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【OGC2008レポート】基調講演:二ワンゴ杉本氏、「ニコニコ動画は『あさっての方向』を目指す」

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コーエーの松原氏に続き、次の基調講演に動画共有サービス「ニコニコ動画」を運営する株式会社ニワンゴの杉本誠司代表取締役社長が登壇。ニコニコ動画のこれまでの歩みから目指す方向までについて語った。

【OGC2008レポート】基調講演:二ワンゴ杉本氏「ニコニコ動画について」
ニコニコ動画は2006年12月12日に仮サービスを開始した、動画にユーザーがコメントを付けられる”参加型動画共有サービス”。途中YouTubeからのアクセス拒否を受けるなどのアクシデントがあったものの順調に乗り越えユーザー数を増やし、2008年3月11日の時点で会員数580万人を誇る超人気サービスとなった。このうち「プレミアム会員」と呼ばれる課金ユーザーは19万2000人で、携帯電話から利用している会員も119万人にも上る。
ニコニコ動画の収益モデルは「プレミアム会員収入」と「広告収入」、「アフィリエイト売上高」の3つだが、このうち最も特徴的なのが、動画に関連したアフィリエイトをユーザーが自由に掲載できる「ニコニコ市場」、つまりアフィリエイトなのだという。2月の合計金額はこのアフィリエイト売上高だけで2億8600万円にも上ったとのこと。
杉本氏曰く、この「ニコニコ市場」は動画のネタ部分を増幅させるツールのようなものだという。例えば、高いところに上って降りられなくなってしまった猫の動画があると、ユーザーははしご車の玩具のアフィリエイト広告をAmazonで探して貼り付ける。つまり「これで降りてきなさい」という意味だ。
話を聞いているだけでは何が面白いのかさっぱり分からないが、ニコニコ動画を利用しているユーザーには意味が通じる。こうして「動画」を通してネタが増幅され、その独特の”面白み”を共有できるのがニコニコ動画の魅力らしい。
【OGC2008レポート】基調講演:二ワンゴ杉本氏「ニコニコ動画について」
他にも、動画に少しだけ映り込んだ音に合わせて花が踊る玩具「フリップフラップ」や、ある曲の「Go My Way」という歌詞が「ごまあえ」に聞こえることから「すりゴマ」のアフィリエイト広告が貼られ、それがニコニコ市場で大ヒットするといった例もあるという。
杉本氏は「この”ネタ”に共感したユーザーが、自分の気持ちを表すためにそのアフィリエイト広告から商品を買う。ただの広告ではなくそれ自体がコミュニケーションや自己表現の手段となっている」とニコニコ市場の特徴を解説した。
さらに今年2月からは、ユーザーが商品を購入するとサイト上部に”誰がどの動画を見て何を購入したか”という表示が出る「電光掲示板」機能が追加され、それがまた商品購入のモチベーションを高める要因となり、ユーザーからの受けも良く売り上げも伸びたという。
ニコニコ動画はYouTubeに比べて「他ユーザーと一緒に楽しむ」要素がありコミュニティ色が濃く、ユーザーは動画を視聴するというよりコメントを書き込んで「参加する」傾向が強いという。このため、ニコニコ動画の滞在時間はYouTubeに比べて約2~3倍にもなるとのこと。
最近では猫が土鍋の中で眠る「ねこ鍋」やニコニコ動画で人気の歌手が集まってリリースしたCD「ランティス組曲 feat.Nico Nico Artists」など、ユーザーの作品が商品化されるケースも出てきており、単なる動画共有サービスの域を越え、それまで埋もれていた才能を世に送り出すクリエイティブな場所にもなりつつあるという。
【OGC2008レポート】基調講演:二ワンゴ杉本氏「ニコニコ動画について」
杉本氏は「他の動画共有サービスが行く方向とは違う”あさっての方向”を目指している。」と、今後もニコニコ動画ならではの独自性を追求していく考えを述べた。
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