現地時間の11月30日（水）にヘルシンキにて開催された起業フェス「Slush」シリーズの音楽特化版「Slush Music」では、多くのセッションの他に地元起業による展示ブースも設けられました。その中から、実際に自分で試してみて印象に残ったサービスを2つご紹介します。
■音楽を体感できる”スマート枕”「FLEXOUND HUMU」
Slush Musicの企業出展の内容はほとんどがスマートフォン/タブレット向けアプリやWebサービスでしたが、その中でたった一つガジェット系の出展がありました。それがこちらの「FLEXOUND HUMU」です。ブースに寝具を置いている時点で明らかに他と違います。
出展しているFlexound Systemsはフィンランド・エスポーに拠点を置く音響技術のスタートアップで、映画やゲーム、VRコンテンツなど様々な場面で音楽を”体感”できる独自技術「feelsound technology」で特許を取得しています。現在同社では消費者向け商品としてスマートフォン連動型の音楽体感スマートクッション「FLEXOUND HUMU」を開発しており、今回はその試作品を出展していました。
「FLEXOUND HUMU」は一見するとごく普通の形の枕ですが、中のスピーカーとスマートフォンアプリが連動しており、自分の好きな音楽を選択して枕の内部から再生させることができます。そう書くと実にシンプルでなんてことないような気がしますが、実際に試してみると、両耳ではなく「後ろ頭と首」で音楽を聴く感覚がとても新鮮でした。
アプリ上では楽曲を選択するだけでなく曲のスピードや音程も調節可能。「Heavy bass」を選択して重低音を効かせるとガンガン音が響いてより「体感」している感覚を味わえました。ただ連日の酒と寝不足もあり、しばらく試しているうちにそのまま寝落ちしてしまいそうになりましたが。しかし好きな本を読みながら寝落ちするのと同じように、好きな音楽を体感しながら寝落ちするのはなんとも心地よく贅沢な体験です。同社は欧州以外にも北米やアジアの市場も視野に入れているとのことで、なんと11月14日に福岡市で開催されたピッチイベント「Go Global: Fukuoka ｘ Helsinki」への参加のため来日していたそうです。もしかしたら「FLEXOUND HUMU」が日本のショップに並ぶ日も近いかもしれません。
■音ゲー感覚でギターやピアノの演奏を練習する「YOUSICIAN」
こちらのアーケードゲームのような筺体のあるブースは、楽器練習アプリを提供するYOUSICIANのブース。このアプリではギターやベース、ウクレレなどの弦楽器や、ピアノやキーボードなどの鍵盤楽器の演奏方法をリズムゲーム感覚で学べる学習アプリなのですが、まさにゲーム形式の出展内容になっていました。
「YOUSICIAN」は端末のマイクと連動しており、楽器の基礎の基礎から単音の弾き方、コードの弾き方を順番に教えてくれます。驚いたのが、ログインしてまず最初に出てくるのが「チューニングの仕方」だったこと。もう弾き始める前からのスタートです。チューニング方法はアニメーションで紹介されるのでド素人でも理解できますが、端末のマイクがしっかり音を拾っているためちゃんと音が合うまで次のステージに進むことができません。この順を追う感じはまさにステージクリア型のゲームそのもの。飽きずに練習を続けられるよう工夫されています。
こちらは鍵盤楽器に対応したステージ（？）。どの指でどの鍵盤を弾けばいいのか色で示されており、それに従い弾けばちゃんと音楽になるように導いてくれます。
うっかり間違うとこのように指摘してくれます。
弦楽器にせよ鍵盤楽器にせよ、演奏の練習画面はまさにリズムゲームそのもの。太鼓の達人のように横スクロールする楽譜に合わせて弾いていき、評価の星を獲得すれば次のステージに進むことができます。星評価は結構ざっくりしていて、なんとなく合っていればわりとすんなり獲得できますが、それとは別にスコア評価もあり、そちらはかなりシビアでパーフェクトを狙うのは難しそうでした。
他にも、自分の好きな曲をアップロードして練習する機能もあり、ただ単調な反復練習に耐えるのではなく楽しみながら学べる工夫が随所に施されていました。アプリ自体はダウンロード無料で、1日15分お試し無料体験が可能。ずっと続けて全てのレッスンと機能を利用するには課金（年契約で月額9.99ドル）が必要となります。ちなみに2016年9月現在で全世界ユーザー数は250万人を突破しているとのこと。もちろん日本からもダウンロード可能です(iOS/Android)。