東京メトロが、トンネルなどの土木構造物の検査業務の教育用にAR技術を活用したアプリを開発し、2017年5月より使用を開始した。
このアプリは、2015年度から同社内で運用している土木構造物の検査業務用iPad専用アプリを拡張開発したもので、総合研修訓練センター(江東区新木場)内の模擬トンネル、模擬橋りょう・高架橋において、iPadアプリの画面上に実際のトンネルや橋りょう・高架橋に存在する変状を再現することができる。これにより、検査業務用iPad専用アプリを用いた実際の検査業務と同じ手法・手順で、維持管理技能の模擬体験が可能となった。従来の教育方法は、列車運行時間や狭隘なトンネル等安全上・時間的制約の理由から現場へ赴いての研修が困難であり、テキストや写真での研修がメインだったが、このアプリの導入より、実際の検査の方法・手順を模擬体験できるようになり、実際の変状を仮想的に確認することで理解度を高めることができるようになったという。なお、同アプリの開発にあたり、模擬橋りょう・高架橋にはARマーカーを設置しているが、模擬トンネルは壁面自体をマーカーとして認識する技術も開発・活用しており、一般的に必要となるARマーカーの貼付けや取替えが不要となっている。
同社では2015年4月よりトンネル検査へのiPadの導入及び検査専用アプリの導入を行っており、検査の効率化や紙の削減等に寄与しているとのこと。