2007年12月にクローズドベータテストを開始後、少しずつその全貌を表そうとしているバーチャルワールド「meet-me」。2008年に入り、すでに2度の負荷テストを実施するなど、本格的な展開に向けた動きが見え始めている。しかし同時に2月初めに行われた「Virtual World of the Year 2007」記念イベントでは現状を「氷山の一角」と評しているように隠された部分はまだまだ多そうだ。
正式サービスの開始を控える今、改めてその背景を振り返ってみたい。
「meet-me(ミートミー)」の特徴のひとつは地図データを元に東京の地形を作成し、そこにランドマークを設置することで東京を再現しているという点だ。これによって、例えば「渋谷のハチ公前のような場所は人が多い」というようなリアルの場所に対する感覚をmeet-meの中でも活用することができ、ある種のわかりやすさにつながっている。
正式サービスを控える「meet-me」について、運営元の株式会社ココア代表取締役、森山雅勝氏に話を聞いた。
――「meet-me」の正式オープンはいつの予定でしょうか。
代表取締役の森山雅勝氏
「昨年の12月16日にクローズドベータを開始しました。正式オープンの予定日は状況を見ながら検討しますが、2008年4月ごろまでにはオープンしたいと思っています。」
――meet-meは東京の再現などリアルとの連動が大きな特徴ですが、当初はどのように集客を行っていく予定でしょうか。
「meet-meとして集客はあまり気にしていません。既に始まっているサービスであれば、『何十万人、何百万人いますよ』ということが重要になるのでしょうが、正直なところユーザー規模がどれくらいになるかはまだわからないですね。それよりも、meet-meを利用していただく企業の方には『新しい表現手段』を手に入れたと思っていただきたいという認識です。それに当社が対象とする企業クライアントの方はそもそもお客様へのリーチ手段は持っています。リーチしているお客様に対して、meet-meでこういった表現手段を使って何か考えられませんか?というのがご提案の趣旨です。こうした表現手段を自社で開発することなく、コストをあまりかけずに利用できる、というメリットを感じていただきたいと思っています。」
――なるほど。そうした企業連動とは別に、meet-meとしての当初の想定ユーザーはどういった人たちになるでしょうか。
「サラリーマンですね。」
――サラリーマン!?
「はい。こういった仮想世界に純粋に興味のある人はまだビジネス目的の人が多いと思います。ただ、サービスとしてはSNSやブログのユーザーを引き付けることを目指したいですね。そのためには『ゲーム』として見られたくない。あくまでインターネットサービスの延長で、SNSのようなコミュニケーションプラットフォームのインタフェースが3Dである、という認識にしたいです。」
――それらのユーザーを引き込むためのサービス設計のポイントは。
「操作性も大事ですが、それよりも前に『きれい』であることと同時に、『わかりやすい』ことですね。東京をモチーフにしたのはその意味もあります。例えば、『人が集まる場所に行きたい』と思ったら渋谷や新宿、六本木などに行けばいいとすぐにわかりますが、これは現実世界の経験を生かせるからです。独自の世界だとその世界のことについて改めて調べなくてはなりません。この違いは大きいと思います。」
――これからが本番になるわけですが、現在の展望はどうでしょう。
「アバターを通してリアルタイムでコミュニケーションできるということの面白さは強力です。相手は単なるアバターだと分かっていても、話しかける時はなんとなくかわいい子を探してしまったりするという面白さもあります(笑)。これまでのオンラインゲームユーザーもこうしたコミュニケーションにはまっているわけですし、受けないわけはないと思っています。
また、海外をみるとセカンドライフ以外にも似たジャンルのサービスがそれなりにユーザーを集めて続いている。こうした状況には勇気づけられますね。コミュニケーションの面白さっていうのは必ずあるんだろうな、と。ただ、この『アバター』という名前はあまり好きじゃない(笑)今は仕方なく使ってますが、どうにかするつもりです。
そして、ポイントプログラムとの連動を進めたいと思います。meet-meで遊んでポイントがたまるというサイクルがうまく回り出せば、ポイントを出してくれるクライアント企業も増えてくると思います。
また、meet-meはメディアとしてマスを目指します。そのためにまずは企業に対して価値を伝えていきます。個人主導なものはどうしても流行り廃りがありますし、こちらからの働きかけが難しい。企業には働きかけていくことができますし、価値に気付いて取り組んでもらえればバレンタインやクリスマスのように長く続くことができると考えています。」