2021年6月30日より、東京・池袋のPARCO本館7階・PARCO FACTORYにてビーワークスの人気タイトル「なめこ栽培キット」シリーズの10周年を記念した特別展覧会「大なめこ展」が開催されています(会期は7月18日(日)まで)。残念ながら筆者は開幕初日に行けなかったのですが、開幕後最初の日曜日にあたる7月4日に行くことができたのでその様子をレポートしたいと思います。
時間経過と共に原木に生える”なめこ”を画面スワイプで収穫してコレクションするという、シンプルかつ斬新なコンセプトのスマートフォン向け育成ゲームアプリ「おさわり探偵 なめこ栽培キット」は、東日本大震災発生から約3ヶ月後の2011年6月30日にリリースされました。もともと”なめこ”はニンテンドーDS向けソフト「おさわり探偵 小沢里奈」シリーズに登場するサブキャラの探偵助手で、「おさわり探偵 なめこ栽培キット」は同タイトルの宣伝のために開発されたアプリでしたが、リリースされるやいなやTwitterなどのソーシャルメディア上で話題となり大ヒット。その後グッズ化、書籍化、アニメ化、音楽CDリリース、イベント開催とゲームを超えてあらゆる媒体に進出し海外展開も果たすなど社会現象になりました。
そしてゲームタイトル自体も各種プラットフォームでシリーズを連ね、あっと言う間に今年で10周年。今では”なめこはゲームの枠を超えて定番人気キャラクターの一人(一菌?)として広く認知されています。
「大なめこ展」は、そんな10周年の節目を祝うシリーズ初の大型の展覧会。そのため筆者が会場に到着した頃は既にこのような入場待ちの待機列ができていました。もう前売り券を購入している人ですら行列、さらにその後に当日券での入場を希望する人の行列。ちなみに同じフロアではイラストレーター・ナガノさんの人気Web漫画「ちいかわ」のコラボカフェも開催されており、そちらもそちらで大行列ができていたため、もはや池袋パルコの7階はなめことちいかわが占拠していたようなものでした。
そうして並んでやっと入場してまず視界に入ったのは、淡く透明感溢れる色彩で描かれた「大なめこ展」描き下ろし新規イラストのボード各種。入口から記念撮影するのにバッチリです。
また、2019年7月15日まで東京駅地下街の「キャラクターストリート」にて営業されていた公式ショップ「なめこ市場 東京本店」に設置されていたなめこのスタチューも鎮座していました。頭の裏側には、ショップオープンから周年イベント、閉店と歴史を感じさせるサインや手描きイラストがいっぱい。ついつい今はなき「なめこ市場 東京本店」に思いを馳せてしまいました。
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忘れてはいけないのは、こちらもPOP UPショップなど各種イベントで活躍していた、上のなめこのスタチューとほぼ同サイズの「王様なめこ」のスタチュー。威厳に満ち溢れています。
入口でなめこたちと記念写真を撮影したら、次はなめこがこれまで歩んできた歴史を振り返ります。こちらの「なめこ栽培キット10年年表」では、なめこの誕生から各タイトルのリリース、メディア展開、海外進出など、今までの歴史を振り返ることができるのですが、何気に貴重な情報がこちら↓
なんとなめこは、もともとはオンラインゲームの企画で出された「雑魚モンスター案」だったとのこと。ラフスケッチの団塊で既に現在のなめこの姿が出来上がっていたことが窺えます。このオンラインゲーム企画そのものはなくなってしまいましたが、キャラクターとしてのなめこは残り、やがて前述のニンテンドーDS向けソフト「おさわり探偵 小沢里奈」シリーズの探偵助手として登場することとなります。雑魚モンスターのラフスケッチから別タイトルのキャラクターに起用され、スマートフォン向けアプリの主役に抜擢されて大ヒットするなんて、なめこの立身出世ぶりが凄まじい!
そして本展覧会一番の目玉展示「全1101種のなめこ大集合!」。この10年に「なめこ栽培キット」シリーズに登場した全てのなめこがアクリルプレートにかたどられて展示されているのですが、それがもう圧巻の一言に尽きます。
なお、ここで紹介されている1101種のなめこはあくまでも「なめこ栽培キット」系のタイトルに登場したもの。この他にも”巣”作りシミュレーション「なめこの巣」やインフレ経営シミュレーション「まとめてモーケ!なめこ店」では様々な衣装を着たなめこが登場するので、デザインのバリエーションはさらに多種多様になります。この10年、ビーワークス社では一体どんなペースでなめこをデザインしていたのか…と考えると気が遠くなりました。
近年開催されている展覧会では既に定着している形式ですが、この「大なめこ展」も場内の撮影やSNSへの投稿が許可されており(一部制限あり)、むしろ写真撮影をすることで楽しめるコーナーが設けられています。こちらはフラッシュ撮影することで答えが浮かび上がる「シルエットクイズ」。意外な答えが浮かび上がってくるかも?
