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【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

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【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

フィンランド・ヘルシンキ発祥の世界最大規模のスタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo」が3月29日、30日に東京ビッグサイト東7ホールにて開催されました。今年で3回目を迎えるこのイベント(昨年までの名称は「Slush Asia」)、2日間の会期中に世界中から5000人の参加者、500社のスタートアップ、200人の投資家、250人のジャーナリストが集い過去最高の動員数に達したとのこと。この記事ではそんな熱気に満ちた場内の様子を写真でレポートします。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

「Slush」はフィンランド・ヘルシンキにて毎年冬に開催されている起業家、投資家、メディア等を対象とした非営利のカンファレンス&見本市イベントで、昨年11月30日(水)〜12月1日(木)に開催された「Slush 16」には計124ヶ国・地域より1万7500人の参加者(スタートアップ2336人、投資家1146人含む)が集結しました。「Slush Tokyo」はその日本版で、昨年までは「Slush Asia」という名称でしたが、現在は中国やシンガポールでも”ご当地版”「Slush」が開催されているため今回より「Slush Tokyo」に名称が変更されました。
で、このSlush Tokyo、一昨年の1回目はお台場の駐車場にドーム型テントを張って野外開催、2回目は幕張メッセ、3回目の今回は東京ビッグサイトと毎回規模を拡大しながら開催地を変えているのですが、今回場内に入って真っ先に感じたことは「本家のSlushの雰囲気にかなり近くなった」ということです。もうブースの配置からその場の雰囲気、参加者の様子など本当にヘルシンキのようで、ここが日本だということを一瞬忘れそうになるくらいでした。

昨年のSlush 16の現地レポート記事はこちら

それでも”日本ならでは”の雰囲気ももちろんあります。それは天井に無数に飾られていたこの提灯。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
ドリームキャッチャーは本家のSlushにもありましたけどね。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
この提灯のせいでお祭り感がハンパありません。もう”フェスティバル”じゃなくて「祭」。2階建てのミーティングエリアも盆踊りの櫓に見えてきます。2階で太鼓叩いている人がいたり焼き鳥や綿あめの屋台が出ていてもまったく違和感がありません。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
まあ実際にあったのはこんな”いかにも”なフェスご飯系のフードトラックだったのですが。それにしても一応ビジネス系のイベントなのに開場時からビールが売られているのがさすがです。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
こちらはスタートアップのピッチコンテストを行っていたピッチングステージ。ベンチに紅毛氈が敷かれているのがこれまた”和”な感じで縁日感がありました。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
場内が妙にもくもくしているのはこのスモークマシンのせい。入った瞬間は「視界悪っ!」と思いますが、慣れてくると日常から完全に切り離された空間に放り込まれた「非日常感」が味わえます。また煙が充満している雰囲気も祭っぽいですし。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
時折協賛企業から無料のフードやドリンクが提供されましたが、そのうちの一つが「一口おにぎり」というのも日本ならでは。しかも海苔がSlushのロゴ!

…と見てのとおり、雰囲気から会場のセッティングまで何から何まで日本のビジネス系イベントとは異なります。内容自体はビジネス系なのにスタイルはまるっきりロックフェスで、場内でスーツを着た人を見つけるのが難しいくらいカジュアルです。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
そもそも入場受付の注意事項の一番上に「ネクタイ禁止」と書かれているほど。

このように本家のSlushおよびSlush Tokyoは意図的に「権威」や「ヒエラルキー」を取り除く仕掛けがあちこちに盛り込まれています。ロックフェスのようなスタイルもそうだし、ステージ演出やブース・ステージのセッティング、イベント内公用語が英語であることもみんなそう。普通の日本のビジネス系イベントだと、誰かと話す前にまずはペコペコお辞儀して挨拶して、名刺交換して、偉い人だと名刺交換のためだけに行列ができて…という光景が繰り広げられますが、ここSlush Tokyoでは凄い人が普通にそこら辺にいて、しかもいきなり話しかけても全然OK。最終的に名刺交換をすることになっても、まずは対等に話すことが先で、学生が有名企業のエグゼクティブと話すことも不可能ではありません。ちなみに本家Slushは有名企業のエグゼクティブどころか一国の大統領や大臣、王族まで参加しているくらいで、昨年Slush 16と併せて開催された音楽特化版イベント「Slush Music」にはノルウェー王太子のHaakon Magnus氏が参加されていました。それくらい北欧では人間同士の関係がフラットで、性別、年齢、身分、立場、職業を越えて社会にイノベーションを起こそうとする動きが活発なのでしょう。

【Slush 16レポート】起業フェス「Slush」シリーズの音楽特化版「Slush Music」ふんわりレポート

なお、今回「権威」や「ヒエラルキー」の打破を最も強く打ち出していたコーナーが、孫泰蔵さん考案の「無礼講ランチ」です。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
「無礼講ランチ」は、「英語で話す前にまずはタメ口&呼び捨て(またはニックネーム)で話してみよう!」という敬語絶対禁止コーナー。席に着いたら、同じテーブルにいる人がどんなに自分より年上でも偉くても絶対に敬語を使ってはならず、語尾を「です・ます」にしたり名前に"さん"を付けることさえ禁止。その場で初めて会った人と30分間タメ口で会話を続けなければなりません。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート
審判もおり、敬語を使ったら即イエローカードとなり顔にシールを貼られます。これを4回やったらレッドカードとなり退場。面白かったのは、相手との関係を考えて敬語で喋るよりも気軽にタメ口で喋る方が絶対に楽なはずなのに、多くの参加者がうっかり敬語を使ってしまい審判にピーピー笛を鳴らされまくっていたこと。いかに普段から無意識的にヒエラルキー社会の中で生きているか、またそれに思考停止状態になっているかが実感できました。私は「ずっと秋田弁で話していれば勝てる!」と思いつき挑戦してみましたが、無礼講云々の前にそもそも言葉が通じないという根本的問題が発生しました。Slush Tokyoで秋田弁が通じる確率なんてフィンランド語が通じる確率よりはるかに低いでしょう。

【Slush Tokyoレポート】フェスというより「祭」! スタートアップ・フェスティバル「Slush Tokyo 2017」会場レポート

前述のとおりこのイベントも3年目を迎え、日本国内でもそれなりに知名度が上がっているように思います。それでも「興味のある企業や業界人が出ていないし…」「経営者や投資家や意識高い系しか楽しめないんじゃないの?」「英語ができないから自分には関係ない」と思っている人もいるかもしれません。しかしこれまでSlush Tokyoおよび本家Slushに参加してみて思うのは「別に英語力がなくても意識が低くても貧乏人でも経営者じゃなくても推し企業がなくても楽しめる」ということです。誰がいるとか何があるとかではなく、Slushという”場”そのものがなんだか面白く、その場にいること、参加者になること自体に意味があるというか。例えるなら、特別好きなジャンルやサークルがあるわけでもないのに夏冬にコミケ巡礼するようなものです。言うなればSlushは「スタートアップ業界のコミケ」ではないでしょうか。もし少しでも興味が沸いたら、次回は登壇や出展、ピッチコンテスト出場とまではいかなくてもちょっと覗いてみては如何でしょうか?高校生・専門学校生・大学生はボランティアとして参加するのもいいかもしれません。

Slush Tokyo
http://tokyo.slush.org/

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