2008年バーチャルワールドの展望を語る インタビュー

第5回「バーチャルワールドエージェンシー」第1部 メタバーズ 島谷直芳氏

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日本国内でバーチャルワールド関連に取り組み、さまざまな成果を上げてきた企業の中で、特に早期から活動を本格化していた企業はそう多くはない。第5回でご紹介する3社はいずれもそうした企業のひとつだ。活動内容は自社サービスの企画運営や他企業のセカンドライフ活用支援やコンサル、または共同でのビジネス展開などバーチャルワールドに関連すること多岐に渡る。こうした企業を一言で表すのは難しいが、ここでは「バーチャルワールドエージェンシー」としておきたい。
2007年のセカンドライフ、バーチャルワールドの動きを見続け、走り続ける各社は何を考え、何を行おうとしているのか、話を聞いてみたい。
第1部の株式会社メタバーズは、中でも最も設立が早く2006年6月に設立している。セカンドライフの名前さえ国内ではまだほとんど名前を聞くことのなかったころからメタバース(バーチャルワールド)に焦点を置いたビジネスを展開する同社の、今後の方向性について島谷直芳氏に語ってもらった。

2007年のバーチャルワールド関連の動きについてどう感じていますか。
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代表 島谷直芳氏

2006年に会社を立ち上げた際に少し先までの流れを考えてたんですが、実際の動きのほうが少し早かったですね。例えば、2006年の秋頃、まわりの人に「有名企業のほとんどがバーチャルワールドに拠点を持つようになるかもしれない」ということを話すと、「10年くらい先ならあるかもね」という印象を持たれていました。私は2010年くらい、つまり4年先くらいかな、という感覚があったんですが、2007年にはフジテレビやジャスダックや、多くの企業がバーチャルワールドの活用を始めています。今はみんなの感覚ももう少し早い印象ですよね。」

―― メタバーズとしても忙しい1年でしたね。
人生で一番忙しかったかもしれないですね。

―― メタバーズさんの活動を見ているとバリエーションが多岐にわたっているように感じられます。そういう方向性はあるんでしょうか。
プロジェクト単位でいろいろやろうとしています。
というのは、これまでのインターネットを見てみても、YahooやGoogleが始まったときにここまでメジャーになるというのはわからなかったように、1995年ごろは2000年ごろに何が「くる」のかわかりませんでした。同じように、今はまだバーチャルワールドの分野でなにがくるかっていうのははっきりとはわからない。であれば、多くチャレンジして、そのうち何勝何敗という感じを目指しています。

―― 多くのプロジェクトをカテゴリにくくるとしたら、どういうカテゴリに分けてやっているのでしょうか。
そもそもバーチャルワールド自体がすごく狭いですからあまり分けてはやっていないですね。それぞれ、独立してポン、ポン、ポンとある感じで。
今進んでいるプロジェクトを強いて分けるとすれば、「街開発」「受託事業、参入支援」「ビジネス開発」という形になるでしょうか。最後のビジネス開発にはセカンドライフ内ツールの「sl-ime(スライム)」やセカンドライフ専門ブログサービスの「slmame(ソラマメ)」などが入ります。2007年末に始めたセカンドライフ内百貨店「Pigeon's(ビジョンズ)」もここですね。

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セカンドライフ内百貨店「Pigeon's(ビジョンズ)」

―― メタバーズのビジネスは参入支援だけでなく、ツール制作や、アイテム制作販売でも「Pigeon's」でより掘り下げていく方向性など、かなり幅広い印象を受けます。
もともとやりたかったのはそういうことなんです。もちろん、参入支援も今必要とされることなのですが、それも単に請け負うのではなく、一緒にビジネスを考えていくことでコラボレーションとしてつながっていきます。メタバーズとしては、そうしたビジネスを生み出すことをコンセプトにしています。

―― 最近の例では、それが「Pigeon's」ですね。
「Pigeon's」では、まず単純にものづくりをしたいという思いがありました。モール運営というのではなくて、自分たちがいいなと思えるものを作りたいというのと、こうしたアイテム制作が「生活できる」商売になりえるということ実証したいと思っています。極端な話、ひきこもっていても生きていける、と。ただ、そういう世界になると競争も激しくなってくるので、いいものをつくろうとしていく中でネットばかりではなく、外に出たり、本を読んだり、デザインの勉強をしたりとか、他のアクションにも繋げていける。そうなったらいい循環になると思います。それは、Pigeon'sに限らず、インターネット全体にもいえると思うんですが、なかなかそうはなっていなかったですよね。それがもう一歩進められるんじゃないかと思っています。」

―― テクノロジーによって、思い描いていた世界に近付いてきたというのはありますね。また、Pigeon'sもそうですが、メタバーズの作品は質に対するこだわりが強いと感じます。
バーチャルワールドがよくなってきたとなぜ思えるかというと、世界そのものの表現力が豊かになってきた、ということがあります。アバターにしても、女の子が普通にかわいいとか、景色などがきれいと思えるようになった。そうなれば、やっぱりかわいい子のほうがいいな、とか、ただの絵なのに感情移入できるようになってくるんですね。表現力があるから感情移入できる。だからこそ、バーチャルワールドの体験で「うれしい」とか「きれいだな」とか思うわけです。質の高さはそれだけたくさんの人をよろこんでもらうということにつながりますし、それに見合った対価をいただくということもできるようになってきます。

―― そうした活動をふまえて、2008年のメタバーズはどのように活動していくのでしょうか。
あまり変わらないですね(笑)。2007年は参入支援やビジネス開発やいろいろ始めることができたので、さらに新たなビジネスを作っていくなど、そうした動きを2008年も継続していきたいと思っています。もう少し言うと、短期的には受託開発が中心になるでしょうし、中期的にはビジネス開発、長期的にはコミュニティ運営が主になってくると思います。
世界では毎年たくさんの会社が生まれるんですが、その中で残っていくのはほんとに一部です。そういう状況の中では致命的にコケないことが大事ですね。そのためにいろいろなビジネスを立ち上げていこうとすると、自社だけよりも他の企業等とコラボすることでより広がりがでてきます。
2008年も「変わらぬメタバーズ」として、新たなビジネスを生み出していきたいと考えています。

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