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【レポート】スチームパンク!工場萌え!模型!XR!どれかにピンと来たらフィンランド第二の都市・タンペレに行くべし!

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現地時間の11月30日(木)〜12月1日(金)にフィンランド・ヘルシンキにて開催された世界最大級のスタートアップ・フェスティバル「Slush 17」の取材のため10日ほど同国に滞在したのですが…

Slush 17全レポート記事はこちらから

実は日程の半分を同国第二位の人口規模を持つ地方都市「タンペレ」で過ごしました。なぜなら年々Slushの規模が拡大するにつれ11月後半~12月頭のヘルシンキの宿泊相場が高騰しており、ホテル/アパート代がなんと昨年の約2倍に跳ね上がっていたからです。もともとフィンランドでは11月は「死の月」と呼ばれるくらい人気のない月で、旅行者にとっては安く渡航・滞在できる穴場シーズンだったのですが、それがSlushの規模拡大のせいでホテルやウィークリーアパートの宿泊費が高騰したうえにすぐに満室になるは、それに従いAirbnbの部屋の相場までは上がるはでぜんぜん穴場ではなくなってしまいました。Slushのヘルシンキに対する経済効果って何気にとんでもない額になっているんじゃないでしょうか。

ということでSlushが閉幕次第ヘルシンキからは早々に退避。宿泊相場が例年どおり安いままの地方で、ヘルシンキから電車ですぐに移動できて、友達が住んでいて、ゲーム専門の博物館もあるという理由からタンペレに滞在することにしたのですが、今回初訪問だったにも関わらずあまりにも快適で超・お気に入りの街になってしまいました。

■タンペレってどんな街?
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駅前の目抜き通りのハメーンカツ。冬は夜間ライトアップされます。

タンペレは首都ヘルシンキから電車で1時間半~2時間程度で移動できる内陸南部の都市で人口は約22万人(都市圏人口は約37万人)。東京都内で例えるなら渋谷区と同じくらいです。ここでまず不思議なのが、普通海のある国だと海運や漁業により海辺の街がまず先に発展するため大都市が海辺にあることが多いのに、タンペレは思いっきり内陸にも関わらずなぜかフィンランド第二位の人口を誇るほど栄えていること。それはなぜか?その理由が、街のシンボル的存在である18メートルの高低差のある二つの湖「ナシ湖」と「ピュハ湖」およびそれらを繋げる急流「タンメルコスキ川」にあります。

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んふんふ(夏は湖の中にある小島に遊びに行くこともできます)

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タンメルコスキ川の畔の公園にはポケモンがたくさん出ました。タンペレで「Pokémon GO」をプレイしたレポートも後日公開するのでお楽しみに!

同市は19世紀末に川の落差を利用した水力発電を始めたことにより工業化・近代化が一気に加速。それまで農業と手工芸が主産業だった小さな町は一変し、街中に電線が張り巡らされて一般家庭にまで電気が引かれ、繊維や金属などあらゆる種類の工場ができ、外部からの労働者流入で人口も激増、労働者の娯楽のため文化施設や公共施設、各種店舗も増え、次世代の人材育成のため大学が3つ設立されるなど、一時は首都ヘルシンキを凌ぐほどの活況を見せ「北欧のマンチェスター」と呼ばれるまでになったとか。

■19世紀末~20世紀初期の工場が未だ健在
こうした工業都市は、時代の変遷によって昔ながらの工場も建て替えられるか取り壊されるかして街の様相が変化してしまうものです。ところが驚くべきことに、タンペレには19世紀末~20世紀初期に建設された赤レンガの工場群が未だにそのままの状態で残っているのです。しかも歴史の”遺物”ではなく現役で使われている”生きた建物”として。

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会社のオフィスが入っているけれど敷地内の橋は通り抜け可。

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川に作られたミニダムも健在で間近で見られます。

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ファブリックブランドで有名なフィンレイソンの工場跡はショッピングやレジャー、グルメが楽しめるオシャレスポットになっています。

19世紀末より工業都市として繁栄したタンペレも時代の変遷と共に徐々に製造業が下り坂になり、遂に80年代には街の基幹産業全体の大転換を余儀なくされました。その際いち早く「IT」に着目してIT専門ビジネスパークを建設し、大学も工業の技術者から「IT技術者」の育成に路線変更、そしてNokiaの研究開発部門を誘致し、タンペレは工業都市から急激にIT都市へと変貌を遂げました。一方、かつての工場跡を取り壊して新しい建物を作るのではなく、敢えて外観は建設当時のままを保ち、中をモダンにリノベーションしてオフィス、店舗、博物館、イベント会場などに転用する景観保護プロジェクトを実施。今ではタンメルコスキ川とその周辺の工場建築物はフィンランドの国指定歴史的景観地域になっています。

