株式会社MM総研と国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(以下GLOCOM)が、3Dプリンティングに対する消費者の潜在ニーズに関する調査・分析を共同で実施しその結果を発表した。
これはインターネットアンケート方式により国内の一般消費者を対象に3Dプリンティングの用語認知度や興味度合い、利用シーン等について2段階調査を行ったもの。
まず、1次調査で3Dプリンティング製品・サービスの興味度合いを尋ねたところ、3Dプリンティングの内容を「認知している」と「認知していない」にかかわらず、「興味あり」との回答が51.5%を占めた。内訳は3Dプリンティングを「認知している」消費者が7.3%、「非認知」だが定義を読んだ上で「興味がある」と回答した消費者が44.2%となった。
次に、2次調査として3Dプリンティングに「興味がある」と回答した消費者のうち2,000人を抽出し、使ってみたい用途について利用シーンを「オリジナルなモノを作る」と「お手持ちの写真やビデオを立体化する」に分け、それぞれについて具体的な用途を分類したうえ、どのようなものを立体化したいかを単一選択式で尋ねたところ、「オリジナルなモノを作る」ではインテリア・生活雑貨・食器が32.7%、好きなキャラクターや人物のフィギュアが17.7%、オリジナルガジェット小物の製造(スマホケース・カメラレンズのふた・ヘッドホンなど)が16.2%と上位を占める結果となった。「お手持ちの写真やビデオを立体化する」では家族・子供・親友など大切な人との写真が20.8%、好きな車・建物・鉄道などの写真模型が18.2%、思い出の風景や景観の写真が17.8% ペットが12.2%という結果となり、消費者の期待する用途は多彩・多様化していることが伺えた。
これらの結果について、調査設計を担当したMM総研アナリストの中村成希氏は「大量生産・消費型の産業構造とは異なり、個人が自分の欲しいものを手軽に作成する、また創造していくという新しい構造の産業が生まれてくるのではないか」と予測し、調査全体の分析・監修を担当したGLOCOM主幹研究員/准教授の上村圭介氏は「ものを作るという行為は分業化、工業化が進みマニュファクチャリングとして分岐・洗練化したが、3Dプリンティング技術の進歩や装置の小型化で再び『パーソナルファブリケーション(個人によるもの作り)』」として人々の手に戻ろうとしている」と分析し、同時に「パーソナルファブリケーションの特性として、単に趣味志向といった延長線のものづくりだけではなく、実用性や有用性を兼ね備えつつも、個人個人の自己表現としてものづくりの可能性が期待できる」と指摘している。レポート全文の購入はこちら。