世に雰囲気ゲーは数あれど、この「BADLAND」はアートワークの美しさとアクションゲームとしての面白さのバランスが程よく取れている傑作タイトルです。得てして雰囲気ゲーは”死にゲー”であることが多く、せっかく美しい画面を鑑賞したいのにキャラがすぐ死んでしまうという事態になりがちですが、本作ではそのようなことはなく、自分のペースでゲームを楽しみながら幻想的な世界観を堪能できます。
どうですこのアートワーク!もう雰囲気ゲーとして申し分無いクオリティです。それもそのはず、本作は2012年にフランス・パリで開催された「Game Connection Europe 2012」でベストプロジェクト賞とSCEE賞をダブル受賞するなど様々なアワードで高く評価されています。開発したのはフィンランド・ヘルシンキに拠点を置くインディゲームディベロッパーのFrogmindで、本作を開発した当時はメンバーがわずか2人のみだったというから驚きです。
本作は、どう見ても生首にしか見えない謎の生き物「クローン」を操作し、まるで絵本のような幻想的な森の中を様々なトラップを避けながら進んでいく横スクロールアクションゲームです。操作方法は画面をタップするとクローンが上昇し、指を離すとその場に落下するといったシンプルなもので、タイミングよくタップをくり返すとステージ上を自由に飛び回ることができます。一応物理設定もあり、傾斜のついた地形では自然にコロコロ転がります。画面は右方向へ自動的に進む強制スクロールで、トラップに引っかかって画面端に挟まってしまうとゲームオーバーになってしまいますが、ステージの各所に細かくセーブポイントが設定されており、且つスタミナ制ではないので何度でもリトライできる親切設計となっています。
トラップは大きな岩や木の根っこ、蔓など自然のものから歯車やファンなど人工物まで様々あり、どれもプレイアブルキャラのクローンと同様にシルエットのみで描かれています。フルカラーの美しい背景画との対比が影絵のようで美しく、思わず見入ってしまいますが、あまりガン見するとトラップに引っかかってゲームオーバーになってしまうので要注意。
背景画は”いかにも”な西洋の森のようなものもあれば、アジアンテイストを意識したような竹林もあり、ステージごとに地形やトラップのパターンも変わるのでずっとプレイしていても飽きません。というか初見では絶対に死にます。何度もトライ&エラーを繰り返してクリア方法を見つけるという謎解きっぽい要素もあります。
こんな円形の装置にスポーン!と吸い込まれるとゴールです。
トラップを上手く避けるのに必須となるのが、ステージ上に配置された様々な効果を発揮するアイテム達です。クローンが巨大化したり、逆に小さくなったり、なぜかたくさん増えたりetc...アイテムは全12種類あり、見落とさずに取得することでクリアがぐんと楽になります。
なお、本作はただ美しい雰囲気ゲーではなくちゃんとしたメッセージが込められています。チュートリアルどころかテキスト表示すらほとんど無いタイトルですが、ステージを進めていくごとに森の動物達が少なくなり、自然のトラップよりも人工物のトラップの方が多くなり、しまいには背景画まで人工物だらけになり…と、森に何か異変が起こっていることが分かるようになってきます。
ちなみに本作はiOS版こそ400円で有料ですがAndroid版はなぜか無料!広告も入ってないのに!太っ腹!ということで特にAndroidユーザーは是非プレイしてみて下さい。アートワークがとにかく美しいので、できればスマートフォンではなくタブレットでのプレイをオススメします。
(C) 2014 Frogmind