東京ゲームショウなど数々のイベントにデモ版が出展され、その完成度の高さからリリース前から話題になっていた株式会社Onion Gamesのスマートフォン向けRPG「勇者ヤマダくん」が遂に先月リリースされました。見ての通りグラフィックは全て昔懐かしいドット絵で、BGMもファミコン全盛期を彷彿とさせるピコピコサウンド。主人公の「ヤマダくん」と同じ世代の大人にはたまらない世界観です。
ヤマダくんは大手ゲーム会社に勤務する会社員であるにも関わらず会社をサボって趣味のゲーム開発に没頭する残念な中年男性です。今日も今日とてパンツ一丁となり自分の妄想を具現化したゲームを開発します。
本作の面白いポイントは、ストーリーパートはヤマダくんを取り巻く現実で、ゲーム自体はヤマダくんが開発したゲーム、つまり仮想世界というところ。プレイヤーはヤマダくんが開発しているゲームをテストプレイするという設定でダンジョンを探索していくわけです。ヤマダくんが開発を進めるとゲームに新機能や要素が追加され、ダンジョンも徐々に複雑になり難しくなっていきます。現実と仮想を交互に行き来しながらゲームを進めていくのが新鮮です。
ダンジョン攻略は、ヤマダくんのいるスタート地点からドアのあるゴール地点までを一筆書きで繋いでいくというもの。ダンジョンの途中には様々なタイプの敵やアイテムがあり、どのルートを通ってゴールに到達するかが攻略のカギとなります。敵に近づくとターン制でバトルが始まりますが、遠距離攻撃するタイプの敵もいるので出会う前からガンガンHPを削られることもあります。一見カジュアルに見えますが、ダンジョンのあちこちに敵やアイテム、ギミックが仕込まれておりなかなか一筋縄ではいきません。
出社拒否状態となったヤマダくんを心配して仲の良い後輩が様子を見に来ますが、ヤマダくんはゲーム開発を止めません…
するとヤマダくんの部屋の隣に女子高生のマリアちゃんが引っ越してきました。ヤマダくんは一目で恋に落ち…
なんとマリアちゃんをイメージした「お姫様」をゲームに実装!駄目だこいつ…早くなんとかしないと…
そしてゲームに「悪者をやっつけてお姫様を助ける」という要素が追加されました。それに従いダンジョンの難易度も増していきます。
その代わりアイテムやゴールドも増えて収集が楽しくなってきます。全てのルートを万遍なく通るとパーフェクトボーナスもあり。ここら辺はローグライクとハック&スラッシュっぽくもあります。
ダンジョンを全てクリアするとお姫様にキスしてもらえます。嬉しくて思わずパンツ一丁になる”勇者ヤマダくん”。
ダンジョン内で収集した「セット装備」を着て能力もアップ!演出がニコ動風です。
ところが現実は甘くない!ヤマダくんの勤め先である帝国ゲームスの会長が突然部屋に押しかけ、遂にヤマダくんにクビを宣告。まあ会社をサボって趣味のゲームばかり開発しているのだから当然と言えば当然です。
しかしヤマダくんは無職になってもへこたれません。再就職に励むと思いきや、なんと「ダンジョンに会長を登場させて討伐する」という明後日の方向にブッ飛んだアイデアを思いつきます。これでラスボス(会長)がゲームに実装されました。
なお、このラスボスが結構強くて実はまだ勝つことができないでいます。とは言え小まめに新しいストーリーが展開すると共に新機能やダンジョンが追加されるので、どこかでつまづいても飽きずに続けることができます。古き好き時代の8bit感、ユルくてシュールなストーリー、やりごたえのあるダンジョン攻略が組み合わさった実にバランスの良い良作です。現実世界と仮想世界を行き来してストーリーが展開していくのもプレイのモチベーションを高めてくれます。是非お試しあれ!