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【Slush 16レポート】起業の街・福岡市をフィンランドでアピール - 「KICKSTART YOUR ASIA EXPANSION - PITCHING COMPETITION」

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先のレポートでもお伝えしましたが、現地時間の11月30日(水)〜12月1日(木)にフィンランド・ヘルシンキにて開催された欧州最大のスタートアップ・フェス「Slush 16」に日本から唯一福岡県福岡市がブース出展し、加えて12月1日12:00より別室にて”起業の街”をアピールするサイドイベント「KICKSTART YOUR ASIA EXPANSION - PITCHING COMPETITION」を開催しました。その様子を写真にてご紹介します。

福岡市のブースの様子はこちら:
【Slush 16レポート】大型起業フェス「Slush 16」の模様をざっくり振り返る写真レポート(その2)


会場は中規模な会議室でしたがすぐに現地フィンランドおよび海外からの参加者で満員に。開始まで福岡発のスタートアップ「しくみデザイン」によるジャスチャーで操作する新世代楽器「KAGURA」のデモ演奏が行われていました。和楽器の音色と和音階を使用した楽曲で日本をアピール。


開始を待っているとどこからか食欲をそそる香りが…なんと大量のとんこつ味カップラーメンが用意され参加者に無料で振る舞われました。


最近ラーメンというと「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)問題」が話題らしいですが、フィンランドに関してはそんなものは全くありませんでした。日本人が音をたてて麺をすすっても誰も反応しなかったし、むしろフィンランド人の方が日本人以上に音をたてて麺をすすっていたくらい(しかも箸使いも上手い)。本当にヌーハラ問題なんて存在するんですかね?


冒頭、まず福岡市の中園副市長が開会挨拶。副市長はこの後行われたピッチコンテストの審査も担当されました。それにしても自治体の副市長が海外イベントを「視察」だけするのではなく独自のサイドイベントまで実施しガッツリ「参戦」するのはかなりレアな事例ではないでしょうか。


そして福岡市の具体的な起業家支援策が英語で説明されました。福岡市は2012年に「スタートアップ都市宣言」を行い、2014年3月には創業と雇用創出を目指す国家戦略特区にも指定されました。また毎年秋にクリエイティブとテクノロジーの祭典「明星和楽」が開催されたり、市が運営する創業支援拠点兼コワーキングスペース「スタートアップカフェ」があったり、美味しいラーメン屋が軒を連ねるラーメン天国だったりと、若い起業家にとって非常に居心地の良い街です。また、小中高校生・大学生の起業家精神を醸成するため学校に他地域の起業家を招く「チャレンジマインド醸成教育」も実施しています。同市が行っている具体的な起業支援は…

・低額で事務所スペースを提供する「インキュベート事業」
・融資・補助金交付などの資金援助
・ビジネスプランをブラッシュアップする無料相談会の実施
・商談会・研修・セミナー・プレゼンテーション会の開催
・外国人起業家向け「スタートアップビザ」の発給

などなど至れりつくせり(福岡市の起業家支援の詳細はこちら)。今回の「Slush 16」には「北欧等スタートアップ交流促進事業」と銘打ち、福岡市を拠点に活動する企業及び個人を対象に独自にツアーを組んで参加したそうです。ちなみにフィンランドのナショナルフラッグキャリア「Finnair(フィンエアー)」は今年から夏期定期便として福岡=ヘルシンキ路線を週3往復運航しており(来年も4月27日より再開決定)、交通の面に於いてもフィンランドと福岡市はより身近な存在となっています。

この後、福岡を拠点にアジア市場に進出したい海外スタートアップのピッチコンテストが行われましたが、優勝したのは…


子供に社会的感情表現の方法を教えるデジタル教育ツール「Mightifier」を提供するフィンランドのThe Mighty United。同社は子供が社会に於いてどのように自分の感情を抑制・または表現すればよいかをマスターできるタブレット向けアプリを開発・提供し、よりポジティブなクラスの雰囲気作りやいじめの防止を目指しています。既に同社のアプリはフィンランド国内だけでなくアメリカのシカゴとシリコンバレーの小学校でも導入され多くのフィードバックを得ているとのこと。優勝の決め手は、福岡進出のビジョンが最も明確であったことと、「子供の教育」「いじめ防止」という社会における最優先課題に取り組んでいることでした。


なお、優勝したThe Mighty United社CEOのMervi Pänkäläinen氏には、1つの事業者を最初から最後まで支援するパッケージ「Fukuoka Startup Package」とフィンエアーの航空チケットがプレゼントされました。もしかしたら今後「Mightifier」の日本語版が開発され日本国内の教育現場でも使われる日が来るかもしれません。

このご時世、だいたいどこの自治体も起業支援は行っていると思いますが、その中で一体どれだけの市町村が海外を見て、さらに海外のスタートアップまで誘致しようと考えているでしょうか?今年のSlushは福岡市しか参戦していませんでしたが、それはあまりにも勿体なさ過ぎます。確かに海外イベントへの参戦は、出展料の他にブース設営の経費と参加人員の渡航費、宿泊費も相当かかるし、何より英語でやり取りするのが難しいというのもあるでしょう。それでも、ただ会場を見て回るだけの視察では絶対に得られない情報や体験、人脈があるはずです。来年は他の日本の自治体も、特に東北からも参加してみては如何でしょうか。秋田県横手市もどうですか?

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