■街全体がスチームパンカー&工場萌えフレンドリー
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とはいえ、全ての工場跡の中がモダンにリノベーションされているわけではありません。撤去しようと思えばできるだろうに、敢えて配管やバルブ、計器、煙突、クレーンといった無骨な工場の名残を”見せる”ために残していたりと、絶妙な匙加減でレトロ感を演出しています。

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そうかと思えば、昔の機械類がモニュメントのようにガラスケースに収められ街中に展示されていたりもします(ついでにIngressのポータルとPokémon GOのポケストップになっている)。この鉄と銅と真鍮の組み合わせ!デカくてゴツいボルト!もうスチームパンク好きにはたまりません!

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ちょっとしたスペースにもやたらと歯車を描いて「昔タンペレは工業都市だったんだぞ!」と猛アピールしてきます。良さしかない。

このように少し歩いただけで「工場萌え」(しかも19世紀以降のレトロな工場)と「スチームパンク好き」のツボをグイグイ押してくる風景が目に飛び込んできます。こんな街でコスプレイベントを開催したらさぞ盛り上がるだろうな…なんて妄想していたら、実際に毎年秋に「Tracon」というコスプレOKなオタクイベントが開催されているそうです。今サイトを見たら日本語ページもありました。取材に行きたい!

この街の歴史的景観が本領を発揮するのは冬の夜です。

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全ての工場跡の煙突が稼働を停止しているわけではなく、暖炉の煙か、はたまたセントラルヒーティングの蒸気かをもくもくと吐き出し、それが他の煙突や建物を曇らせ、やがて雲と一体になってゆく光景はなんとも言えない風情があります。時折しもクリスマスシーズン&フィンランド独立100周年の節目の年、派手にライトアップされた街の光が煙と蒸気に透過するこの雰囲気、何かに似ている……そうだ!サイレント映画の「メトロポリス」だ!

メトロポリス / Metropolis CCP-315 [DVD]
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※「メトロポリス」とは…1927年公開のドイツのSF映画。富裕層と労働者階級が二極化した社会でマッドサイエンティストがアンドロイドの美少女アイドルを作って労働者を煽動するという未来過ぎるストーリーで、「SF映画の原点にして頂点」と評価されている。作中に登場するアンドロイド「マリア」のデザインは「スター・ウォーズ」のC-3POの元ネタになった。

「これリアルな『メトロポリス』の世界だな~」なんて思いながらお土産屋さんを覗いてみたら、

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まさに「メトロポリス」の作風をパロッたお土産が売られていました。分かってる

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朝の風景はこんな感じ。これはこれで素敵ですけどね。

■どこへ行っても模型がやたらとある
タンペレを街歩きしてふと気づいたのは、どこへ行ってもやたらと模型、それもジオラマが置かれていたことです。お店のショウウィンドウや野外のクリスマスマーケット会場、博物館、美術館と、どこへ行っても作り込まれたジオラマを目にしました。

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クリスマスマーケットに置かれていた工業化する以前の街の様子を再現したジオラマに…

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かまくらの中でお茶会をしている動物たちの様子を表現したかわいいデパートのショウウィンドウ。普通デパートのショウウィンドウは人目を引く派手な装飾をしそうなものですが、小さなドールハウスのパーツを使い、しかも覗き込まないとよく見えないかまくらの中まで作り込むってなかなかの模型魂です。

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博物館に展示されていた昔の郵便配達の様子を再現したジオラマ。波の表現が秀逸です。

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意外にも模型熱が凄かったのがタンペレの定番観光地「ムーミン美術館」。その名のとおりトーベ・ヤンソン原作の絵本/人気キャラクター「ムーミン」の原画を展示している美術館ですが、実は原画とともにトーベ・ヤンソンのパートナーでグラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラと二人の友人で医師のペンッティ・エイストラが手がけた41点ものムーミンの模型が展示されており、その規模とクオリティがハンパないのです。実は私、ムーミンには全く興味がなく「まあタンペレに来たんだから一応見ておくかな」程度の感覚だったのですが、もう館内に入った途端に模型のボリュームに圧倒され、なんだかんだ3時間以上滞在してしまいました。残念ながら館内は撮影禁止ですが、中の様子は美術館の公式Instagramで公開されているので是非ご覧下さい。

