えないくらい良質の画質を実現しており、昨年11月にはフィンランド技術庁(現:Business Finland)より670万ドル(約7億5000万円)の大型調達を行いました。ちなみに同社はフィンランドのスタートアップフェスティバル「Slush 17」にもブース出展していましたが、視察に訪れていたイギリスのウィリアム王子も立ち寄ってプロトタイプのデモを体験するなど注目を集めていました(過去記事はこちら)。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
次の中国・深圳市は”キャッシュレス最先端都市”として最近話題ですが、80年代までは自然豊かで長閑な漁村でした。それが国家プロジェクトによって大改造され、近代的なビルが立ち並び様々なIT系スタートアップが集うTechシティへと変貌しました。特にガジェットを開発するスタートアップが多く、メンターがおりプロトタイプ製作からクラウドファンディングによる資金調達、一般販売開始までワンストップで行えるインキュベーションセンターも開設されています。

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深圳市に拠点を置くVR系スタートアップといえば、日本にもユーザーが多い360°カメラ「Insta360」シリーズを開発するArashi Vision。同社は2014年に起業し、その直後にCESで半コマの最小ブースでプロトタイプを出展しすぐに資金調達。それからわずか1~2年で世界中の量販店で販売される360°カメラを次々とリリースしました。

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また、日本ではまだあまり知られていないVR系スタートアップも次々と生まれています。これは総重量88g、厚みもわずか16mmというサングラス型のHMDを開発しているDlodlo(トト)。このサイズで両目合わせて横2400ドット×縦1200ドットの解像度を実現しています。

このようにガジェット開発では活発な深圳市ですが、その一方VR”コンテンツ”の開発レベルはまだまだ残念で、既に国内各所にVRアーケードが設けられているものの、いざコンテンツを体験してみるとVR酔いがひどくプレイしてもそんなに目新しさは無かったそうです。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
一方クオリティの高いVRコンテンツを開発しているのが韓国。もともと韓国はオンラインゲーム大国のため3Dゲームの開発ノウハウを持っており、韓国政府もVR産業に注力し投資を行っています。そのせいか韓国ではVRアーケードが多く、カラオケボックスのようなVRアーケードもあれば街のプリクラショップにもVRコーナーが設けられているほど。加えて韓国内で開発したVRコンテンツを韓国内で展開する”地産地消”だけでなく、中国にVRコンテンツを”卸す”下請けビジネスも行われています。

■VRで変わる未来
これら現在の世界のVRのトレンドを踏まえ、最後にGOROmanさんが考える「VRによって変化する未来」が示されました。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
PCがこの世に出現した時、そのUIは人にやさしくなく初心者には使いづらいものでした。やがてマウスができGUIが出てきてやっと使いやすくなりましたが…

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
そのUIは現実の紙の仕事をPCの世界に模倣した”ペーパーパラダイム”で、オフィスワークでやっていたことをPCに持ち込んだものでした。これは分かりやすくはありましたが、複数のツールやページを表示する際に画面がウィンドウだらけになりAlt+Tab操作を多用することになったり、デュアルディスプレイにしたりとゴチャゴチャと面倒になりました。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
そこでGOROmanさんは、VRの普及によってCUI→GUIときて次に「Spatial(空間)」によるUI「SUI」が登場すると予想。これまでは紙の仕事という「平面」をスクリーン(フレーム)上に再現したUIでしたが、それが空間になることで平面の呪縛から解き放たれ、誰もが直感的にデジタルツールを使用できるようになります。GOROmanさんは「コンピューターが登場する以前、音楽を作る時は楽器を弾かなければならなかったが、コンピューターの出現によりDTMやボーカロイドで曲を作れるようになった。同様に、今までのクリエイティブはCG制作の知識やマウス・キーボードの操作、モニター越しの空間把握などの能力が必要で直感的ではなかったが、今後はVRによってそれらの作業が直感的になり、VRでさらにクリエイティブは加速するだろう」と展望を語りました。

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なお、Googleの「Tilt Brush」やOculus VRの「Oculus Medium」などVR空間内で絵や3DCGを描けるツールは既に複数存在しており、GOROmanさんが提示した直感的なクリエイティブは現実になりつつあります。加えてユーザーがアバター姿でログインして他のユーザーとコミュニケーションやミーティングを行ったり、イベントを開催できる「ソーシャルVR」サービスも百花繚乱状態となっています。

【レポート】GLSセミナー2018「バーチャルリアリティ(VR)最前線」レポート~その2~
例えばこれはFacebookが昨年よりOculus RiftとHTC Vive向けに提供している独自のソーシャルVRサービス「Facebook Spaces」。写真からの自動生成でアバターを作成でき、同じ空間で他のユーザーと話したり、ゲームをしたり、Facebook SpacesにログインしていないFacebook友達とVR空間内からメッセンジャーを通じてビデオチャットしたり、VR空間でオブジェクトを描いたり加工したりできます。アバターのデザインはシンプルなカートゥーン風ですが、口が動いたり、どこかを向いたり、身振り手振りもリアルタイムに反映されるため、アバター姿であっても一緒にいると同じ世界を共有している感覚になります。このことからGOROmanさんは「FacebookがOculus VRを買収したのもSNSをソーシャルVRにする構想で、最終的には皆アバターになって仕事をするのではないか。そしてかつてのCUI→GUIの時のようなパラダイムシフトが起こり、距離を超えた働き方や世界が広がるだろう」と未来予測し講演を締めくくりました。

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