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【TGS2013レポート】韓国のネガティブな文化や歴史を日本式ビジュアルノベルで学ぶカナダ産インディーズゲーム「Analogue: A Hate Story」

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今回の東京ゲームショウより新設されたインディーズゲームコーナーには、日本だけでなく海外からも個人や独立系ディベロッパーが出展しています。その中でも特に著名なクリエイターであるChristine Love氏はPC向けビジュアルノベル作品「Analogue: A Hate Story」の日本語版を出展していました。

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Love氏はカナダのクリエイターで、日本スタイルのビジュアルノベル作品を多数制作しています。今回の出展タイトル「Analogue: A Hate Story」のオリジナル版(英語版)は既にSteamにて配信されており、”ゲーム業界のサンダンス映画祭”とも称される世界最大のインディーズゲームの祭典の一つ「IndieCade 2012」にてファイナリストにも選出されるなど高い評価を受けています。

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この「Analogue: A Hate Story」のテーマは、そのタイトルからも何となく伺えるように「ネガティブな歴史と文化」です。プレイヤーは遥か昔に廃棄された宇宙船を発見した主人公となり、宇宙船に残されていたAIキャラクターとの対話を通して過去に何があったのか謎を探っていきます。もちろん宇宙船の中に生存者は誰もおらず情報源はAIのみ。”彼女”たちと何を話し、どんな情報を引き出すかによってシナリオが変化していき、最終的に5種類あるマルチエンディングのうちどれが1つに辿り着きます。

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なお、AIキャラクターは2種類いますが一方は韓国の民族衣装であるチマチョゴリを着ています。そう、この作品のもう一つのテーマは「韓国」なのです。カナダ人のクリエイターが日本スタイルのビジュアルノベルで韓国のネガティブな歴史と文化をテーマにした作品を作る…実にグローバルな作品と言えるでしょう。

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ブースではもちろん試遊もできました。私は黒い服の「ヒョネ」というAIキャラクターを選択し、彼女と対話をしつつログにアクセスしてみたのですが…

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いきなり出てきたのは

男尊女卑
男性は敬意を払われ、女性は蔑まれる。

「もし一つだけ覚えることができるなら、このフレーズを覚えておこう。」って…一番最初の情報がこれか!

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次に出てきたログは「キム」という一族の家系図。しかしよく見ると女性の名前にいくつか欠けが見られます。

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そして他のログを見ていくうちに、なぜ女性の名前が欠落していたのかが分かるようになります。その背景にあるのは一番最初に出てきたログ「男尊女卑」。この作品は謎解きを通じて韓国の歴史におけるネガティブな面について学べるようにできているのです。だからタイトルに「A Hate Story」とあるんですね。

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次に出てきたログは「スミス・ギョンサン」という人物が書いた手記のようなもの。それにしてもタイトルがいきなり「馬鹿なやつら」って…。ここでは親子関係について触れているようです。

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さらに韓国語に馴染みのないプレイヤー向けに韓国語の発音についての解説もあります。このように「Analogue: A Hate Story」はただシナリオを読み進めるビジュアルノベルではなくシリアスゲームとしての側面も持っています。

写真を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品をプレイしてまず驚いたのは「日本語翻訳が自然」だということでした。海外ゲームによくありがちな「直訳過ぎてみょうちくりんな日本語」が全く無いうえに、「日本語表記にしたらフォントがダサい」というこれまたよくあるビミョーな感じもありません。またキャラクターデザインも「外国人が描いたなんちゃって日本スタイル」ではなくちゃんとこなれており、写真ではお伝えできませんがサウンドもハイクオリティです。韓国の文化と歴史がモチーフであることを考えると、Love氏がこの作品を制作するのあたりどれ程膨大な調査と学習を重ねたかが伺えます。まさに力作!

なお、「Analogue: A Hate Story」日本語版は2013年以内にリリース予定で、2014年にはiOSアプリ版もリリース予定だそうです。

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ちなみにブースにいたこの方はコンパニオンさんではなくChristine Love氏ご本人です。ロリータさんだったんですね。

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