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【レポート】最もアプリのダウンロード数が多かったチームは? 東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~

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2月10日(土)仙台メディアテークにて、宮城県仙台市グローバルラボ仙台の若手人材育成支援事業の一環として行われている学生を対象としたアプリ開発&プレゼンコンテスト「第4回仙台ゲームアプリコンテストDA・TE・APPS!2018」が開催されました。この記事ではその後半の「GLS for Education部門」をレポートします。

レポート~その1~はこちら

午前中の「ITコンテスト部門」では、課題解決型のスマートフォンアプリを開発した学生チームのプレゼンおよび表彰式が行われましたが、午後はグローバルラボ仙台と協力企業の指導により開発されたスマホ向けゲームアプリと、プラットフォームを限定しない一般応募のゲームを対象とした「ゲームコンテスト部門」のプレゼンおよび表彰式が行われました。その数合計12タイトル!もはやちょっとしたインディーゲームアワードです。

■GLS for Education部門
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
「GLS for Education部門」は、前述のとおりグローバルラボ仙台と仙台にオフィスを構えるゲーム企業、および出場校の講師陣が一丸となって学生をサポートし、半年で一からゲームアプリを開発しマーケットプレイスにて有料アプリとして配信するところまで持っていくというもので、勝敗は審査ではなく「アプリのダウンロード数」のみで決まります。つまりただ開発して完了なのではなく、リリース後もアップデートを行ったか?アプリを知ってもらうためのPR・広報活動を行ったか?といった「運営」まで問われるということ。ちなみに開発現場もかなり壮絶だったらしく、開発中に喧嘩により解散してしまったチームもあったそうです。

・Sound Thief(仙台コミュニケーションアート専門学校チーム「スカーレッド」)
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
トップバッターは 仙台コミュニケーションアート専門学校チーム「スカーレッド」のステルスアクションゲーム「Sound Thief」。隠れたり、音の出る爆弾「サウンドボム」を投げて敵の目を欺きながらお宝を狙うというゲームで、敵の動きを読んでどんなタイミングでどこにサウンドボムを投げるかを考えるのがプレイのコツです(プレイレビューはこちら)。
審査員からは「サウンドボム以外にも使えるアイテムを増やしてみては?」「いろいろな作戦が使えるようになればより魅力が増すのでは?」という意見もありましたが、敢えて使用できるアイテムを1つに絞ることでカジュアルな内容にしたとのこと。

・Lead Light(東北電子専門学校チーム「HTC」)
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
2番手は東北電子専門学校チーム「HTC」のハイスピードアクションゲーム「Lead Light」。自動的に前へと進むチューブ状のコースの中を障害物を避けながら光を集めて進むエンドレスラン系のゲームで、クールなEBM系サウンドと先へ進めば進むほどグラデーション変化するステージもスタイリッシュ(プレイレビューはこちら)。実際、開発においては「どれだけ光を美しく見せられるか」にこだわったそうで、雰囲気ゲーとしても楽しめる作品です。ただ現時点では「まだ何かが足りない」とも思っているとのことで、審査員からも「常に同じBGMが流れているので、ステージに合わせて曲調が変わるとより楽しくなるだろう」といった提案が挙がりました。

・Asterism Linker(総合学園ヒューマンアカデミー仙台校チーム「チーム大御所」)
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
3番手は総合学園ヒューマンアカデミー仙台校チーム「チーム大御所」のひっぱりアクションパズルゲーム「Asterism Linker」。妖精を引っ張って飛ばし跳ね返りを利用してブロックを壊すピンボールのようなゲームで、リリース時に全50ものステージを用意し、リリース後もアップデートで英語サポートを行うなど、学生作品とは思えないボリューム&運営でした(プレイレビューはこちら)。審査員からは「最初の2回くらいはどこに飛んでいくかの道筋をガイド表示してもいいんじゃないか?」といった提案が出ましたが、実は初期段階にはガイド機能があったものの、ゲームが簡単になる過ぎるのを防ぐため削除してしまったのだとか。しかし審査員からは「難易度を高くしてリリースしようするのは”ゲーム開発あるある”。難しくしてリリースすると必ず「クソ難しい」と言われるので、適度な難易度設定に気を付けるといい」というアドバイスが出ました。

