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【VW Londonレポート】エンタメから訓練まで…企業出展ブースを振り返る(シミュレーション編)~レポート(3)~

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前回の記事から随分間が空いてしまったが、折角ロンドンまで行って取材をしてきたので最後までレポートしたい。前回はFlashベースの子供・若者向けの仮想空間サービスのブースを中心にレポートしたが、今回は専用ソフトを起動するタイプの仮想空間及びシミュレーションや訓練に仮想空間を活用している企業のブースを見ていこう。

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まずはこちら、お馴染みSecond Lifeを運営するLinden Labリンデンラボのブース。このイベントに合わせRivers Run Redと共に企業でのコラボレーションを支援するツール「Immersive Workspaces 2.0」のリリースを出していたこともあって、ブース内ではそれをはじめ危険作業の訓練への活用事例や慈善団体のSIMの紹介など様々なデモンストレーションを行っていた。また初日にはロイターなどテレビ取材が数社入っており常に慌しい雰囲気だった。イギリスでもやはり「仮想空間」と言ったら「Second Life」のイメージなのだろうか。

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その隣にあったRivers Run Redのブース。こちらは「Immersive Workspaces 2.0」一本に絞ってのデモンストレーション。常にボイスチャットでのバーチャル会議の模様を映し出していた。上記の画像では、アバターの隣にリアルの人物の映像が映し出されるようになっており、従来のWeb会議とバーチャル会議の折衷という感じだった。
Rivers Run Red
http://riversrunred.com/

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こちらはバーチャルワークスペースや会議室、カンファレンスイベント会場などなど、ビジネスユーザー向けの仮想空間を使ったソリューションを提供する「Qwaq」のブース。ブース内ではボイスチャットを使用しての会議とプレゼン風景がデモンストレーションされていた。バーチャル会議は5人から利用可能で、数人~100人単位までフレキシブルに対応可能とのこと。
Qwaq
http://www.qwaq.com/

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こちらはイギリスの仮想空間ディベロッパーの「Second Places」。企業のSecond Life参入支援からイベント運営、コンサルティング、各種シミュレーションシナリオの製作、SIM構築、オブジェクト製作まで幅広く手がけている。これまでドミノピザやロイヤルリヴァプールフィルハーモニー、FCユナイテッドなど多方面の企業・団体のコンテンツをSecond Life内に構築している。
Second Places
http://www.clicksandlinks.com/opencms/opencms/CL_Solutions/products/secondlife/index.html

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逆光でちょっと暗くなってしまったが…Forterra Systemsと協力して仮想空間を活用した訓練やリハーサルなどのサービスを提供する「Ambient Performance」のブース。この日は仮想空間内でアパレルショップの接客トレーニングを行っている様子を公開していた。画面には映っていないが、仮想店舗内で小さい子供が大声で叫びながら走り回っていたりと結構細かい設定が為されており、「どうやって子供を静かにさせるか?」「子供の親にはどのように注意するべきか?」「他のお客さんから苦情を言われたらどう切り返すか?」など、具体的な接客方法が学べるようになっていた。
Ambient Performance
http://www.ambientperformance.com/

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まだ正式公開はされていないが、レンダリングが非常に美しいオーストラリアの「Mycosm」。土地の編集、建物の建設、アバター・オブジェクトの作成などを行い、一から自分だけのオリジナルの仮想空間を作り上げることができる。Google Sketchupなどの3DCGツールからのインポート機能が実装される予定とのことで、基本利用は無料でユーザーがサービス内で仮想アイテムを売買する際の手数料で運営されるようだ。ブース内では土地の編集方法のデモンストレーションとサービス説明会が行われていた。
Mycosm
http://www.mycosm.com/

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最後はこちら。見慣れぬ不思議な3Dペンの展示・デモンストレーションをしていたため常にブースに人垣ができ大人気だったイギリスの「Anarkik3D」のブース。なんだかガンダムに似たようなのが出てきたな…という感じのこの3Dペン、従来のペンタブレットでもなければ3Dマウスでもない不思議な使用感で、まるで空中に絵を書くような感覚で3DCGの作成やアバターの操作が行える。作業部分がアームで支えられた状態で宙に浮いているので手もそれほど疲れない。

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こちらはそのツールで製作した3DCGを3Dプリンターで出力したもの。鎖などドーナツ状になったものや中空の造型もより感覚的に行える。またペイントも3DCG作成時に行え、そのまま3Dプリンターで出力できるので、フィギュアや個性的なアクセサリーを作ることも可能だ。

Anarkik3D
http://www.anarkik3d.co.uk/

今回のイベントの出展各社のブースを見ていて印象的だったのは、出展されている仮想空間プラットフォームの大体が「専用ソフト起動型」と「Webブラウザ動作型」の2つに大別され、専用ソフト型がWeb会議や各種シュミレーション、訓練などに使われているのに対し、Webブラザ型が子供や若者向けのコミュニケーションやエンターテイメントに使われていることだった。
ほんの少し前までは(日本では未だにかもしれないが)「Flashベースのプラットフォームでは凝ったことができないからダメ」「専用ソフトが必要なプラットフォームは重いしインストールも起動も面倒だから普及しない」といった議論が繰り広げられていたが、現在はその段階を脱し、目的や用途に応じてそれぞれを使い分ける段階に入っていることが伺えた。
そもそも完全無欠のものなどこの世には一つもない。仮想空間プラットフォームも同じで、どこか優れたところがあればどこか不便なところもあるのが現実だ。だから、一部の機能だをけを見て「使える」「使えない」と判断するのではなく、長所と短所をどちらも見極めた上で柔軟に使い分けていくことが今後必要になってくるだろう。

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