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【レポート】秋田県湯沢市から新事業を生み出せ!「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」

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【レポート】秋田県湯沢市から新事業を生み出せ!「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」

2018年2月25日(日)、秋田県湯沢市のヤマモ味噌醤油醸造元/高茂合名会社にて、湯沢市の起業促進事業の湯沢市起業家通信一般社団法人MAKOTOの主催により新事業立ち上げイベント「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」が開催されました。

このイベントは、地域の様々な課題を解決する新たな事業を立ち上げる企画者のプロジェクトをみんなで共有し、さらに参加者全員がディスカッションに加わって新しいアイデアを持ち寄り、実際に動く事業にしよう!というもので、簡単に言うとピッチとブレストとディスカッションとブラッシュアップとネットワーキングを全部一日でやる感じです。今回私は初めて参加したのですが、実は昨年より何度も開催してきたそうで、今後も月一ペースで行っていくとのこと。やはり本当に事業化するならそれくらいのペースとスピードでやらないといけないのでしょう。ちなみにこのイベントでは湯沢市に新たな事業を「100」作ることを目標にしているのだとか。

【レポート】秋田県湯沢市から新事業を生み出せ!「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」
なお、会場となったヤマモ味噌醤油は慶応3年(1867年)から続く超・老舗の味噌醤油醸造元で、実は私の家でも祖父が生きていた頃まではここから味噌・醤油を購入していました。しかし年寄りがいなくなり家族が少なくなるにつれて瓶や樽でまとめ買いするほど使わなくなり、何時の間にか注文も交流も途絶えてしまったのでした。店舗(蔵)にお邪魔したのは今回が初めてでしたが、一歩中に入ると…

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もうハイセンスを絵に描いて額に飾ったようなオシャレ空間が広がっていました。同店の7代目・髙橋泰さんは味噌・醤油の醸造販売の傍ら店内の一角でセレクトショップ「ゴヨウキキ茂助」も運営しており、屋号の”ヤマモ”のロゴをあしらったオリジナルグッズや独自に選んだアイテムを販売しています。

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昔は一升瓶だけだった醤油も、今では120ml~300mlと小家族や一人暮らしでも使いやすいサイズの瓶が各種取り揃えられています。現在はネット販売や海外展開も行っているとのこと。

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店の中に突如その家のプライベート空間が現れるという構造は昔ながらの商家にはよくあるのですが、今回のイベントではそこがステージ(?)として使われました。もう一目見て分かるソファの”本物感”。仏壇のある畳敷きの和室に絨毯、その上に本革ソファという和洋折衷な組み合わせもまたスタイリッシュです。

【レポート】秋田県湯沢市から新事業を生み出せ!「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」
イベントの流れは、最初にこれから湯沢市内を拠点に新しい事業を立ち上げる予定、または立ち上げたいと思っている企画者の5分間ピッチングを行い、その後プロジェクトごとに分かれて参加者それぞれが興味のあるグループの輪(1人につき3つまで)に参加してアイデアや意見を出し合い、事業をより具体的な形にブラッシュアップしていくというもの。参加者は当初40名を予定していましたが、申込者多数のため途中で50人に増枠され、最終的には秋田県だけでなく宮城県仙台市や東京など遠方からの参加も含め60名以上が集まりました。

【レポート】秋田県湯沢市から新事業を生み出せ!「湯沢アントレプレナー プラットフォームキックオフ」
興味深かったのは、ピッチを行った企画者全員が皆起業家というわけではなかったこと。もちろん他所から湯沢市に移住して新事情を立ち上げる!という起業家もいましたが、企業に在籍し業務の一環で定期的に湯沢市を訪れるようになったことをきっかけに社内で新事業を立ち上げようとしている人や、前述のヤマモ味噌醤油7代目・髙橋さんのように湯沢市生まれの地元民で家業を継いでいる人、結婚を機に湯沢市に移住した人、既に湯沢市でビジネスを手掛けつつ別の新事業にチャレンジしようとしている人、昨年秋の湯沢市議会選挙で初当選した若手市議など、本当に様々な背景を持った企画者ばかりでした。
そして企画自体も「人と動物の共生モデルを作りたい」「地熱、水力、雪といった自然エネルギーを市民生活に活かしたい」「湯沢市内の和菓子店とコラボして”コーヒーに合う和菓子”を開発してガーデンカフェをオープンしたい」「SNSを使って場所にとらわれない働き方を提案したい」「”食のTED”こと発酵醸造未来フォーラム『F3』を湯沢市で開催したい」「ICTを活用し湯沢市の環境と市民に合った健康管理モデルを作りたい」「新たな子育て支援政策をやりたい」「湯沢市に”夜の経済”を作りたい」と多種多様。秋田県は動物の殺処分件数が全国ワースト3位で、秋田県南内陸部の横手市・湯沢市は県内有数の豪雪地帯で国道さえ通行止めになるほど。そのため住民は冬になると出歩かなくなり運動不足による健康悪化や鬱病が激増し、かといって人口が激減しているので遊びに行く店も少なく、Uターン・Iターンしたくても仕事がまるでなし。経済活性化のため観光客を誘致しようにも良いポイントをアピールするPR・広報が弱く、おまけに交通インフラも貧弱なため国内・海外旅行者数はいずれも東北6県中最下位。加えて人口激減を止めるための具体的な政策や子育て支援策も特になく、どうしても人口比率的に高齢者が多数派になるため若者の意見が聞き入れられない…という、一言で表すとディストピアなのですが、それだけ問題が山積みならば、それを解決する新事業のネタには困らないということ。逆に考えればビジネスアイデアの宝庫とも言えます。

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ピッチが終わった後は、参加者それぞれが興味のあるプロジェクトの会話の輪に入ってアイデア出しや意見交換。1組あたり10分程度の時間で3組の輪に加わって話し合いを行いました。

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イベント中、会場となったヤマモ味噌醤油店舗内の厨房にて、今後同店が展開予定のガーデンカフェの目玉メニューとして提供予定の「コーヒーに合うきなこ餅」の試作品が販売されました。一口サイズで中に餡子が入っていますが、普通のきなこ餅とは違い、甘過ぎず、柔らか過ぎず、表面にバターを塗ってきなこ餅を定着させているという一品で、和菓子というよりは洋菓子に近い食感でした。

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イベント中に出たアイデアは運営スタッフさんがリアルタイムに一枚の紙に手描きでまとめていたのですが、なんか絵心が凄くないですか?下描きなしでペンで一発描きでこれですよ。

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この書き込みも凄い!

こんなに産官が連携し、おまけに地元民とそれ以外の地域からの一般参加者が混ざり合ってワイワイガヤガヤする”巻き込み型”の起業イベントなんて東京でもなかなか行われていないのではないでしょうか。これはイベント中のトークでも話し合われたことですが、結局”都市”とはただの”キャピタル(Capital)”で実は個性はそれほどなく、むしろ地方の方がグローバルでも通用するような唯一無二の個性を持っていたりするもの。ところが、そこに住む地元民にとってはそれは単なる日常の一部なので、残念ながら真の価値や魅力に気付けず、適切なPRも行われないまま埋もれ廃れていく…というのが現状です。そうした課題を解決するうえでも、地方と”外”の世界が繋がり、そこから新たなプロジェクトが生まれ、地方が元気になるエコシステムを作ることが重要なのでしょう。
なお、このイベントは来月も開催予定なので、興味のある方は湯沢市起業家通信と一般社団法人MAKOTOのFacebookページをチェックしてみて下さい。次はさらに新事業が具体化して動き出しているかも?

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