【OGC2008レポート】基調講演:コーエー松原氏、オンラインサービスの可能性は「心地よいおせっかいなサービス」

   2011/04/01

ブロードバンド推進協議会が主催するオンラインゲームとコミュニティサービスのディスカッションイベント「オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス 2008」(以下OGC2008)が3月14日(金)に東京・千代田区のベルサール神田で開催された。

【OGC2008レポート】基調講演:コーエー松原氏「オンラインゲーム CROSS BORDER」
イベント冒頭の基調講演にはゲーム制作会社の株式会社コーエー・松原健二代表取締役社長が登壇、「オンラインゲーム CROSS BORDER」と題し講演を行った。
■ゲーム市場動向
【OGC2008レポート】基調講演:コーエー松原氏「オンラインゲーム CROSS BORDER」
まず松原氏はニンテンドーDSやWii、PS3などの各種プラットフォームの国内外の販売台数を示し、高機能な「Xbox 360」と「PLAYSTATION3」が日本ではあまり受け入れられていないのに対し欧米では一般的に普及しているというギャップを解説。これはWiiやPSPなど他のプラットフォームの販売台数と見比べても異常と言えるほど差が開いた状態なのだという。また、日本のゲーム市場はニンテンドーDSがヒットして以降上り調子で成長しているが、欧米の市場規模はそれ以上に拡大・進行しており、この差は今後もさらに開いていくだろうと分析。欧米の市場はスケール・中身とも日本とは大きく異なるという認識を持つ必要があると語った。
また松原氏は当初、日本のゲーマーは家庭用ゲーム機でプレイする時間が長いため、オンラインゲームの普及も家庭用ゲーム機がオンライン対応することにより成長していくのではないかと予想していたそうだが、実際のところ家庭用ゲーム機の市場規模は現状300万台程度しかなく、まだそのラインに達しているとは言えないとのこと。
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むしろオンラインゲーム市場は韓国が急速に成長しており、中国も2005年より急激に成長し始めているという。日本も韓国、中国には及ばないものの年々着実な伸びを記録しており、新しいプラットフォームの要素がなくても前年対比で40%以上成長できるのは、日本のゲーム市場ではオンラインゲームとモバイルコンテンツだけとのこと。
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ただ、これらのデータは発表している媒体によってかなりバラつきがあり、今後何らかの共通基準が必要なのではないかと松原氏は指摘した。
■オンラインゲームは何処へ?
日本では数年前より、次世代機の登場などの環境整備や新たなビジネスモデルの出現、国内デベロッパーの参入などによりオンラインゲーム市場が成長するのではないかとの期待が持たれていたが、現在、当時の期待より市場は成長していない。
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このことについて松原氏は「スーっと追い抜かれた」と表現。コーエーがオンラインゲーム市場の拡大・成長のためにまい進していた脇を「mixi」や「ニコニコ動画」、「モバゲー」などのオンラインサービスが追い抜いて、あっという間に数100万人規模の登録人数を獲得してしまった。その一方、オンラインゲームでは未だにそれらに匹敵するほどの登録人数を有するサービスが出てきていない。この状況を打開するには、オンラインゲームも単独のサービスに留まらず、他のオンラインサービスと連携することで「コミュニティを活性化させるサービス」を提供する必要があるのではないかと分析・提案した。
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しかし松原氏は、これらオンラインサービスの特徴でもある「サービス無料」や「先行者優位」というポイントはゲームメーカーとしては相容れない部分であり、クライアントの広告収入だけに頼るビジネスモデルでは独自性が保ちにくくなるので安易に選択すべきではないと語った。
また今後のオンラインサービスの可能性として松原氏は「オープンID」の有用性に触れ、このオープンIDがさらに発展していくことによってユーザーの行動分析型マーケティングが進み、個人に合わせた「心地よいおせっかいなサービス」ができるようになるのではないかと分析、今後コーエーでもオンラインゲーム以外でも適切なサービスを提供できるようできることから取り組んでいくと語った。
■コーエーの取り組み
最後に松原氏はコーエーが現在提供しているオンラインゲーム事業を説明した。
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コーエーのオンラインゲーム第一号である「信長の野望Online」は、5年間で国内登録者数30万人、そのうち課金ユーザー5.5万人を抱えるまでに成長。その次にサービスを開始した「大航海時代Online」は韓国、台湾、中国でも展開しており、コーエーのオンラインゲームの中では最も多くの地域でサービスを提供している。三作目となる「真・三國無双Online」はそれまでの定額課金制からアイテム課金制に課金システムを移行し2006年11月に国内サービスを開始。以降台湾、中国でも順調にクローズドβを展開し今年中には韓国でもサービスが開始されるという。
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また最新作「三國志Online」では、2月29日からのサービス開始から僅か2週間足らずで2万人の課金ユーザーを獲得したとのこと。これは他のサービスから移ってきたユーザーではなく全く新しい層からのユーザーなのだという。開発中は定額課金制にするかアイテム課金制にするかで随分悩み、最終的に定額課金制でサービスを開始したが、ある意味時代を逆行した”オーソドックスな”定額課金制を選択したにも関わらず2万人の新規ユーザーを獲得できたことから、松原氏も日本のオンラインゲーム市場に大きな可能性を感じたとのことで、「日本のオンラインゲーム市場にはまだまだ成長の余地があり、大変魅力的な市場。もっと多くの企業が参入し一緒に盛り上げて欲しい。」と締めくくった。
さらに講演の最後に設けられた質疑応答では、ソウル中央大学の魏 晶玄(ウィ・ジョヒン)教授から「現在日本でも海外でもオンラインゲームが難しい状況にあるが、産業全体として今後何をすればいいか?」という質問が上がった。これに対し松原氏は「大変難しい質問」としながらも、「ネットサービスがまだ安心して受け入れられていない状況を直視し、魅力や面白さをアピールすると共に”健全さ”もアピールする必要がある。そしてゲームをプレイしていない人にもオンラインゲームを理解してもらうために、大学や研究機関と共に様々な取り組みを展開して、コンテンツが安心して使えるものであることをきちんと伝えていくことが重要」と回答した。
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