【TGS2013レポート】日本のソーシャルゲームは世界で通用するのか? パズドラに勝つ方法はあるのか? グリー・ポケラボ・セガネットワークスの世界戦の戦い方

 

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グリー株式会社が、東京ゲームショウ1日目に同社のブース内ステージにてスマートフォン向けゲームアプリの海外展開について語り合うビジネストークセッション「スマホアプリ必勝戦略!グリー・ポケラボ・セガネットワークスの世界戦の戦い方」を開催しました。登壇したのは、同社ネィティブ事業本部ネイティブゲーム事業統括部長 荒木英士氏、株式会社ポケラボ代表取締役社長 前田悠太氏、株式会社セガネットワークス代表取締役社長CEO 里見治紀氏で、モデレーターは日経BP 日経エンタテインメント!編集委員 日経BPヒット総合研究所 上席研究員 品田英雄氏が担当しました。
なお、グリーは昨年10月にポケラボを買収し子会社化しており、ポケラボは昨年11月にセガネットワークと合弁会社「SPG labo」を設立しています。

■日本のモバイルゲーム市場は2016年度には6000億円規模まで成長
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まず冒頭、品田氏は基礎知識としてグリーが独自に算出したモバイルゲーム市場の将来予想図を示しました。これによれば、2012年度の日本のスマートフォンゲームの市場は約1000億円で2013年度は約3000億円、このまま成長を維持していくと2016年度には約6000億円にまで拡大していくとのこと。それに対し日本以外の海外市場では各年度とも日本の約4倍の市場規模になる見込みだそうです。これを踏まえて品田氏は三者に日本のソーシャルゲームが世界で戦うためにはどうすればいいかについて質問しました。ちなみにこのトークセッションは事前に「意地悪な質問でもOK」と許可が出ていたそうで、普段なかなか聞くことのできないかなり突っ込んだ質問も飛び出しました。

■日本の常識は海外では非常識
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最初の質問「海外と日本で市場性や攻略方法に違いはありますか?」について、セガの里見氏は「カジュアルゲームに関しては海外でもほとんど趣味嗜好に違いは無い」としながらも、コアなゲームになると地域によってユーザーの好みや傾向がかなり異なることを指摘。「日本のゲームの主人公は中学生や高校生など弱い子供でその成長物語を描きますが、アメリカは最初から強いスーパースターが好きなので主人公はだいたいオジサン。そうした趣味嗜好の違いやゲーム設定の差があるので、現地の社員やパートナーの意見を聞き、彼らと組んで攻めていくのが良いと考えています」と答え、さらに「海外を攻略するにあたり気を付けることは、ゲームを”土着化”するということ。日本人が日本人の感覚で各地域のものを作るのはかなり難しく、我々は現地の文化を知っているその地域の人にカルチャライズやローカライズ、クリエイティブを作ってもらうのを原則としています」と説明しました。

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株式会社セガネットワークス代表取締役社長CEO 里見治紀氏

続けてポケラボの前田氏は、「欧米と日本では文化の違いだけでなくモバイルゲームの歴史の違いも大きく影響していると思います。日本はGREEとMobageのお陰でガラケー時代からモバイルソーシャルゲームに慣れ親しんでおりリテラシーがありますが、海外にはそれがありません。欧米ユーザーはカードゲームの”合成・強化”も知らないので、チュートリアル段階ででそのことをしっかり教えてあげないとユーザーが離脱してしいます」と語り、”日本の当たり前”が海外では当たり前ではない点を指摘しました。

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株式会社ポケラボ代表取締役社長 前田悠太氏

次にグリーの荒木氏は、日本と海外の市場を見る際に着目しなければらならないポイントとして「デバイスとプラットフォームの差」「文化の違い」「ゲームデザインの違い」の3つを挙げました。アメリカではiOSのシェアが圧倒的ですが、韓国ではAndroidが圧倒的で、さらにそこにKakao Talkといったその国ならではのプラットフォームが加わってくるので、国ごとにどのデバイス・プラットフォームを選択するのかが重要になってきます。それに加えて、前述のように文化的嗜好の差による好まれる表現の違いもあれば、ゲームのデザインや設計、機能の違いにも着眼しなければいけないというわけです。実際グリーもアメリカ進出以降の2年間で数限りない失敗を経てきたそうです。

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グリー株式会社ネィティブ事業本部ネイティブゲーム事業統括部長 荒木英士氏

