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【Slush 16レポート】Slush参加は体力勝負! フィンランド人のパリピっぷりがマジで凄い件

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現地時間の11月30日(水)〜12月1日(木)、フィンランド・ヘルシンキにて欧州最大のスタートアップ・フェス「Slush 16」が開催され、2日間の会期中、計124ヶ国・地域より1万7500人の参加者(スタートアップ:2336組、投資家:1146組、メディア:610組含む)が集結し、開催規模および参加者数ともに過去最大となりました。

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Photo: Jussi Hellsten

しかしSlushはこの2日間のセッション&出展ブースだけではありません。むしろメインのイベント時間が終了した後こそが真の勝負です。なぜならイベント本編が始まる前から連日パーティ三昧だからです。Slushに限らず海外のビジネス系イベントは夕方あたりからアルコールが出始め終了後よりパーティへと突入するものですが、Slushは気合の入り方と酒の消費量が違います。これは運営より事前に送られてきたスケジュールなのですが…


プレス向けも含めるとパーティは全5回。最終日に至ってはパーティだけで2回あり終了時間は4:00。死ぬ、マジで死ぬ。

なお、これはあくまでもSlushが主催する公式パーティで、この他にも地元企業・団体主催の非公式パーティが多数行われました。ちなみにSlush運営から送られてきた別のメールには「この時期のフィンランドは8:00にならないと太陽が出てきません。それまでパーティしましょう」と書いてありましたが、いい加減にしろ


日本のビジネス系イベントのパーティというと、酒とツマミをちびちびつまみつつ名刺交換するネットワーキングか、居酒屋やバー、パブで語り合う”飲み会”を思い浮かべてしまいますが、Slushのパーティは「ひたすら酒を飲み続けて歌って踊る」正真正銘のパーティです。印象的だったのは、日本と全く同じ形式のカラオケコーナーがあり、それが結構人気だったこと。基本早い者勝ちで歌いたい曲を選択し、自分の番が回ってきたらモニターに映し出される歌詞を見ながら歌うという流れで、英語の有名ヒット曲以外にもフィンランド語の現地の曲も豊富に用意されていました。


しばらく現地フィンランドの人々のカラオケの様子を見ていて気づいたのは、「フィンランド語の曲なのに日本の演歌にそっくり」な曲があること。哀愁漂う泣きの入ったメロディでコッテコテにこぶしが効いていて、日本だったらサブちゃんあたりが歌ってそうな曲が次から次へと飛び出してきます。でも歌っているのは高齢者ではなく若者。これ、後から調べたところ「イスケルマ」というフィンランド独自の歌謡曲ジャンルで、若い歌手も多く専門のラジオチャンネルまであるとか。東の端っこの島国とユーラシア大陸の北西の国に同じような音楽があるなんて実に不思議ですね。日本の演歌歌手はフィンランドに行っても結構良い線いくんじゃないでしょうか。


多くのセッションが行われたステージもパーティ時にはDJフロアやライブステージへと変貌します。しかも各ステージごとに地元企業の協賛のもと異なるDJやバンドが複数出演し、イベント本編と同様に同時進行していくのでまさにフェスそのもの。こちらは「Clash Royale(クラッシュ・ロワイヤル)」(iOS/Android)や「Clash of Clans」(iOS/Android)などのスマートフォン向けゲームの開発・提供で知られるSupercellの協賛ステージ。イベント本編中は登壇者がいたステージもダンスフロアと化しています。


んふんふ(ライブが始まったけど人がいっぱいでステージが見えない)

一番大きなFounder Stageには地元フィンランドのバンドが出演しました…が、当然前方には多くの参加者が集まり全然ステージ上が見えませんでした。

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Photo: Esa-Pekka Mattila

実際はこんな感じのライブだったらしいです。出演していたのはAntti Tuisku(アンティ・トゥイスク)さんというシンガーで、2003年のフィンランド版「ポップアイドル」に出場してその才能を見出され、フィンランド国内を中心にアルバムを通算20万枚以上売り上げている人気アーティストとのこと。道理で大人気なわけです。もっとありがたがって聴けばよかった。


んふんふ(ビールこそが神の水)

先のFounder Stageに掲げられていた赤い星は地元のビール「LAPIN KULTA(ラピン・クルタ)」のマーク。フィンランドの酒というと隣のロシアの影響もありウォッカをイメージする人が多いかもしれませんが、もっぱら日常的に飲まれている酒はビールらしいです。日本人が普段日本酒よりもビールをよく飲むのと同じですね。ところがその消費スピードがハンパない!もちろん参加人数が多い上に無料提供というのもありますが、つまみもないのに皆まるで水を飲むかのようにガンガン呑みまくって次の缶を開けるので、新しい缶を補充したり空き缶を集めたりとバー担当のスタッフはてんてこ舞い。ステージとドリンクの協賛をした飲料メーカーのHartwall(ハートウォール)社の懐具合が心配になってくる程でした。ちゃんと費用対効果があればいいのですが…。

…とまあ、このように何もかもケタ外れな規模で開催されているSlushですが、驚くべきはその運営がほぼ全て学生のボランティアスタッフによって行われていることです。それも「もの凄いことを超一生懸命に頑張ってます!」感がなく、クロークの受付からメディア対応、仕出し準備、機材・備品運び、ゴミ拾いと細かい仕事に至るまでどんな役割も楽しそうに笑顔でこなしていたのが印象的でした。もし彼らがコミケスタッフと戦ったらかなり良い勝負になると思います。どんな戦いか分かりませんが。

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Photo: Esa-Pekka Mattila

今年のボランティアは学生を中心に約2300人。人口550万人の国で2300人といったら、おそらくヘルシンキ周辺の首都圏の大学生はほぼ全てSlushに関わっていたのではないでしょうか?こんな大変そうなことをよくノーギャラでやるなあ…とついつい思ってしまいますが、考えてみれば普段なかなか会えない有名な起業家や政治家、アーティストに会えるし、仕事の合間にセッションを見学できるし、英語での接客対応のトレーニングにもなるし、大型イベント運営の手順まで一通り学べるし、”学びの場”としては貴重な機会と言えます。きっとSlushのボランティアを経験した学生は将来絶対に「自分で何か始める」人になるでしょう。

なお、来年の「Slush 17」も今年と同じく11月30日〜12月1日の2日間に渡って開催されることが既に決定しています。もし来年Slushに参戦したい!見に行きたい!取材に行きたい!という読者の方がいたら、必ず肝臓に良いサプリと二日酔いの薬を持っていくことをオススメします。何もないと全スケジュール完走はマジでキツいです


んふんふ(パーティ名残惜しいけどもう限界)

私はトラム(市電)の最終に合わせてパーティの一次会で抜けましたが、この後パーティの二次会に向かう参加者の輸送のため深夜帯の臨時電車が運行されました。パーティのために鉄道会社が臨時電車運行って前代未聞ですよ。

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