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【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」

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11月13日(水)、宮城県仙台市にて、同市と経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)の主催によるビジネスイベント「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」が開催されました。

【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」

このイベントは、仙台市と産業振興に関する協定を締結しているフィンランドのICT企業をフィーチャーし、対日直接投資の促進や地元企業とのビジネスマッチング、防災関連産業の活性化に繋げることを目指すもの。もともと仙台市は健康福祉機器の開発支援の協力を主な目的にフィンランドと協力関係にあり、豊かな人生を送るための食品やデザイン等の”Wellbeing”や防災技術、ICT分野へと連携範囲を拡大し様々なコラボレーションを行っています。また同国オウル市と友好都市協定も締結しており、ゲーム産業およびゲーム開発者育成においても連携しています。

【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」
イベントにはオウル市市長のパイヴィ・ラーヤラ氏も登壇し、同市が「北欧のシリコンバレー」と呼ばれるほど起業家精神旺盛でTechフレンドリーな環境であること、特に5G研究に注力していることを紹介しました。

ちなみに仙台市はフィンランド企業との連携も進めており、2017年に防災・減災施策においてNokiaと連携協定を締結。これに基づき、イベント前日の11月12日(火)に東日本大震災の被災地の一つである同市内の若林区荒浜地区でドローン2機を使用した災害時の避難誘導の実証実験を行いました。

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【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」
この実証実験は、ドローンを津波発生時の住民の避難誘導に活用するもので、Nokiaは専用LTE網の構築とドローンの開発を担当。荒浜に大津波警報が発令されたことを想定し、下水処理場の屋上に基地局を設置してドローン2機を飛行させ、そのうち1機に搭載された拡声器を使って上空から住民に対し避難指示をアナウンスしました。

【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」
その後、高精細カメラとサーモグラフィーを搭載したもう1機が津波の到来状況や逃げ遅れた住民がいないかを確認。その映像を基地局のモニターで確認したスタッフが改めて逃げ遅れた人の避難誘導を行いました。
この実証実験は、東日本大震災の際に住民の避難誘導を行っていた市職員が逃げ遅れて津波の犠牲になってしまったことを踏まえたもの。実際の誘導を人ではなくドローンが行うことで犠牲者をなくすのが狙いで、防災・減災にドローンとLTEが使用されたのは世界でもこれが初の事例とのこと。今回の実証実験をもとに、仙台市では2020年度にドローンによる津波避難広報を試験的に開始し、翌21年度には基地局3基とドローン2機をそれぞれ配備、宮城野区と若林区の沿岸地域全域をカバーする計画だそうです。

後半には、日本市場への進出を視野に入れはるばる来仙したフィンランドのICT企業の紹介プレゼンテーションが行われました。

■Finnadvance Oy(フィンアドバンス)
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Finnadvanceは、林業、鉱業、地域温暖化、建築、研究などの分野でセンサーによる感知技術の活用や画像解析の経験と実績を有するスタートアップ。昨年オウル市に設立されたばかりのスタートアップですが、既に7か国以上で研究開発を行っているほか、オウル大学やフィンランド技術庁、NASAのプロジェクトにも参画しています。

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同社ではネットワーク独立型のシステムを使用しているためローコストでセンサーを導入できるとのこと。センサーは70メートルまで透過可能で、フィンランド国内では森林をモニタリングし、地形や樹木の生育状態、密度を記録・分析する実証実験を行っています。この技術は防災・減災にも応用可能で、森林で遭難者を捜索したり、森林火災の被害状況を分析したりといったこともできるとか。なお、沖縄県でも実験を行ったことがあり、気候変動によるサンゴ礁の変化や台風の観測も行いました。

■Gofore Oyj(ゴーフォア)
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Goforeは経営コンサルティング、デジタルサービスの設計・開発、クラウドサービスを活用したメディア、物流、自治体、製造業向けのデジタルソリューションを提供している企業。本社はタンペレ市にありますがドイツ、スペイン、イギリス、エストニアにも現地支社があり、5か国に合計9つのオフィスを展開しています。このことからも分かるとおり、現在の同社の主なフィールドは欧州地域ですが、次の進出市場として日本もターゲットとして考えているとのこと。

