今回の東京ゲームショウには、大企業から個人までありとあらゆる形式・ジャンル・プラットフォームのゲームが出展されましたが、それらの中でも最も美しいと言えるゲームがこのiOS向け2Dアドベンチャーゲーム「Steampunker(スチームパンカー)」です。
本作はそのタイトルどおり「スチームパンク」(蒸気機関のみが発達した世界設定のSFジャンルの一つ)を舞台とする2Dアドベンチャーゲームです。プレイヤーは主人公の「ヴィンセント」を操作し、宇宙からの侵略ロボットから世界を守るため様々な種類のミニゲームを解いて冒険を進めていきます。
興味深いのはゲーム中にテキスト類がほとんど表示されないこと。つまりどこを触って何をすればいいのかが明確に示されず、次の行動自体を探索して手がかりを見つけなければなりません。例えば上記の場合、左側に進みたいのに前に川が広がっています。しかし右側に進むと…
クレーンの操作パネルがあり、それを動かすことで足場となる鉄骨が降りてきました。ただし赤・青・緑のレバーをどの順番で動かせば鉄骨が降りてくるのか画面中で示されることはなく、自分で試行錯誤をするしかありません。
基本的にゲームは横スクロールで進みますが、フィールドを探索していると時々ミニゲームやクイズが現れます。その種類はなんと30以上あり、それを解くことにより物語を先に進めることができます。本作は一応「アドベンチャーゲーム」というジャンルになっていますが、謎解き要素がふんだんに盛り込まれているため「脱出ゲーム」と言ってもいいかもしれません。
それにしても圧巻なのはこのアートワーク!ビクトリア町時代のレトロな空気、鉄の赤錆や真鍮のくすんだ色あい、色褪せた紙の質感、歯車、計器、配管などスチームパンク好きのツボをグイグイ押してくるモチーフがてんこ盛りで、どのステージ画面もゲームそっちのけでずっと眺めていたくなります。もはやゲームというより”動く画集”かインタラクティブアート作品といった感じで、BGMも非常にセンスが良く謎解きで疲れた頭をいい感じにほぐしてくれます。
なお、意外にも本作はたった一人の開発プロジェクトとのことで、Android版リリースは12月頃を予定しているとのこと。現時点では対応言語は英語のみですが、どっちみちゲーム内にテキストはほとんで出てこないのでプレイに支障はありません。是非スチームパンクの世界にどっぷり浸かって謎解きに挑戦してみて下さい。
(C) Telehorse