■GREEが北米市場で好調って本当?
…と、ここで「グリーさん、アメリカ事業が上手く行き始めているというのは本当なんですか?」という、まさに冒頭にあったように「意地悪な質問」が飛び出しました。海外拠点の閉鎖・縮小など、最近はグリーの海外展開は失敗だったという論調の報道が多いようですが、荒木氏によれば現在の北米における同社の業績は好調で、具体的には「過去8ヵ月くらいで月間の売上が3~4倍になった」とのこと。確かに2011年のスタート当時は難しく、中止したプロジェクトは10以上にのぼり売上が伸びるまでに1年半もかかったそうですが、その失敗は上記の3つのポイントを学ぶ良い機会になったそうです。そして荒木氏は「決算発表以上のことは公表できない」と前置きしながらも、現在では月間売上が15億〜16億以上にまで成長していることを明らかにしました。またこれに続けて里見氏は、「欧米市場を獲る際にはアメリカから攻めるのが正しいかなと思ってます。まずアメリカで当たるとその次にイギリスで当たる確率が非常に高くなります。そしてイギリスで当たると次にヨーロッパ大陸で当たる確率も高くなります。フィンランドのSupercell(スマートフォン向け戦略シミュレーションゲーム『Clash of Clans』を提供)は世界中で当たっていますが、彼らはまず先にアメリカを攻めています」と説明しました。

次にゲームのローカライズについての話題に移りました。各社とも現地スタッフの意見を聞くことを重視しているのは同様で、前田氏曰く、ポケラボではゲームだけでなくその公式サイトのトップページの色自体が各国ごとに異なっているとのこと。例えば”欧米”のくくりでもドイツ、フランス、アメリカは全てUIやメインキャラクターが異なり、それを決めるのは現地のスタジオやアートディレクターで前田氏や他の日本人スタッフが決めることは一切無いそうです。逆にグリーではその属人性を廃することに注力しており、データやリサーチを基に決定しているとか。一方里見氏は「合理的なことと非合理的なことを上手くバランスをとっていきたい」との考えを語りました。ヒットする確率の高いジャンルをやっていく合理的な部分も必要なものの、それだけをやっていては新たなマーケットを切り開くことはできません。そのためセガネットワークスでは「合理的には通せないけれどある程度はチャレンジ」といったタイトルも手がけており、実際に成功したタイトルの多くはクリエイターの熱心なプレゼンにより渋々OKを出した企画であることが多いそうです。

■パズドラに勝つ方法とは?セガとGREEは仲が悪い?
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そしてさらに「ぶっちゃけ、パズドラに勝つ方法はありますか?」という文字通りかなりぶっちゃけた質問が飛び出しました。これに対し前田氏は「自分たちはアプリ群でパズドラさんに勝ちに行きたいと思っています。セガさんやグリーさんと作らせて頂いたタイトルも含め、アプリ群を有機的に繋げて一つのメディアにし、ターゲット層を一定属性に絞って深いソーシャル性を出していきます」と、パズドラに対抗する1タイトルで勝負するのではなく、ポケラボブランドの複数のタイトルをユーザーが回遊する流れを作って勝ちの必然性を上げる作戦を披露しました。これと同様のことをセガでも行っているとのことで、里見氏は「我々は『Noah Pass』という自社アプリ内でお客さんが回遊するシステムを作っています。他のディベロッパーさんにも無料で開放しており、我々はポートフォリオでパズドラが切り開いた市場で勝負したいです」と語りました。ちなみにこの「Noah Pass」は企業やタイトルを越えて連携するセガのスマートフォンアプリ向けのマーケティング支援サービスで、少し前に某媒体で”打倒GREE連合”といった内容の報道をされたのが記憶に新しいところですが、セガ自身はGREEやMobageを打倒する意思は無く、またお互い仲が悪いわけでもなく、あくまで「Noah Pass」はマーケティングツールで「自社で有料なコンテンツの有料なお客さんを回遊させていき、ポートフォリオを豊かにしていきましょう」というコンセプトなのだそうです。ちなみにグリーの荒木氏から「僕らも(Noah Passに)乗れるんですよね?」という質問が飛び出しましたが、もちろんOKとのこと。

■日本企業は既に海外市場を席巻している!
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最後に「日本企業がスマートフォンゲームの市場で世界を席巻できますか?」という質問が出ましたが、これに対し荒木氏は「席巻できますか?という質問がそもそもおかしい」と一刀両断。というのも、先週末のアメリカのApp Storeの売上ランキングTOP10の中にグリーのタイトルが3つと、グリー以外の日本産のアプリが2つランクインしており、TOP10の半分を日本産アプリが占めています。つまり「もう席巻しています」という状態で、現状では「いつまで席巻できますか?」というのが正しい質問であり課題だと指摘しました。また続けて「この状態を維持し、さらにもっと席巻するには、冒頭にも出たローカルマーケットに則した物作りの仕方だけでなく、そのためのグローバル経営という経営能力が問われます。コンテンツ作りの面と経営力の2つの面でがんばっていかなければならないと思っています」と語りセッションを締めくくりました。

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