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【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち

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フィンランド・ヘルシンキ発祥のスタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo」が3月29日、30日に東京ビッグサイト東7ホールにて開催されました。今回私はセッションよりも出展ブースの方を重点的に見たのですが、特徴的だったのは会場のあちこちにロボットが展示されていたこと。昨年ヘルシンキで開催された本家「Slush 16」はこのSlush Tokyoの倍以上の面積・規模でしたが、出展されていたロボットなんて工業用と家庭用を合わせてもせいぜい3~4種類くらいなものでした。ところがSlush Tokyoは子供の学習用ロボットや見守りロボット、本格的な大型ロボットと、ちょっと歩けばロボットに当たるくらい様々なロボットが展示されていました。

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【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
これはもうご存知の方も多いでしょう。「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズに登場するAI搭載多脚戦車の「タチコマ」です。これはDMM、karakuri products、海内工業、攻殻機動隊 REALIZE PROJECTの共同プロジェクト「攻殻機動隊 S.A.C. タチコマ 1/2サイズ・リアライズプロジェクト」で開発されたタチコマで、実寸の1/2スケールではありますがちゃんと動いて喋ります。


このプロジェクトは、タチコマをコミュニケーションロボットとして再現し、ロボット・コンテンツの認知向上やイベント、テーマパーク、アミューズメント用途での市場開拓、人材育成などを目指すもの。残念ながら市販はされていませんが、2018年3月末まで商業施設内で接客の実証実験などを行い、社会実装を目的とした環境知能化技術の開発と段階的な機能向上が行われます。なお、4月6日(木)よりI.G.ストア渋谷マルイ7Fにてスマートフォンアプリ「バーチャルエージェント・タチコマ」(iOS/Android)と連携した1/2タチコマによる商品受け渡しサービスが始まりました(サービスの流れについてはこちら)。

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1/2タチコマは買えませんが1/8タチコマなら買えます!こちらは面白いガジェットを立て続けにリリースしている株式会社Cerevoが開発した「うごく、しゃべる、並列化する。 1/8タチコマ」。「攻殻機動隊」関連製品として初となる各関節・ポッド・マニピュレータ・車輪の電動可動を実現しており、玉川砂記子さんの録り下ろしボイスと自然言語により作中同様に会話をすることも可能。さらにスマートフォン操作による走行機能や、話しかけるだけで天気予報やGoogleカレンダーと連携したスケジュールを喋ってくれるネット連携機能、クラウドに接続して学習した情報を他のすべての1/8タチコマと共有し”並列化”する機能も備わっています。既に3月23日より予約受付を開始しており、直販ストア「Cerevo official store」での価格は15万7,400円(税別)。出荷は6月の予定です。

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【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
Cerevoブースにはプロジェクタを搭載したホームロボット「Tipron」も展示されていました。これはスマートフォンアプリの操作で、角度を変えて壁や天井など好きなところに最大80インチのプロジェクションができるロボットです。時間や曜日を指定をしたコンテンツの予約稼動も可能で、待機状態から画面を映し出すまで3段階に変形する機能もあり。変形ロボットが家に来る時代が来てしまった…。こちらの価格は22万9,800円(税抜)です。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
こちらはユカイ工学株式会社のコミュニケーションロボット「Bocco(ボッコ)」。スマートフォンアプリと連動し、メッセージのやり取りや家にいる家族の見守りを手助けしてくれるロボットで、家で留守番をしている子供の声を録音してスマートフォンに届けたり、逆にスマートフォンから声を吹き込んだり、テキストで返事を送ったりすることができます。テキストメッセージを読み上げてくれる音声機能もあり、電話やチャットとはまた一味違った家族間コミュニケーションが行えます。

