【東京ゲームショウレポート】「日本のゲーム業界はもはや世界のリーダーではない」—CESA和田会長が基調講演で語る

 

【東京ゲームショウレポート】「日本のゲーム業界はもはや世界のリーダーではない」---CESA和田会長が基調講演で語る
9日(木)より幕張メッセにて開幕した「東京ゲームショウ2008」(以下TGS)の初日に行われるカンファレンス「TGSフォーラム」の基調講演に、TGS主催の「コンピュータエンターテインメント協会」(CESA)の会長でスクウェア・エニックス代表取締役の和田洋一氏が登壇し、今後の日本のゲーム業界が向かうべき方向について語った。

■日本が”世界のリーダー”である時代は終わった
講演のテーマは「世界は日本のゲームメーカーに何を求めるのか」。まず和田氏は冒頭から「既に日本のゲーム産業は世界市場のリーダーでない」と刺激的な言葉からスタート。実は同様の指摘は先日行われた「CESA Developer Conference 2008」(CEDEC)のセッションでも多く聞かれたが、和田氏はよく日本のゲーム業界の批判で言われる「世界市場の嗜好に合った作品が作られていない」「ゲーム開発費の高騰」「コンテンツファンドなど資金調達の手段が未発達」などの指摘について、「欧米と日本とでは嗜好が違うと言うが、ハリウッド映画やアニメ、漫画など受け入れられるコンテンツはあり、同様にゲームも売れているものは売れている。開発費は確かに高騰しているが、それは世界的なもので日本特有の問題ではない。コンテンツファンドについては、そもそもゲームでは成功の例はほとんどない」と一蹴。そしてこのような現状となった原因を「構造的な問題」であると分析した。
■オープンな北米とクローズドな日本
氏は、日本ゲーム業界は今まで「物作りのコミュニティ」を発展させてこず、そのため日本の制作能力そのものが弱体化してしまったと指摘しつつ、「まだ勢いがあった時代にもっと教育機関や他業界と連携したり、海外へコミュニティを拡大したりと外に向かうべきだった」と過去を反省。そして、「日本のゲーム開発者は職人気質的なところがあり、一から全部自分で作らなければ『作品』ではないと考える傾向がある。作り方についても『作り方は”やって覚える”ものだ』『技術は見て盗め』と考えているところがある。そのため業界そのものが閉鎖的になってしまい、ゲーム業界以外の世界に向かう努力をしてこなかった」と語り、合わせて北米のゲーム業界が学校やハリウッドとも連携し、産学官連携の動きをしている例を示した。
■回復のカギは「ネットワーク構造」
氏は日本のゲーム業界が力を回復するためには、業界の構造を「ネットワーク型」に変えていかなければならないと指摘した。著作権の問題や下請け法など、技術や知識の共有の妨げになる制度は多いが、これらを見直して従来の「ピラミッド型ヒエラルキー」の構造を、知識や技術が重層的に折り合う「ネットワーク型」の構造に改善する必要があると述べた。そして「コミュニティをオープンにしなければ日本のモノ作りの土壌が先細りしてしまう」と危機感を語りながらも「日本のゲーム会社にはまだ力がある。今後、危機を自覚し早急に問題に取り組めばまだ間に合うだろう」とし、「海外のゲーム業界も、日本が世界のミュニティに積極的に関わり、自らハブとなって優れたコンテンツを供給することを期待しているはずだ。」と訴え講演を締めくくった。
【東京ゲームショウレポート】「日本のゲーム業界はもはや世界のリーダーではない」---CESA和田会長が基調講演で語る
最近、日本の各業界では、外の世界へ向かわず狭い世界の中だけで独自の進化を遂げたことを指して「日本のガラパゴス化」という言葉が使われている。海外には類のない独創的なサービスやコンテンツが生まれるので、それはそれで良いという声もあるが、今回の和田氏の講演からは、やはり世界と交わらなければ結局は競争力を失い自分達が弱くなっていくだけなのだ…という現実の厳しさを実感することができた。
なにもこれはゲーム業界に限ったことではなく、仮想世界業界にも同様のことが言えるだろう。現在、日本にはまだ開発中のものも含めて、多くの独自の仮想世界プラットフォームやディベロッパー企業が存在する。しかしそのうち一体いくつが海外へ向けた動きをしているだろうか?今回の氏の講演で示された課題を、仮想世界業界も真剣に考えなければならないと思う。
東京ゲームショウ2008
http://tgs.cesa.or.jp/
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