”ビクトリア朝時代のイギリス・ロンドンを舞台とした推理モノ”と言えば誰もがアーサー・コナン・ドイルの推理小説「シャーロック・ホームズ」シリーズを思い浮かべるでしょう。東京ゲームショウ2014の「インディゲームエリア」に出展されていた「Bertram Fiddle（バートラム・フィドルの冒険）」は、そんな「シャーロック・ホームズ」的な舞台とシュールなキャラクター、イギリスならではのブラックユーモアを織り交ぜた不思議な世界観の推理アドベンチャーゲームでした。
本作はイギリス・ブリストルに拠点を置くアニメーションスタジオのRumpus Animationが開発中の同社初のゲームで、2014年内にPC版とiOS版をリリースし、その後にAndroid版もリリース予定とのこと。ストーリーは、ロンドンの街を震撼させる連続殺人犯「ジェフ」を捕らえるため主人公のバートラム・フィドルが相棒のギャビンと共に街中を冒険し奇妙且つ巧妙なトリックの謎を解いていくというもの。画面の中に描かれている様々な場所や人、物にタッチするとセリフが展開したり別の場所に移動できるようになりストーリーが展開していきます。
特徴的なのは、陰鬱な作風ながらもどこかコミカルにデフォルメされたビクトリア朝時代のロンドンのアートワーク。街並や調度品、キャラクターのファッションなどの描写が細かく非常に見応えがあります。例えば机の引き出しを触ると電報が出てくるのですが、当時の電報のデザインが皺や折り目、スタンプ跡などのディティールも含めて再現されていて雰囲気が出ています。この時代のテイストが好きな人ならきっと世界観からハマってしまうでしょう。
そして出てくるキャラクターが全員辛辣＆毒舌でどこか変。主人公・バートラムの執事であり捜査の相棒・ギャビンはシャーロック・ホームズシリーズにおけるワトソン的なキャラクターなのですが、見ての通りなぜか一つ目。なのに作中でそれに対する説明は一切無く他のキャラクターもそれにツッコミません。なんで？っていうかそのキャラデザインに何の意味があるのか？他にもシュールで謎だらけなキャラクターが登場しますが、どこまでもツッコミ不在で淡々とストーリーが展開していきます。
寝室の様々なところを触っていたらこんなメッセージが。いいじゃん好きなところ見たって！
主人公のバートラム・フィドルは妻帯者。奥さんに話しかけたら「そう、ぼうけんすることがしばらく見つからないのでしたら、ちゃんとしたしごとを見つけなさいませ。」と…。嫁に働けと説教される推理アドベンチャーゲームなんて辛辣過ぎる｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡
なお、画面を見てお分かりのとおり本作はイギリスで開発されているにも関わらず開発段階から日本語翻訳が行われており、しかもかなりちゃんとした文面です。それもそのはず、開発者の奥様が日本人なので全てのテキストが自然な日本語になるよう添削が入っているのだとか。もちろん本作は日本向けにもリリース予定だそうで、気になる人はゲーム公式サイトよりメールアドレスを登録しておくと最新情報を受け取れます。