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【レポート】東北初の「Maker Faire」イベント「Sendai Micro Maker Faire 2020」レポート

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株式会社オライリー・ジャパンが、同社が毎年日本各地で開催しているMakerムーブメント・フェスティバル「Maker Faire」のミニサイズ版「Micro Maker Faire」の第一弾であり、東北初のMakerイベント「Sendai Micro Maker Faire 2020」を2020年1月25日(土)に宮城県仙台市・協同組合仙台卸商センターにて開催しました。

【レポート】東北初の「Maker Faire」イベント「Sendai Micro Maker Faire 2020」レポート

「Maker Faire」は、世界各地で開催されている「ものづくり」を愛する「Maker(メイカー)」の作品が展示・販売されるフェスティバルで、もちろん日本でも開催されています。東京では以前は「Make: Tokyo Meeting」という名称で開催されていましたが、2012年より全世界共通の名称「Maker Faire」に統一しリニューアル。現在は東京、京都、大垣、山口、つくばなどで開催されています。

ミニサイズ版とはいえ、「Maker Faire」が東北地域で開催されるのは今回が初。昨年11月にFabスペース「FabLabSENDAI – FLAT」で開催された説明会(過去記事はこちら)では、あくまでもこれは第一回目の”ティザー版”という位置づけで、まずは小さく始めて徐々に出展者も来場者も増やし持続していくとのことだったので、当日の来場者数が気になっていたのですが、会場に行ってみたら通路を通るのが難しくなるくらい多くの来場者で賑わっていました。
出展ブースの中から個人的に気になった作品をご紹介します。

■大人気川遊びアニメ「水切リストジーザス」(※そんなアニメはありません)
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「Maker Faire」は技術書で知られるオライリーの主催イベントということで、参加するには何かしらTech寄りな作品がなければならないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際のところ出展作品にそのような制限はなく、自分で作った「作品」であれば基本的にはジャンルは問われません。今回それを端的に表していたのが、先述のFabスペース「FabLabSENDAI – FLAT」でした。なんと出展作品は「石ころ」。本当に自然そのままの石を200円で販売していました。

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これは川の水面に石を投げて弾ませる「水切り」を題材とした架空のアニメ「水切リストジーザス」がもしあったら…というコンセプトの「作品」。実際には市内で拾ったただの石ころなのですが、その形状ごとに「主人公」「ライバル」などキャラクター設定を加え、それらのイメージでパッケージをデザインし、まるで本当に玩具店で販売されている玩具のように見せています。そのデザインが実に見事!ロゴといい、カラーといい、キャッチフレーズといい、なんかこう小学生のバイブル「コロコロコミック」が特集してそうな感じがします。なお、台紙の印刷はUVプリンターで、プリスターパックは石の形状に合わせて一つ一つバキュームフォームで作られており、ちゃんと「FabLabSENDAI – FLAT」の設備が活きているとのこと。

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台紙裏の注意書きも本格的!「採取元 仙台市内各所」「本体:石」が最高です。

■手の動きで炎を操る「アドランティウス -炎を司りしその手、今開放の刻-」
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こちらはCorona Lab.が開発した”ハンズフリー”なシューティングゲーム「アドランティウス -炎を司りしその手、今開放の刻-」。開発には手の動きを感知してそれをコンピューター上で再現する非接触デバイス「Leap Motion」が使用されており、手の動きによって炎を操作し敵機を撃墜していきます。

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こちらが画面上に反映された自分の手。3本以上の指が閉じている状態から4本以上の指が開いている状態にすることで炎のパワーを貯め、それを放つことができます。上の写真は手をグーにして炎のパワーを貯め込み、敵機の出現を待っているところ。

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前方に敵機が見えたら勢いよく指を拡げて炎を放ちます。1ステージあたりのプレイ時間はぞんなに長くなかったのですが、腕を前方に伸ばしたまま常に手を握ったり開いたりする動作は思いのほか疲れ、腕の筋肉を鍛えるエクササイズにも効果的ではないかと思いました。

■「ひねる」動作でゲームを操作できるステアリングコントローラー
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こちら、一見外装を取り外したXboxのコントローラーに見えますが、実はそれをベースに「ひねる」操作が行えるように改造した「ひねくれる手持ち式力覚提示付きステアリングコントローラー」です。
ご覧のように真ん中から2つに割れてシャフトで連結されており、ボタン入力と共に上下に「ひねる」操作でカーレースゲームにおけるステア入力できます。ボタン操作以上に微妙な操作ができるので、より直感的な操作ができるのが特長。ひねる際はちゃんとフォースフィードバックも感じられ、プレイしていると徐々にハンドルを握っているかのような気分になってきました。

