アメリカの新進気鋭VRアニメスタジオ「baobab studios」の作品を視聴できるスマートフォン向けVRアニメ視聴アプリ「Baobab VR」を見てみました。
Baobab Studiosは、かつてピクサーに在籍しZyngaのゼネラルマネージャーを務めていたMaureen Fan氏と、ドリームワークスにてアニメーションディレクターを務めていたEric Darnell氏により設立されたVRアニメスタジオです。2015年にシリーズAラウンドにて600万ドルを調達し、翌2016年10月にシリーズBラウンドにて2500万ドルを調達するなど大型調達を相次いで行い、第一作目のショートアニメ作品「Invasion!」がいきなりドラマ・アニメ業界のアカデミー賞と言われるエミー賞(Emmy Award)を獲得するなど活動状況は順調なようです。
で、驚くべきことに、彼らの作品が全て「無料」で公開されているのです。しかも一作目の「Invasion!」はGear VR、Oculus Rift、Google Daydream、PlayStation VR、HTC Vive、スマートフォン(iOS/Android)とありとあらゆるプラットフォームに対応していて、二作目の「Asteroids!」もGear VR、Google Daydream、スマートフォン(iOS/Android)に対応、その全てのバージョンが無料配信されています。「Baobab VR」は1つのアプリ内で2作品を一度に見られるスマートフォン向けアプリで、スマホのみ、またはモバイルVRゴーグル使用のいずれでも視聴できます。VR3DCGアニメを手掛けるスタジオも今は複数ありますが、こんな太っ腹な作品公開があっていいんでしょうか?
アプリ内から見たい作品を選択すると、まず一眼モードか二眼モードかを選択する表示が出てきます。一眼モードを選択するとモバイルVRゴーグルが無くても360°視点で作品を鑑賞できます。
二眼モードを選択すると画面がモバイルVRゴーグル対応の二画面式となります。
「Invasion!」も「Asteroids!」もちょっとドジな二人の宇宙人がてんやわんやの騒動を起こしたり巻き込まれたりするコメディ作品です。主人公が宇宙人なのでちゃんとしたセリフはなく、言語に関係なく楽しめる内容になっています。
見ているうちに気付くのは、VRアニメは「アクションとストーリーはあってもカメラワークがない」ということ。視聴者の周囲360°に空間が広がっているため、どのタイミングでどこを観ようが視聴者の自由なので決まったカメラワークが存在しないのです。その代わり、その空間を存分に使用し、360°”ならでは”の特性を活かした、視聴者を飽きさせない、ずっと展開を観たいと思わせるような巧みなアクションと分かりやすいストーリーが必要であることが分かります。
あと、VRアニメは敢えてストーリーとは関係なく周囲を見回しても満足できる空間作りも重要です。この自然描写の美しさといったら!
そこにデフォルメされつつもリアルな動きを再現したウサギが登場!かわいい!
ウサギが凍った湖で遊んでいたら、そこに怪しげな宇宙船が出現…
このシーンはわざとウサギと宇宙人達を一度に視界に収められないようになっています。ウサギを見るか?宇宙人達を見るか?
侵略を企む宇宙人たちは、まず手始めにウサギを攻撃します。しかし…
ウサギはどうやって危機を脱したのでしょうか?それは実際にご覧下さい。
VRアニメってどうなの?と試しに観るには十分過ぎるくらいのクオリティの作品達です。エミー賞受賞作品がまるっきりタダで観られるなんてなかなかないでしょう。