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【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」

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12月15日(土)~16(日)の2日間、仙台市の文化公共施設「せんだいメディアテーク」にて、仙台市内にある様々な博物館が一堂に会するイベント「ミュージアムユニバース〜すてき・ふしぎ・おもしろい〜」が開催されました。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
このイベントは、仙台市を中心とした博物館の連合機関「仙台・宮城ミュージアムアライアンス(SMMA)」に参加する各種ミュージアムが、それぞれに「すてき・ふしぎ・おもしろい」をテーマとした展示やワークショップ、講演などのプログラムを実施し来場者に通じて楽しい学びを提供するもの。毎年開催されている恒例イベントですが、今回は東北大学総合学術博物館が、東日本大震災の遺構をVRで再現・保存したデモ「荒浜を見てみよう -VRと思い出でたどる海辺の街-」を公開していたので体験してきました。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
2011年の東日本大震災では、巨大津波と原発事故で東北地方の太平洋沿岸部を中心に大きな被害が発生しました。あれから7年が経過し、ほとんどの被災地では瓦礫の撤去もほぼ完了し復興事業が進められていますが、その過程に於いて、被害の大きさを伝える数多くの震災遺構が解体されています。復興事業が進めばそれらが取り壊されてしまうのは仕方がないことですが、一方で、それにまつわる思い出や震災の恐ろしさを伝える「アーカイブ」が無くなってしまうのもまた事実。そこで、東北大学総合学術博物館と東北大学グローバル安全学トップリーダー育成プログラムでは、津波被災地の様子を将来に語り継ぎ、防災教育と今後の災害研究のために、解体が決定した仙台市立荒浜小学校体育館や同中野小学校を含む宮城県内の5箇所の震災遺構をデジタルアーカイブ化する活動「東日本大震災遺構3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」を開始しました。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
デモにはOculus RiftとOculus Touchを使用。今回のミュージアムユニバースでは2台体制で来場者対応をしていました。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
遺構のアーカイブ化では主に「据え置き型」と「車載型」の3Dレーザースキャナを使用したとのこと。据え置き型では、1箇所から360°の3Dモデリングデータとカラーデータを取得し、それを複数箇所で実施したのち合成することで遺構を復元。車載型では、移動しながら3D計測とカラーデータの取得を行ったそうです。これらの手法で得られた点群データを最後に一つにまとめ、ノイズの除去とデータの軽量化を行い、クラウド上に保存すればアーカイブが完成します。一度デジタルによるアーカイブ化を行えば、そのデータが消えない限り劣化することはなく、また計測時にできるだけ高精度のデータで記録・保存しておけば、現時点では難しい高精度での表現も近い将来の技術の発達により実現できるかもしれません。経年劣化が避けられない実物の震災遺構の保存に比べれば、低費用でむしろリアルに災害の様子を将来へ伝えることができます。しかも、実物の震災遺構は安全上の理由から自由に中に入って歩き回ることが困難ですが、デジタルアーカイブはVR化することで誰でも自由に見てまわることが可能になります。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
今回のデモでは「荒浜小学校体育館」を見ることができましたが、体育館の中と外、体育館以外の校舎の内部、さらに周囲の景色まで再現されており、計11箇所のポイントをOculus Touchを使って自分で選択し見ることができました。3Dレーザースキャナは「点群」でモデリングデータを取得するため、常に動いている水面のモデルとカラーは取得できず、また取得できたモデリングデータも接近すると「点」の集まりだったりと、何から何まで精密に再現できるわけではありませんが、それでも、津波で破壊された体育館の中に残る瓦礫の一つ一つ、剥がれてしまった床や壁、天井の質感などかなり細かく再現されており、震災被害がいかに甚大だったかをリアルに体感することができました。

【レポート】取り壊される震災遺構をVRで保存 東北大学総合学術博物館の「東日本大震災遺構等3次元クラウドデータアーカイブ構築公開事業」
なお、今回はVR版のみの公開でしたが、同じデータとMicrosoft HoloLensを使用し、今いる場所に震災遺構の風景を出現させる「MR版」もあるとか。いずれもオペレーター役のスタッフが必要なので博物館で常設展示しているわけではないとのことでしたが、今回のようなミュージアム系のイベントや防災イベントで体験会を実施しているそうなので、もしどこかで見かけたら是非体験してみて下さい。

東北大学総合学術博物館
http://www.museum.tohoku.ac.jp/

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