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【レポート】札幌からの”Virtual Cast登壇”もあり! インフィニットループ仙台支社 公開勉強会「OpenIL仙台 vol.1」レポート

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6月6日(水)、株式会社インフィニットループ仙台オフィスにて、社外からの一般参加も可能な公開勉強会「OpenIL仙台」の第一回目が開催されました。

【レポート】札幌からの”Virtual Cast登壇”もあり! インフィニットループ仙台支社 公開勉強会「OpenIL仙台 vol.1」レポート

インフィニットループは北海道札幌市に本社を置くVR/AR、ゲーム、アプリの開発を手掛けている企業。もともと同本社では不定期に公開勉強会「OpenIL」を開催していましたが、仙台オフィスにて開催するのは今回が初めて。当日は、同社とドワンゴが共同開発したVRライブ・コミュニケーションサービス「Virtual Cast」を使用し、札幌本社所属で同サービスの開発を行った”みゅみゅ”さんの”遠隔登壇”が行われました。

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右側の白い女の子のアバターがみゅみゅさんで、左の女の子(インフィニットループのマスコットキャラクター「あいえるたん」)が仙台オフィス所属の後藤さん。ちなみにどちらも中身は男性です

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操作中の様子はこんな感じ。操作にはHTC ViveとViveコントローラーを使用します。

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「Virtual Cast」は、2018年4月13日(金)に東京・六本木のニコファーレにて開催された「超会議2018発表会」で発表され同日よりサービスを開始したVRライブ・コミュニケーションサービスで、以前よりniconicoユーザーだったみゅみゅさんが開発していたVRライブチャットシステムにドワンゴが協力した形だそうです。既存のソーシャルVRサービスと異なるのは、アバター姿になったユーザーがVR空間のスタジオでリアルタイムに喋ったりコミュニケーションしている様子をライブストリーミングするプラットフォームであること。そのため番組配信に必要な様々な便利機能が実装されています。中でも面白いのが、公開しているスタジオに乱入できる「凸(とつ)機能」。これにより、複数のVTuberが同じVRスタジオ内に集まって一緒に番組配信をするなんて夢のような企画も実現できます。

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また、番組の視聴者が投稿したコメントや特定のハッシュタグ付きのツイートが3Dのオブジェクトと化してスタジオ内に降ってくる独自機能もあり。まるでドラえもんのひみつ道具「コエカタマリン」を使ったかのような光景です。これはニコニコ動画の画面内にコメントが表示される機能を踏襲したものですが、実はアバターの顔に重ならないよう絶妙に計算されているとのこと。少し前に、中国のBilibili動画が顔認識技術でコメントが動画内の顔を避けて流れる機能を追加したことがTwitterでバズっていましたが、何だかそれを彷彿とさせる技術です。

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なお、「Virtual Cast」を支えている技術に関する具体的な説明もありました。その中で最も重要なものが、ドワンゴが開発したアバターに特化したプラットフォーム非依存の3Dアバターファイルフォーマット「VRM(3D Humanoid Avatar format for VR)」。これは3Dモデルとしてのテクスチャやボーンといった情報に加えて、視線設定など一人称で操作するアバターに必要な情報を扱えるようにし、環境により異なるスケールや座標系などを統一することで、アバターを作りやすく、また使いやすくすることができるフォーマットです。ゆくゆくは同じアバターをストリーミングやゲームなど、プラットフォームをまたいで使えるようにすることを目指しているのだとか。

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例えば美少女系アバター一つとっても、モデリングした人によって座礁軸の設定が結構バラバラだったりします。そうなると使う際もモデルによって設定が異なってくるので非常に面倒ですが、VRM形式にすることにより全て統一し正規化できます。現在VRMはドワンゴのGitHubアカウントにてオープンソースとして公開されており、誰でも自由に利用することができます。公開ページはこちら

【レポート】札幌からの”Virtual Cast登壇”もあり! インフィニットループ仙台支社 公開勉強会「OpenIL仙台 vol.1」レポート
ここまでのみゅみゅさんの講演で、「スライド資料を表示する」「ペンで線を引く」「書いた線を消す」「カメラで任意の場所にズームする」といった機能が披露されましたが、実はこれらは全て「Virtual Cast」にデフォルトで実装されている機能。他にも、PC画面をそのままスタジオ内にも表示したり、瞬時に自分が動かすアバターのモデルを切り替えたり、スタジオのデザインそのものを切り替えたりと番組作りに便利な様々な機能が備わっています。しかし開発にあたっては、各種機能を操作している最中のアバターのしぐさを無意味なものにしないよう、わざとUIを「見せる」デザインにし、操作中のアバターの様子をカッコ良く見せることにしたそうです。確かにこれはこれで絵になっていますね。

【レポート】札幌からの”Virtual Cast登壇”もあり! インフィニットループ仙台支社 公開勉強会「OpenIL仙台 vol.1」レポート

【レポート】札幌からの”Virtual Cast登壇”もあり! インフィニットループ仙台支社 公開勉強会「OpenIL仙台 vol.1」レポート
イベントの最後には、参加者が実際に「Virtual Cast」を使ってアバターを動かす体験会も行われました。これは毎週水曜日に配信されているインフィニットループのライブストリーミング番組「あいえるらいぶ」のスタジオに「凸機能」で入室した参加者の一人。このリアルアバターはインフィニットループ社長の松井健太郎さんを3Dスキャンしたモデルで、同社のサイト内にてフリー素材として公開されています。

ところで、私は今回のイベントで気付いたことがあります。それは

・アバターが美少女
・中の人は男性
・技術的・専門的なトークをする

この3つが揃うと、中の人が女性の美少女アバターのVTuberよりもかわいく見えてしまうのです。一言で言うと「萌える」。特にみゅみゅさんがアバターのリップシンクの実演をした際に顔がどアップになった時は、心の底から「かわいい!」と思ってしまいました。考えてみれば、男性の方が実際の女性以上に「かわいい美少女」の具体的なイメージを持っているから、アバターを介して理想的な美少女を再現できるのかもしれません。

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中の人が男性なのに女性のアバターを操作し、ボイスチェンジャーで声を変えてボイスチャットをする所謂「ネカマ」はオンラインゲーム誕生時から存在していたし、それこそ約10年前の仮想空間バブルの頃には、自分が男性であることをブログ等で公表して女性アバターでログインしている人もいました。オンラインゲームや仮想空間には、遊ぶことよりも異性と出会うことを目的にログインする「出会い厨」も結構いて、そういう人達はネカマを忌み嫌っていましたが、現時点におけるVTuberは、直接他のユーザーと交流するのではなく、喋ったり唄ったり踊ったりゲーム実況をしたりと「パフォーマンス」を見せる活動が主で、要するにタレントやアーティストと同じです。つまり、男性が美少女アバターの中に入っていても肝心のパフォーマンスが面白ければ、もはや中の人の性別なんてどうでもいいのです。例えるなら、ゆるキャラの着ぐるみの中に入っているのがオッサンでも、そのゆるキャラの動きやしぐさがかわいければそれでOKなのと似たようなもの。ということで、今後技術的・専門的なセミナーをする際は、リアル・バーチャルにかかわらず登壇者全員が美少女アバターで講演すればいいのではないでしょうか?

 

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