なぜタンペレは模型だらけなのか?それにもここがかつて工業都市だったことが関係しています。フィンランドは冬が長く厳しいこともあり「家に閉じこもって何かを作る」趣味を持っている人が多く、そのためDIYやゲーム開発が盛んだったりするのですが、タンペレは工業都市だったため昔は市民の大半が工場で製造業に携わっていた労働者で、プライベートでも「小さいものをコツコツ作る」趣味を持つ人が多かったとのこと。男性はジオラマや鉄道模型、女性はドールハウスや人形そのものを作る人が多く、今でも街には模型店やハンドメイド材料店、工具店がたくさんあります。

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こちらは駅の近くにあった模型店の棚の一角。日本のタミヤの商品が普通に揃っていました。世界展開している商品だけでなく日本国内向け商品もわざわざ取り寄せており、日本の他の模型メーカーではハセガワと京商の商品も取り扱っていました。

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なんと模型はタンペレ大聖堂の中にもありました!ここは1902年~1907年に建設された当時流行のナショナルロマン主義建築の石造りの大聖堂で、中世の城郭のような雰囲気なのが特徴です。確かに石壁が廻らされ複数の門が配されているなど、お城みたいな作りであることが模型からも分かります。

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ちなみにこのタンペレ大聖堂は内部の金属装飾もスチームパンカーのツボをグイグイ押してくる作風なのでオススメです。心なしかタービンやゼンマイなど工業的モチーフを模しているようにも見えます。

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この「わざと電球をむき出しにして見せる」装飾とか最高じゃないですか?現在はLED電球ですが、昔はフィラメントが見える白熱灯が使われていたと考えたらもうたまりませんね。

■博物館の展示が妙にマニアック
今回私がタンペレに滞在した一番の目的は「ゲーム専門の博物館を見に行く」だったのですが、実際に行ってみたら一つの大きな建物の中に様々なテーマの博物館が入った”博物館のデパート”みたいな施設でした。

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タンペレの複合博物館「Vapriikki」。ここもかつてのエンジン&リネン工場跡を再利用したリノベーション施設で、常設展示のほかに期間限定の企画展も開催しています。エントランスで入場料12ユーロ(約1600円)を支払えば館内全ての展示を見ることができる非常にお得なシステムで、館内には食事もできるカフェも併設されているのでここで丸一日過ごすこともできます。

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ここの常設展示は「街の歴史」「考古学」「自然史」「郵便」「アイスホッケー」「メディア」「ゲーム」「人形」「天然石」で、私のお目当てのゲーム博物館は全体のほんの一部でしたが、それでもかなり見ごたえがあり、ここだけでムーミン美術館と同様に3時間を費やしてしまいました。あまりにも充実した展示内容だったので詳細は改めて別記事でご紹介致しますので少々お待ち下さい。

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他のエリアの展示も「この博物館ってもしかしてオタクを捕まえようとしてるのかな?」というくらいマニアックで濃く、結局全ての展示を見るために開館~閉館までずっと居座ってしまいました。フィンランドの人形博物館にプーリップ(日本でも人気の韓国発の1/6スケールの人形。関節や首、目を動かせる)が飾られているって信じられます?日本のボークスもスーパードルフィーを寄贈して展示してもらうべき。

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紙製の着せ替え人形も人形のうち!ただしさすがにデリケートなのでそのままの状態では展示されておらず、このようにタブレットでヴァーチャルに着せ替えが楽しめるデジタルコンテンツとして展示されていました。昔のものを現代のテクノロジーで再現して見せる手法もこの博物館の特徴の一つです。

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こちらは考古学博物館にあった中世の村をマインクラフトで再現したデモコーナー。ちゃんとプレイできるようになっています。

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そら来た!またスチームパンカーのツボを押してくるやつ!これは昔の時計台の中身。こうした昔の建物に使われていた中身のパーツまで保存されていることにも驚かされます。

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他にも、製糸工場で使われていた機械や…

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昔の新聞印刷に使われていた印刷機に…

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一般家庭で使用されていた最初期の電話など、「街がいかに工業で発展し景気が良かったか」を示す細々とした展示がいちいち面白く、正直なところ開館~閉館まで居座っても時間が足りないくらいでした。本当に全ての展示をじっくり見るならこの博物館だけで二日は必要です。