■Ikune Oy(イクネ)
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Ikuneは、モバイルテクノロジーとゲーム開発のノウハウを用いて様々なプロジェクトでコンセプト設定や開発を行うスタートアップ。オウル大学との産学連携のもと研究活動に参画したり、他分野にゲーム要素を活用するゲーミフィケーション、健康関連の技術開発などを手掛ける傍ら、研究論文の発表も行っています。オウル市を拠点にしていますがチーム自体はフィンランド人と日本人の混成で、登壇したユーホ・マッティラさんは東北大学の留学生として仙台に住んだ経験もあります。

【レポート】仙台とフィンランドとの連携をさらに推進---「フィンランド共和国の最先端ICT企業とのビジネス交流セミナー」
現在同社では現実の天気と気温をリアルタイムに反映するモバイルゲーム「天気の神様~Weather Gods」を開発中。見ての通り同タイトルは日本の妖怪や民俗信仰をモチーフとしているのが特徴で、ゲームをプレイしながら現在の天候をモニタリングし、実際の移動および防災にも役立つアプリを目指しているそうです。

■LudoCraft Oy(ルドクラフト)
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LudoCraftはブレインストーミングのためにゲーム化されたワークショップやコンセプト設計などのソリューションを提供するゲーミフィケーション企業。対応分野はヘルスケア、教育、公共サービス、研究と多岐にわたり、具体的な事例では、森林が育つ一連の流れを子供達に教えるためのシリアスゲームの開発や、トルコの刑務所向けに新人看守のトレーニング用教育コンテンツの開発などがあります。また、同じオウル市に拠点を置くゲーム系企業という繋がりから、モバイルゲームディベロッパー兼パブリッシャーのFingersoftの看板タイトル「Hill Climb Racing 2」のUI/UXの改善も担当しています。

■Remod Oy(リモド)
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Remodは事業開発、Tech、情報セキュリティ分野などでのITコンサルティングおよびソリューション提供のためのソフトウェア開発を行っている企業。本社はヘルシンキで、最近ではフィンランド国内の都市のモビリティに関するソリューション開発のため、日本の自動車部品メーカーのデンソーとコラボレーションしています。

■Secapp Oy(セキャップ)
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Secappは日常的なコミュニケーションから災害などの非常事態時まで対応可能なセキュアな通信アプリ「Secapp」を開発・提供している企業。ターゲットユーザーは病院、消防、学校、ボランティアグループですが、アプリ利用に関しては私的機関・公的機関を問わず、例えば災害時におけるライフライン関連企業のスタッフ間の連絡や外部への情報発信にも利用可能です。現在同社は350の組織から5万2000人以上のエンドユーザーを獲得。もちろん地方自治体も対象で、アプリの対応言語には日本語も含まれています。同社では本格的な日本展開も目指しており、そののためパートナー企業を募集しています。

■Solteq Oyj(ソルテック)
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SolteqはITコンサルティングおよび、AI、ロボティクス、eコマース、クラウドサービスなどのソフトウェア開発を手掛ける企業。設立は1982年と早期よりTechに取り組んでおり、特に小売、卸売、物流、サービス、製造、エネルギー産業の専門知識とノウハウを有しています。最近ではアジャイルにも注力しており、最も業績が伸びている分野はロボティクスとのこと。

■Third Space Automation Oy(サードスペースオートメーション)
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Third Space Automationはスマートモビリティ、ドローンのためのAIやロボティクスの設計・開発を行っている企業。スタッフ数は現在5人と小規模ですが、フィンランド人(ヘルシンキ)、インド人(バンガロール)、イギリス人(ロンドン)という国際的なチームで、それを活かして各国の企業とパートナーシップを締結しています。また同社はドローンの完全自立飛行を実現するソフトウェアプラットフォーム「AI.Pilot」の開発で知られており、そのためのAI研究にも注力しています。

以上のフィンランドのICT企業は、みな日本市場への進出を見据えていたり、日本におけるパートナーを募集しているところばかり。今回は仙台でのイベントということで、この後交流を深めたのは仙台市の関係者や宮城県内および仙台市内の企業が大半でしたが、もちろんそれ以外の地域の企業・団体とのコラボレーション対象なので、もし上記の企業に興味があったら、是非コンタクトを取ってみて下さい。

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