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別売りの振動センサーや鍵センサーとの連携機能もあり、センサーを玄関のドアに取り付けて、子供の学校の帰りをチェックしたり、鍵の閉め忘れを確認することもできます。これらの機能は子供の見守りだけでなく、離れて暮らす高齢の家族の見守りや行動の促進にも有効で、実際に滋賀県長浜市にて高齢者を対象に生活情報や運動情報を収集し、予防医療や発症リスク低減の研究にBoccoを活用できるか実証実験も行いました。既にオンラインショップや実店舗でも販売しており、その価格はロボットとしては低価格な2万9000円(税別)。サイズも全高195mmと小さく、子供や高齢者でも普通の家電感覚で使用できそうなロボットでした。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
こちらは株式会社MJIのホームロボット「Tapia(タピア)」。先のBoccoと同様にスマートフォンアプリと連動し、不在中の家や留守番中の子供、離れて暮らす家族を見守るロボットですが、顔の部分がスクリーンになっていたり、音声による操作に対応していたり、内蔵カメラで写真を撮ったりと多機能なのが特徴です。また”生活パートナー”という側面もあり、ビデオ通話、スケジュール管理、ニュースの読み上げ、音楽再生、子供に絵本の読み聞かせといった便利機能もあります。

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日常会話には感情表現と好感度システムを搭載しており、ユーザーの接し方でTapiaの表情(?)や応答が変化します。毎日たくさん話しかけると、言葉を覚えてユーモアたっぷりの反応を返すようになるかもしれません。

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目の部分はスクリーンになっており、通話の際はテレビ電話の画面になります。
この「Tapia」は家庭での使用を想定して開発されていますが、ハウステンボスの「変なレストラン」や「変なホテル舞浜 東京ベイ」でコンシェルジュロボットとして接客に使用されるなど、企業にも導入されています。

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こちらは工作とプログラミングを一度に学べる子供向けの組み立てロボット教材「embot」。ダンボールのロボットを組み立てる手作業の工作、電子部品を組み込む電子工作、それを動かすプログラミングと、「もの作り」を総合的に学ぶことができ、完成したロボットはスマートフォンアプリで動かすことができます。

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ロボットの展開図はあらかじめこのように切り抜かれており、これを切り取って組み立てればロボットの”ガワ”は完成。ダンボール製なので好きな色を塗ったり、シールや別パーツを貼ったりと自由な発想で自分好みにカスタムできます。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
作り方の手順は全てマニュアル化されているため教える先生側も楽です。感覚的には説明書を読みながらプラモデルを組み立てるのに近い感じです。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
プログラミングツールはWEBアプリなのでiOS端末でもAndroidt端末でも使用OK。ブロックをつないでロボットを動かしながらプログラミング的思考を学べます。
これは指導マニュアルも含めて学校でのプログラミング必修化を見据えた教材で、既に子供向けイベントでの使用実績があるとのこと。今夏に受注開始予定です。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
こちらはマーズ電機株式会社のレンタルロボット「teleporter」。今回のSlush Tokyoの会場にいたロボットの中では一番リアルで稼働箇所が多く人間に近いロボットでした。

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これの何が凄いって、首が動くうえに…

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
なんと口元付近や頬、上下の瞼まで細かく動くこと。しかも瞼は片方ずつ独立して動きます。

【Slush Tokyoレポート】タチコマからダンボール製まで --- Slush Tokyoの出展ブースで見たロボットたち
シリコンの外装の下はこのようになっています。確かに上瞼、下瞼、頬、顎、口元付近に筋肉に相当する部分に可動パーツがあるのが分かります。展示されているロボットの外装シリコンは未塗装だったのでちょっと不気味に見えますが、実際にはペイントや植毛をして「不気味の谷」を超えるくらいリアルなヒューマノイドロボットになります。ただしこれを販売するとなると1000万円単位と超高額になるので、それよりは安価に抑えられるレンタルで展開していくそうです。

ざっとご紹介しましたが、Slush Tokyoにはこれら以外にも国外の企業も含めもっと様々なロボットがいました。きっと海外から訪れた参加者は「やっぱり日本はロボットが多いなあ」なんて思っていたのではないでしょうか。

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