■最近のタンペレはXRがアツい
タンペレが工業都市から急速にIT都市へと変貌を遂げたのは先に述べたとおりですが、一方でNokiaの研究開発部門に頼っていた街でもあり、同社がスマートフォン戦略で失敗し、遂に2013年に携帯電話事業がマイクロソフトに買収された際には失業者が街に溢れました。しかし同市は失業者に再就職を促すのではなく、自分の会社を設立して経営者になってもらうよう起業支援を行い、またNokia自身も元スタッフの起業をサポートするインキュベータープログラムを立ち上げたこともあり、Nokiaで研究開発に携わっていた人材が次々と起業し、タンペレはTech系スタートアップが林立する新たなIT都市となりました。こうした流れは以前ご紹介した同国のオウル市と同様ですね。

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「TECHNOPOLIS」というそのものズバリな名前の駅近にあるIT専門ビジネスパーク。ここにかつてNokiaにてLinuxベースのスマートフォン向けOS「MeeGo」を開発していたスタッフが立ち上げたスマートフォン設計・開発企業Jollaのオフィスが入居しています。

そんなTech系スタートアップの街・タンペレの最近の傾向は、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった「XR」系ビジネスに携わる企業の増加だそうです。確かにフィンランドVR協会の調査レポートにも、現在同国内に存在するXR系企業のうち約48%がヘルシンキに、約20%がタンペレに集中しているとありました(過去記事はこちら)。地方で20%って結構高い割合ですよね。それにしてもなぜタンペレで今XRがアツいのか?現地の方に聞いてみたところ「タンペレ市民は新しいものに飛びついて博打を打つ」「やると決めたらすぐにやる」性格の人が多いそうで、だからこそフィンランドで初めて、欧州全域でも4番目という速さで水力発電を始めたし、すぐに工場を建てまくったし、製造業が傾いた時も即座にITに乗り換えたし、Nokiaが傾いた時も起業して今まで生き延びてきたのだそう。そんなタンペレ市民が「次はこれが来る!」と目を付けているのがXRというわけです。
なお、試しにタンペレ市内にオフィスを持つXR系企業・団体をリストアップしてその住所を調べてみたところ、10社・団体以上が駅から徒歩15分圏内の中心部に集中していました。

地方都市で、そんな近い距離に10数社も集中していたら絶対XR飲み会をやっているだろうし絶対楽しいでしょうね。混ざりたい…

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本当にタンペレでXRが”来てる”んだなと実感したのは、適当に街歩きをしていて偶然VR体験施設に出くわした時です。誰でもその場でVRを体験できる施設やアーケードの話題って日本を含むアジア地域ではよく聞きますが、欧州ではあまり聞きませんよね?それが地方都市のタンペレの中心部で路面店として展開していて、しかもちゃんとお客さんが入っているって凄くないですか?ここにも実際に入店したので後ほどレポートをUPします。

今回のタンペレ滞在にあたり、タンペレ商工会議所の方や観光協会の方、博物館・美術館の職員さん、お店の店員さんなど様々な方から街について貴重なお話をお伺いすることができたのですが、それによればタンペレには日本人観光客、特に女性客がたくさん訪れており、それに合わせて日本語の観光案内パンフレットを作成したり、イベントのバナーにも日本語を加えたりと”日本人フレンドリー”な施策を行っているとのこと。

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クリスマスマーケットのバナーにも日本語がありました。

ただ大半がヘルシンキに宿を取り、タンペレにはムーミン美術館を見に来るくらいで日帰りですぐ帰ってしまうとか。それはあまりにも勿体ない!こんなに見どころがたくさんあるのに!ということで、とりあえずスチームパンクが好きな人、工場萌えな人、模型製作しているモデラー、XR系ビジネスに携わっている人は是非タンペレに滞在してじっくり街歩きをしたり、いろいろな施設・お店・会社に行ってみて下さい。間違いなく楽しめます。まあ私の感想だと、タンペレは”日本人フレンドリー”というより”オタクフレンドリー”な街でした。

今回快くご対応頂いたタンペレの皆様本当にどうもありがとうございました。特に経費でご飯とお酒、ドーナツ、コーヒーまで奢って下さったタンペレ商工会議所様ありがとうございました!

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んふんふ!(湖畔のピューニッキ展望台に併設されているカフェのドーナツは本当に美味しいのでオススメです!)

2017年フィンランド渡航に関する記事はこちらから

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