【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
なお、このチームはリリース直後からPR・広報活動も熱心に行ったそうで、飛び込みで営業をしまくり、県内外(東京含む)のイベントに飛び入り参加してのプレゼン、ラジオ番組への出演(3件)、TwitterとFacebookでの情報発信、公式サイトと攻略Wikiのオープンなどなど企業顔負けのありとあらゆる手法の宣伝を行い、遂には海藻アカモクの販売促進・知名度向上キャラクター「渚の妖精ぎばさちゃん」にも応援されるまでに。これには審査員も驚いたようで、観覧者からも感嘆の声が上がっていました。

・雪だるまさんがころんだ(専門学校デジタルアーツ仙台チーム「スノーソルジャー」)
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
4番手は専門学校デジタルアーツ仙台チーム「スノーソルジャー」のステルスアクションゲーム「雪だるまさんがころんだ」。「前進」と「ストップ」しかできない雪だるまを操作して、コース上に配置された障害物や人間を上手く避けてゴールで待つ”彼女”の雪だるまを目指します(プレイレビューはこちら)。そのタイトルからも分かるとおり、ルールとモチーフは日本に昔からある遊び「だるまさんが転んだ」ですが、開発に当たって参考にしたのはSG Labsの人気アクションゲーム「Crossy Road (クロッシーロード) 」だそうで、老若男女誰もが楽しめるゲームに仕上がっています。フィンランド・オウル市から来仙した審査員のAnna Salomaaさんも「UI/UXが直感的で日本語が分からなくてもすぐにプレイできた。グラフィックの質を向上すればさらに良いゲームになるだろう」と講評しました。

・きりたんという妹ができました(専門学校デジタルアーツ仙台チーム「きりさんぽ」)
【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
最後に登場したのは専門学校デジタルアーツ仙台チーム「きりさんぽ」の恋愛(?)”趣味”レーションゲーム「きりたんという妹ができました」。東北地方応援キャラクターの末っ子「東北きりたん」が住む秋田県へ行き、彼女の身の回りのお世話をしたり会話をしたりしながら絆を深めていく所謂「恋愛シミュレーション」で、ゲームを進めて親密度を上げることで新しいボイスが開放されていきます(プレイレビューはこちら)。東北地方応援キャラクターでは次女の「東北ずん子」がよく知られていますが(長女は「東北イタコ」)、「きりたんに一目惚れして突発的に作ってしまった」とのことで、もちろん開発メンバー全員きりたん推し。プレゼンの様子からもきりたんへの愛と情熱が伝わってきました。

■運命のダウンロード数は…
前述のとおり、GLS for Education部門の優勝を決めるのは審査員の講評ではなくダウンロード数、つまり「どれだけ売れたか」という事実のみ。まさに真剣勝負です。果たしてどれが一番ダウンロードされたのでしょうか…?

【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
優勝したのは、iOS/Android合計533ダウンロードを達成したチーム「きりさんぽの」の「きりたんという妹ができました」でした!

【レポート】東北最大級の学生によるアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2018」レポート~その2~
優勝チームには賞状、トロフィー、賞金30万円のほか、スポンサーの一社であるTSUKUMO(ツクモ)から「Thule Accent 28L Backpack」が贈呈されました。

今回「きりたん愛」で優勝を勝ち取ったチーム「きりさんぽ」ですが、ゲームとしてはまだまだ改善の余地があると思っているそうで、今後ミニゲームパートを増やしたり、「ふれあい」機能でもっときりたんを動くようにするなどのアップデートを行うとのこと。有料で何かを誰かに売ることには大きな責任が伴い、ゲームアプリにおけるそれはアップデートによる品質の維持・改善です。勝敗に関わらず、それを学生のうちに体験できたのは非常に貴重な機会だったでしょう。これからどんな進路を選ぶにせよ、出場した学生の皆さんには是非これからも何かを作り続けて欲しいと思いました。

レポート~その3~に続く

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