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稲船社長が語る!ダレットワールドを車に例えると?【後編】

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(前編から続く)
―― そうしたコンセプトで開発されたダレットワールドですが、開発中は同じようなバーチャルワールドが出てこないかドキドキしていたと伺いました。
作り直したりコンセプトを変えたりといったことがあったので今になりましたが、構想では去年の春くらいに発表できるはずでした。その時期であれば、他にはないという自信はあった。でも、それを過ぎてしまうと、この業界は流れが速いですからどこかで察知されて出てくるんじゃないか、と。でも、なかなか出てこなかったですね。

■賛同企業は50社近く。個人クリエイターとの連携も模索。
―― ダレットワールドの開発で苦労された点は?
その点はセカンドライフさんには助けられてるなあと思ってます。やはり世間一般にバーチャルワールドを認知してくれたのは大きい。対外的にも社内的にも「セカンドライフ的なもの」というとイメージしやすいんですよね。でも最初は社内での説明でもなかなか理解してもらえず苦労しました。とはいえ、やはり苦労なしでは新しいことはできないと思っているので、そういう苦労もまだいいんですが、やっぱり、もうちょっとわかってくれると早いのにな、と思うことはありますね(笑)。
また、新しいものだからこそわからないことも多かったです。例えば売上にしても、コンシューマーゲームだといくらで何本売れましたという形でわかりやすいんですが、オンラインゲームの場合はわかりづらいですね。それでも月額だとまだ比較的わかりやすいんですが、バーチャルワールドだとアフィリエイトとか広告収入とか様々で、しかも他に似たサービスがないのでなかなか根拠をもった見積もりができない。もし、Yahoo!さんと同じようなサービスであれば、そことの比較で説明できるけれども最初はどこにもないんで。「広告はそんなに売れるのか」とか、「アバターはそんなに売れるのか」という、そういう経営判断としてどこまでお金をかけていいかわからない中で、どう説得していくかという苦労はありましたね。なので説明は「ゲーム1本作らせてほしい」という入り方をしたんです。ゲームだと小さいもので数億円、大きいものでウン十億円かかるんですが、わりと大きめなゲームを一本作るくらい、カプコンでいえばバイオハザード1本作るくらいの覚悟してくれれば、と。最初はそうやって説得しました。
稲船社長が語る!ダレットワールドを車に例えると?【後編】
―― 発表会ではダレットワールドに対する多くの賛同企業が挙げられましたが、どういった取り組みを考えていますでしょうか。
今、表に出ているのは20社ほどですが、企画ベースで賛同を示してくれた企業は50社近くあります。組み先としては、どのサービスでもそうだと思いますが各業界トップの企業と組みたいですね。また、できるだけ柔軟性を持った所とやっていきたいと思っています。ダレットワールドをどう使ってもらってもいいんで、各企業さんのニーズに合わせた組み方ができれば。ダレットワールドはゲーム屋がやっているので、そういった遊び心を持ったコンセプトに賛同してくれるところがいいなと思いますね。
また、企業と組むだけではなく、個人のコンテンツ提供も含めてやれたらなと思っています。参入の間口は広くしたいですね。
―― 私自身、鬼武者は1,2,3とも遊んだのですが、斬る爽快感というか、そういった操作感覚が相当作りこまれている気がしました。ダレットワールドではなにかそういった操作感覚にこだわった部分はあるのでしょうか。
ゲームではないのでレスポンスとかそういうものではないと思うんですが、直感的にわかるものはいれていきたいですね。例えば、人を動かすのにオンラインゲームではカーソルキーを使ったりマウスで引っ張ったりという操作が、いわば「当たり前」になっているんですが、これも「当たり前じゃない」というところに立って考え直しています。その上で、基本はマウスで操作できるようにしているんですが、それも常にマウスで動く方向へ引っ張るという操作以外にも、「ここ行きたい!」とか「この店がいい!」とか、行きたい場所をクリックするだけで自動的に歩いて行くようにして、直感的に操作できるようにしています。ゲームと関係のない業界の人はそれだけで喜んでくれますね。クリックしてそこに動いていくと「おおー!」って(笑)動いてくれるのがうれしいって。これは大発見でした(笑)「鬼武者」で、最初は(鬼武者のキャラクターを演じた俳優の)「金城武を動かしてるのがうれしい」というのがあったと思うんですが、それと同じような、微妙なうれしさがあるみたいですね。
普段からゲームをプレイする人は「動かす」という感覚が当たり前なんですが、ゲームをやらないひとには「動いてくれる」という感覚もすごく必要だろう、と。「動かす」という要素ももちろん入れるんですが、「動いてくれる」要素もきっちりと入れていきたいと思います。
【独占インタビュー(後編)】稲船社長が語る!ダレットワールドを車に例えると?
■「ダレットワールド」は車でいうと・・・
―― 以前、あるインタビューで「アクションゲームはマニュアル車」とお話しされていましたが、ダレットワールドは車に例えるとどんな車でしょうか。
ダレットワールドはですね、車に例えると…(ハイブリッドカーの)プリウスよりももっと先にいった、充電をしなくていい電気自動車くらいじゃないですか?
車を運転したら「ガソリンをいれないと」という意識ががありますよね。電気自動車なら「充電しなきゃ」とか。そういった意識なく、ダレットワールドに入っているようなイメージです。乗ることを意識せずに、当たり前に乗っていくような。だから、今の車のユーザーはターゲットではないんですよ。今のユーザーは運転操作とか「ガソリン入れなきゃ物足りない」とかそういう部分にも価値を感じていると思うんです。
でも、インターネットを使っている時に、Windowsやインターネット・エクスプローラーを使っていることってまず意識していないじゃないですか。それがマイクロソフトのすごさだと思うんですけど、そこに行きつくモノが一番広がるモノだと思うんですよね。
だから、バーチャルワールドがセカンドライフかダレットワールドかといってる時点ではだめなんですよね。使っている人が何を使っているのかわからない、というぐらいのところに行きつけるものを作らないといけないと思っています。その意味でダレットワールドが目指すのは「今の車」ではない「近未来の自動車」です。
逆にアクションゲームとかマニュアル車的なものって操作する意識が楽しいものですよね。僕もマニュアル車に乗るんですけど、渋滞以外はすごく楽しい(笑)。自分が運転しているという楽しさを味わえる。
でも、そういう楽しさを味わいたいゲームと排除したいゲームというのがあると思うんです。後者の究極の形がゲームではないけどゲームっぽい、ダレットワールドのような世界なんじゃないかなと思います。
―― そして、クローズドベータテストが始まりました。
最初はみんながどういうところに興味を持ってくれるか楽しみです。「ダレットワールドに」じゃなくて、バーチャルワールドに何を求めていて、何を不満に思っているのかを知りたいというのはありますね。それをコミュニティの中で知ることができればいいな、と。そういう要望や不満を聞く期間がしばらく続くと思うんです。それがこれまでのゲームと違うところで、ゲームは発売してから不満を聞いたらだめなんですよ。不満は発売前に聞いて対応して、発売したら「おもしろい!」という声だけをほしい。
でも、オンラインのサービスは発売してからつくりながら進んでいくものなので、未完成なものをみんなで完成に近づけていくというのが重要だと思っています。
前編
稲船社長が語る!ダレットワールドが目指す世界とは?【前編】
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