こちらは「なめこ栽培キット」の基本の「いつもの栽培室」を再現した撮影コーナー。なめこの気分になって”映える”記念撮影をすることができます。しかしここでなめこのぬいぐるみの写真を撮ったら何故か合成写真っぽい一枚が撮れてしまいました。
記念撮影コーナーの横には、この「大なめこ展」に合わせて新規製作された記念ムービーが上映されていました(※こちらは動画撮影禁止)。「なめこの歌」の新アレンジバージョンに乗せて、なめこが森の中に設けられたパーティ会場を目指して進む様子が描かれるのですが、その道中に過去10年のなめこの歴史が重ねられ、雑魚モンスターとして描かれてから現在に至るまでの
”なめこの歩み”を振り返ることができる内容となっていました。
その外側には、なめこへのメッセージを書いてボードに貼れるメッセージコーナーが設けられていたのですが……開幕からわずか5日目だというのにボードの絵が字が見えなくなるくらいびっしり!いかに多くのなめこファンが来場したかが窺えます。
ということでもちろん筆者も書いてきました。顔の部分がのっぺらぼうななめこ、枯れなめこ、マサルのシールにペンで顔やメッセージを書き込んで貼るシステムなので、自分デザインのオリジナルなめこを描くこともできます。今頃はもっとびっしりな状態になっているかもしれませんね。
こちらは6月30日にリリースされたなめこシリーズ最新作「元祖 なめこ栽培キット」の画面を模した「無限なめこ収穫ゲーム」。通常なら時間経過を待たなければ収穫できないなめこたちが、モニターを指でスワイプしたそばから次々と生えてくるという夢のようなシステムで、好きなだけ延々と収穫し続けたり、敢えて好きなレアなめこだけを残して収穫する”なめこ盆栽”をすることもできます。ただし後ろで待っている他の来場者にも配慮をお忘れなく。
ちなみに試してみたらなめこの手でも収穫することができました。モニターのタッチセンサー優秀。
こちらは、これまで開催された歴代のなめこのリアルイベントで会場に設置された来場記念スタンプ全種類を押すことができるコーナー。日本国内でのイベントの他に、台湾で開催されたイベントのスタンプも押せるのはかなりレア!しかも全てのスタンプのなめこがご当地感溢れる異なるデザインになっているので、改めて一覧すると壮観です。熱狂的なファンでも全てのイベントを制覇した人はそうはいないと思うので、これは非常にありがたいコーナーですね。
これらに加えて「大なめこ展」オリジナルの”パルコアラVer.なめこ”スタンプも設置されていました。パルコのマスコットキャラ「パルコアラ」のチェック柄の耳が付いているのが特長です。このデザインは後にご紹介する新作グッズにも使用されています。
こちらはなめこの広報を担当されているダンボールなめこさんの仕事場を再現したコーナー…ですが、運良くリアルなダンボールなめこさんにお会いできました!ラッキー!
ダンボールなめこさんの机の上は正直に言うと少々散らかっており、しかも飲み終えてカラッポになったペットボトルが何本も置かれていたり、丸めた付箋が転がっていたりと、その散らかり具合が社会人なら誰もが共感できるレベルのリアルさ。そんな中になめこの公式サイト「なめぱら」で連載されている四コマ漫画「なめよん」の下書きノートがあったりと、さり気なく見どころが隠されています。机の横にはダンボールなめこさん自身の年表が貼り出されていましたが、なめこのお仕事をされているなか何度も財布や時計を失くされているとのこと。お疲れ様です…。
さらにもう一方の壁には、かつて「なめこ市場」の店頭で無料配布されていたフリーペーパー「毎菌新聞」の全号が一面に貼られ、この「大なめこ展」のために久々に作られた最新号も配布されていました。「毎菌新聞」のPDFデータは今でも「なめぱら」上で公開されていますが、やはり実物が壁一面に貼られている光景は圧巻です。最新号の紙上では「大なめこ展」開催に至るまでの裏話が披露されているので、ご来場の際は忘れずにGETして下さい。
展覧会の最後を締めくくるのは、10周年描き下ろし新規イラストやパルコアラVer.なめこのデザインを使用した新作アイテムが多数並ぶ物販コーナーです。これまでのなめこグッズにはなかった新たなタイプのグッズも多数並んでいました。また一定額以上を購入した来場者に非売品のクリアファイルをプレゼントする特典もあり。
淡く透明感溢れる色彩で描かれた10周年イラストはクリアーなアクリルスタンドによくマッチしています。
壁際には膨大な数のガチャマシーンが。この中には「全1101種のなめこ大集合!」で紹介されていた全1101種全てのなめこのアクリルキーホルダーが収められており、種類が多過ぎて複数回チャレンジしてもキャラかぶりはほぼ不可能。何が出るのか、自分の”推しなめこ”が出るのかまるで予想できません。
筆者も回してみましたが、出たのは「ペイントなめこ」でした。「なめこの巣」にも住人として登場するキャラなので知っている人も多いかもしれません。
「大なめこ展」はコロナ禍というご時世もあり、現在バーチャルで鑑賞できるオンライン版も公開されています。先程ご紹介した物販コーナーで販売されているグッズもパルコオンラインストアで通販されているので、残念ながら現地に行けないなめこファンの皆様なチェックしてみて下さい。
それにしても、東日本大震災の年にリリースされ、10周年を迎えた現在はコロナ禍と、なめこは妙に国難に縁のあるコンテンツ・キャラクターと言えます。しかしそれでもイベントに行列ができるくらい多くのファンを獲得しているところに逞しさを感じました。
なお、ゲームの方でも10周年にちなんで、6月30日にシリーズ最新作「元祖 なめこ栽培キット」の配信が開始されています。同タイトルはシリーズ第1弾「おさわり探偵 なめこ栽培キット」と第2弾「おさわり探偵 なめこ栽培キット Seasons」をブラッシュアップして1つにまとめたもので、シリーズ初の2画面方式が採用され、1つのアプリで2タイトルを一度に楽しめるようになっています。10年ずっとなめこファンだった方も、しばらく離れていて「大なめこ展」で再び”なめこ愛”が復活した方も、原点に立ち返ってプレイしてみては如何でしょうか。