■山形名物の紅花も使用!デジタルデータを織物にする「ORINASU」
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「Sendai Micro Maker Faire 2020」には個人や団体、企業の他に教育機関も複数出展していました。その中で宮城県外、それも高校で参加したのがこちらの山形県立米沢工業高校。同校では専攻科にて、デジカメで撮影したデジタル画像を加工し、織機で製織して織物にする「写真織」技法を用いた作品を製作する「ORINASUプロジェクト」を行っています。

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「ORINASUプロジェクト」では、地元企業の協力のもと山形の名物である紅花を自分達で育て、収穫・加工し染料として使用しているそうですが、その色と光の波長のせいか、偶然にも蛍光灯にかざすことで色が”消える”効果があることが分かったとのこと。こうした特性も踏まえ、写真織に人感センサーやディスプレイ、導光板照明、LEDを組み合わせ、看板やのれんとして使用することを想定した展示を行っていました。

■何から何までダンボール製のドライブシミュレーター
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イベント中常に子供に大人気だったのが、こちらの「フルダンボール製ドライブシミュレーター」でした。見ての通り何から何までダンボールで、コントローラーもNintendo LABOのドライブキット。ドーム型スクリーンは、左右180度、上下130度とほぼ人の視野角をカバーしており、併せて4Kプロジェクタと超広角レンズ、カスタムレンズアダプタも使用しています。そのため高い没入感が得られ、プレイしているうちダンボール製であることを忘れてしまいました。イベント中は主にレースゲームをプレイできましたが、他にも潜水艦のシミュレーターにも切り替えて即プレイできるそうです。

■ロボットをVRで遠隔操作
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こちらは川崎市にて毎年8月に開催されているロボット競技会「かわロボ」に出場したVR遠隔操作ロボット。ロボットのコクピット部分にはカメラが搭載されており、その映像がVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)にリアルタイムに映し出されます。つまりVRHMDをかぶることで、まるでロボットの中に乗り込んで操縦しているかのような気分になれるというわけです。

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開発環境はUnityで、より操縦している感覚が味わえるよう、仮想的なコクピットやバックミラー、動作ログ、温度センサーなどが視界に加えられています。操縦者がかぶるのはVR HMDですが、実際の風景の上に情報が加えられているのはAR的でもありますね。

■子供達が作った問題解決型の家
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プログラミングを使った電子工作などものづくり教室を通して、子供の興味や関心、視野を広げる活動を行っているPCN仙台では、実際に教室に参加した子供達が作った作品を出展していました。作品のテーマは「問題解決」で、日常にある小さな困り事を解決するガジェットや”未来の家”の模型が展示されていたのですが、いずれの作品も子供の作品とは思えないくらいハイレベルで、かつ問題を的確に捉えたものばかりでした。

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こちらは雨が降ってきた時に自動的に屋根が出てくるベランダの模型。洗濯物を干している時に急に雨が降っても慌てて取り込まなくてもいい”未来の家”です。ベランダに水を感知するセンサーが取り付けられており、そこに雨が当たると…

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自動的にスライド式の屋根が出てきました!もちろん模型そのものも、センサーによって屋根が出てくるプログラミングも全て教室に参加した子供の手によるもの。PCN仙台では主にマイコン「IchigoJam」を使用しているとのことで、この作品もIchigoJamによって開発されました。
なお、PCN仙台は2019年10月に仙台高等専門学校と共催で子供向けプログラミングコンテスト「みやぎプロコン」を開催しており、2020年にも第2回を開催予定だそうなので、プログラミングができる、またはプログラミングに興味があるというお子さんのいる親御さんは是非チェックしてみて下さい。

■材料費約3万円の障害者向け意思伝達装置
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こちらは、なんと材料費約3万円で開発したという低コストな障害者向けの意思伝達装置。脳梗塞やALSなどにより体がほとんど動かせないだけでなく、声も出せないという方がいますが、そうした方のコミュニケーション向け意思伝達装置は数十万~数百万円と高額なものがほとんどで、全ての人が使えるわけではありません。しかしこの作品は、Amazonでも販売されているアイトラッカー「Tobii」とAndroidタブレット、スピーカーを組み合わせ、視線を移動させることで文字を入力し、入力した言葉を音声で再生できるようにしたもの。具体的な使い方は、ひらがな表にある文字に数秒視線を合わせることでその文字を入力し、それを繰り返して言葉を入力して発声するというもので、この他にも「はい」や「いいえ」など日常生活でよく使う言葉をあらかじめ設定し、それに目線を合わせることですぐに発声できるモードもありました。

本イベントで本イベントで印象的だったのは、出展者も一般来場者も層が厚く、老若男女、社会人、学生、子供、個人、団体、企業とあらゆるクラスタが参加していたことです。前述のようにこれは東北初のMakerイベントだったのですが、一体皆さんどこでこのイベントのことを知ったのでしょう?開催中の場内の様子は、会場自体が狭かったにせよ以前行ったことのあるMaker Faire Tokyoの光景と遜色なく、第二回目の開催および今後の発展が期待できました。

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