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【VWCレポート】「セカンドライフ専用」はNG?これからのVirtul Worldコンテンツに求められるもの

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【VWCレポート】「セカンドライフ専用」はNG?これからのVirtul Worldコンテンツに求められるもの

あなたがセカンドライフで提供しているコンテンツはセカンドライフ以外でも使えるだろうか。おそらく「No」だろう。同じく、セカンドライフ以外のプラットフォームで提供されているコンテンツもほとんどはそのプラットフォームでしか使えないものではないか。それでも特に支障はない。少なくとも、「今」は。

10月10日・11日(米国時間)に開催されたVirtual Worlds Conferenceで聞かれたキーワードのひとつは「キッズ/ティーン市場への期待」と伝えたが、同様に聞こえてきたのは「Virtual Worldの相互接続」だ。
そうなると、コンテンツも複数のプラットフォームをまたいで利用されるようになってくる。これを実現するためには2つのアプローチがある。ひとつは相互接続の際にプラットフォーム側でコンテンツの変換などを行い、差異を吸収する方法。ただし、これはコンテンツ制作側の意図がわからないとどう変換すべきか判断できない場合も想定される。そして、もうひとつはコンテンツ自体をマルチプラットフォーム対応にする方法だ。
セッション「Designing for Cross-Platform Delivery and Long-Term Content Portability」では、この後者のアプローチ方法について語られた。スピーカーであるMetaversatilityのAaron Delwiche氏は8月にシンガポールで行われた仮想世界カンファレンスの主催者のひとりでもある。
同氏はVirtual Worldで長期に渡ってビジネスを行っていくためには、コンテンツを複数のプラットフォーム(例えばセカンドライフだけでなく、ThereやHiPiHi、Kanevaなど)で展開できるようにすることが必要と語る。これは既存のコンテンツを後から対応させるのではなく、制作の段階から「多くのプラットフォームを行き来することを前提にする」ことであるとしている。合わせて、現在重要視されている「アクセスしやすさ」に代わり、「(Virtual World間の)持ち運びやすさ」が重要になるとも述べた。
こうした性格を持つ既存コンテンツの例として、同氏はRSSフィードを挙げた。「RSSフィードのようなフォーマットを持ったコンテンツは様々なサービス上で表現することができる」
同氏はさらに、寿命の長いコンテンツの制作で留意すべき項目として上記を含めた以下の7つを挙げる。

1.多くのプラットフォームを行き来することを前提にする。
2.様々なファイルフォーマットで用意する
3.「アクセスしやすさ」の次に来るのは「持ち運びやすさ」
4.コミュニティメンバーやソーシャルネットワークは最も大切な資産
5.バーチャルコミュニティにプレゼンスを確立する
6.Webのようなオープンな環境でのコミュニティの交流をサポートする
7.コミュニティの記録を保存する

コミュニティ対応の重要性は現在も言われているが、コンテンツのマルチプラットフォーム化の必要性がここまで明確に述べられることは珍しい。とはいえ、そもそも複数のVirtual Worldがどのように相互接続されていくか、その具体的方向性も不明な部分が多い現段階では、コンテンツのマルチプラットフォーム化も具体性に欠けてしまうのが事実だ。
しかし、こうした概念を持ってVirtual Worldに取り組んでいくことによって、そのノウハウを特定のプラットフォームに依存しない形で積み上げていくことが可能になる。これは別プラットフォームへの参入時に利用できるだけでなく、特定のプラットフォームに依存するリスクを低減することにもつながるだろう。
今後、相互接続の取り組みが成果を見せ始める中で、このセッションの意義は重要性を次第に増していきそうだ。

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