11月30日（木）〜12月1日（金）にフィンランド・ヘルシンキにて開催された世界最大級のスタートアップ・フェスティバル「Slush 17」で、同国オウル市の産業支援公社のビジネスオウルのブースにお邪魔しました（オウル市についての過去記事はこちら）。同市はICTとモバイルゲームが盛んな街として知られており、今回のSlushでは市内に拠点を置くスタートアップが共同でブースを出展していました。
このブースにて、モバイルゲームデベロッパーのKoukoi Gamesが20世紀FOXのゲーム部門であるFoxNext Gamesと業務提携し開発した新作モバイルゲーム「Ferdinand: Unstoppabull」を出展していました。同社はRovioやNokia、IBMの元スタッフによって2015年に設立されたスタートアップで、既に第一弾タイトルであるスマートフォン向けアクションゲーム「Crashing Season」(iOS/Android ※日本未配信)を開発・運営し欧州・北米市場で高く評価されています。
「Ferdinand: Unstoppabull」は、今月より公開されている20世紀FOXの新作アニメ映画「Ferdinand」の公式スマートフォン向けパズルゲームで、Koukoi Games初の他社IPを使用したタイトルです。同社ではSlush 17の開催と映画公開の双方に合わせて同タイトルをリリース。それにしてもSlushの開催時期と映画の公開時期がバッチリ重なったなんて本当にラッキーでしたね。残念ながら日本では「Ferdinand」の公開については未定ですが、ゲーム自体は日本からもダウンロードできるようになっていたので早速プレイしてみました。
「Ferdinand」は、闘牛として育てられたのに温和で花が好きな牡牛のフェルディナンドが主人公の同名の童話（邦題：「はなのすきなうし」）が原作の3DCGアニメ映画で、WWE所属プロレスラーのジョン・シナがフェルディナンドの声を担当しています。
本作は基本的にはオーソドックスなマッチ3パズルゲームです。パズルパネルは様々な種類の「音符」で、同じ音符を3つ以上揃えて消していきます。各ステージには「この音符を〇〇個消す」や「この音符を消して〇〇スコア以上を獲得する」などのいくつかのミッションが設定されており、それを満たすと次の展開が始まります。
基本画面はこんなの。パズドラ以降定番となった「画面下部がパズルで上部でいろいろアクション」という構成で、パズルをこなしていくごとにフェルディナンドが踊ります。この映画におけるフェルディナンドには原作絵本の「花が好き」の他に「ダンスが好き」という設定もあるようです。
次々と現れるミッションをクリアすると…
ステージの最後に、他のゲームにおける”ボス戦”に相当するクリアのための関門「DANCE OFF」モードが始まります。
この「DANCE OFF」モードは、それまでのパズルよりも難易度の高い内容となっており、加えてパズルパネルを動かせる回数まで制限されています。決まった回数以内にミッションをクリアできるでしょうか？
で、面白いのはここからです。パズルをプレイすると徐々にゲーム内通貨の「コイン」が貯まっていくのですが、これを使って効率良くスコアを伸ばすことができる機能を開放し、それをアップグレードすることができます。そう、この機能はプレイすればするほどスコアが天文学的数値にまで跳ね上がる「クッキークリッカー」などでおなじみの”インフレゲーム”そのもの。このゲームはマッチ3ゲームにインフレゲームの要素を加えたタイトルだったのです。近年のフィンランドのモバイルゲーム業界ではインフレゲームと他のジャンルのゲームを組み合わせたタイトルの開発がトレンドですが、本作もそのトレンド上にあるのでしょうか。
こうしてマップ上を進んでいくと…
画面上のダンス画面の背景も変化し、映画に登場する人間も含めた様々なキャラクターがフェルディナンドと一緒に踊ります。一気に連鎖を決めるとより一層キャラクターのダンスが激しくなりパーティクルが舞うなどアニメーション演出も凝っています。
マップを進んでいくごとにスコアを伸ばせる機能が増えていき、それをアップグレードするごとにパズル一回あたりの獲得スコアも比例して増えていきます。パズル自体の難易度は結構高く、最初のマップの段階で詰まってしまうこともあるのですが、何度もパズルをプレイしてコインを獲得し、こつこつスコア機能をアップグレードしていくことで自然とクリアできるようになっていきます。なお、このスコア機能を開放すると、アプリを起動していない時も時間経過に従い自動的にコインが貯まるようになるので、放置期間が長くなってもプレイに支障はありません。
さらにその後、自動的にコインを集めてくれる機能（キャラクター）まで開放されます。ここまで来ると完全にインフレゲームですね。
スコアやコインを得るのが楽になる一方でパズルの内容自体はどんどん難しくなり、ゲームが簡単になり過ぎないよう上手くバランスが取られています。難しくてどうしても自分では解けない！という時は、パズル画面の右上にいるハリネズミ達をタップして呼び出し、彼らに代わりにプレイしてもらう「オート機能」も用意されています。
自然がいっぱいのステージでは、自動的に雑草が増えてパズルパネルが減っていくギミックが仕込まれたパズル画面になっていたりと、ステージに沿った演出もあります。
パッと見よくありがちなパズルゲームですが、インフレゲームの要素と絶妙なゲームバランス、連鎖を決めた時の爽快感、コミカルで作り込まれたアニメーション演出と、細部まで練りに練ってよく作り込まれたタイトルです。日本では映画がまだ未公開なのでストーリーの背景やキャラクターの設定が全く分からないのが残念ですが、映画公開の”予習”としてプレイするのもアリだと思います。
