グリー株式会社の田中良和代表取締役社長が「TGSフォーラム 2012」の基調講演にて「スマートデバイスがもたらすソーシャルゲームの進化」と題した講演を行いました。田中氏が東京ゲームショウの基調講演に登壇するのは昨年に続きこれで2回目。昨年はGREEの初出展と合わせ、日本におけるソーシャルゲームの躍進を象徴する出来事として国内外から大きな注目を集めました。ちなみに今年の基調講演は田中氏の講演が追加される形で2部構成になることが今月になって急遽発表されました。
まず田中氏は、昨年から同社が海外拠点の設立を進めていることを紹介しました。現在サンフランシスコ、バンクーバー、サンパウロ、ロンドン、アムステルダム、ドバイ、シンガポール、北京、ソウルに現地法人があり、特に最近ではソウルオフィスが開発したソーシャルゲームがGREE内で配信されたりとコンテンツ開発も本格的に始まっているとのこと。田中氏は「今は日本のソーシャルゲームが好調で日本国内で開発したタイトルの競争力が強いかもしれないが、それも時代と共にローカルなタイトルへの需要が増えるだろう」と語り、3年内にローカルな市場に合わせて現地法人ごとに開発を進められる体制を強化していく方針を示しました。
次に田中氏はソーシャルゲームの誕生と進化ついて語りました。田中氏は「ハードと通信インフラの発達によってソーシャルゲームは誕生した」とし、さらに「スマートフォンの性能が劇的に向上し、さらに通信インフラの整備も進んだことで、ソーシャルゲームもカジュアルなコミュニケーションを超えてよりゲーム性やストーリー性が重視されるようなゲームが作れるようになった」と語りました。
その田中氏の言葉を反映するかのように、現在GREEでは従来のフューチャーフォン向けソーシャルゲームからさらに進化したリッチな演出やグラフィックが楽しめるスマートフォン向けソーシャルゲームを続々とリリース・開発しており、その一部は今回の東京ゲームショウのGREEブースでも見ることができます。これを受けて田中氏は「ゲームは成長産業。ソーシャルゲームはスマートフォンの進化や通信インフラの進化によりどんどん変わっていき、それに伴いユーザーが要求するゲームのジャンルも変わり、常に新たなゲーム性が求められるようになる。去年と同じものを今年になっても作っているようではいけない」と変化の重要性を語りました。
そして最後に田中氏は世界的にスマートフォンが普及していることを示し、「今後インターネットへアクセスするデバイスの中心はPCからモバイルに変わる」と述べたうえで新興国のスマートフォン市場の可能性も示しました。「スマートフォンが世界共有のデバイスとなることで、これまでコンソール機やPCを持たずゲーム経験のない人もソーシャルゲームを始めることができるようになる。世界的なスマートフォンの普及が新興国を中心にゲーム人口を拡大させるだろう」と指摘しました。そして「ソーシャルゲームを世界の全ての人の楽しみにできるよう、多様なソーシャルゲームを世界規模で開発できる企業になりたい」と強い抱負を語り講演をしめくくりました。