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人はなぜ形のない物を買うのか 仮想世界のビジネスモデル

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人はなぜ形のないものを買うのか
人はなぜ形のないものを買うのか
最近のオンラインゲームはアイテム課金が増えている。アイテム課金制のゲームでは月額などの定額課金制と違って誰でも無料でゲームを始められる。だが本格的に楽しもうと思ったら、着飾るための衣服や仲間と連絡する道具などのアイテムを購入する必要がでてくる。この戦略が収益面で成功しているようだ。


この本によると日本のオンラインゲーム市場では定額課金制とアイテム課金制の平均単価は
     定額課金(平均)アイテム課金(平均)
2005年 1338円         4483円
2006年 866円          4385円
という状況であるという。アイテム課金の方が4倍も儲かるという結果になった。無料版と有料P版を分けるというのではなくてゲーム内のアイテムを有料化する。このアイデアはゲーム以外のWebサービスでも使えるアイデアかもしれない。
著者はオンラインゲームを中心に仮想世界における消費者行動を広く分析している。ゲームの娯楽性よりも、コミュニティがユーザーが長く遊ぶ動機になること、居場所の提供が大切な概念であることなど、現実のゲームユーザーの実態調査から次々に興味深い事実が明らかになる。
消費行動に関連して、仮想世界内での新しいオピニオンリーダー像についての考察が個人的には大変勉強になった。ちょっと長いが引用させてもらうと、
「オピニオンリーダーの特性については、Rogers(1962)が、次のような条件を挙げている。第一に、コミュニティ外部にある先端的な情報にアクセスできるだけの、能力・知識・地位をもっていることである。第二に、コミュニティ内部で、他のメンバーに新しい情報を伝えるだけの、社交性と社会的地位があることを挙げている。ここでいうコミュニティとは、職場や地域社会という現実世界での人間関係を想定している。 当時、新しい情報にアクセスできるのは教養や社会的地位のある人に限られていた。オピニオンリーダーは地域社会のリーダーと想定されていたのである。しかし、インターネットの登場で、誰もがクリック一つで世界中の情報にアクセスできるようになる。情報が希少な時代から情報が氾濫する時代へと、状況は大きく変わったのである。あうると希少な情報を持っているというオピニオンリーダーの条件がそぐわなくなっている。今日ではむしろ、膨大な情報の中から適切なものを選び、他人に説得するプレゼンテーション能力が重要なのではないかと思われる。例えば、人気ブログの魅力は、その人の視点で情報が整理され意味付けられストーリーとして語られることにあるのではないか。さらには、近年の情報ベースから活動ベースへのコミュニティの変化は、オピニオンリーダー像をさらに変容させている。情報発信型のリーダーから、「実際に客をひっぱってくる」という活動面でリーダーシップを発揮するユーザーが登場する。」
ネットでは全人格的なリーダーシップではなく、プレゼンのうまさ、視点の斬新さ、客引きのうまさなど、分業化階層化された、複数の特殊なリーダーシップによって仮想世界コミュニティの社会や経済は動いていくようである。
仮想世界コミュニティの実態に深く分け入った秀逸な研究書だった。ネットビジネス全般のビジネスモデル考察の参考にもなる。
橋本大也
情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/

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