最近、イギリスのBBCが放送する長寿SFドラマシリーズ「ドクター・フー」のFacebook/スマートフォン向け公式ゲーム「Doctor Who: Legacy」がリリースされました。
「ドクター・フー」は、時空を自由に移動できる異星人の主人公・ドクター（Doctor）が、地球人の仲間（コンパニオン）や他の異星人と共に交番型タイムマシン「ターディス」で様々な時代を駆け巡り、タイムパラドックスや外敵侵略などのトラブルを解決するため奔走するSFドラマです。1963年よりスタートし、1989年に一時中断したものの1996年にテレビ映画として一時復活。その後2005年から新シリーズが放送されているという世界最長の長寿ドラマシリーズで、昨年ちょうど50周年を迎えました。最初は子供向けドラマでしたが、回を重ねるごとに大人にも人気が定着し「フーヴィアン」と呼ばれる熱狂的ファンもいるほど。これまでにヒューゴー賞を始めとする多数のアワードで受賞歴があります。日本でも各種コンテンツ配信サービスで提供されておりDVDもリリースされています。
ゲームはシーズン5（2010年〜）のストーリーとキャラクターを基に始まりますが、ストーリーを進めていくごとにこれまでの全シリーズのドクターやキャラクター、敵が登場するとのこと。ストーリーはドクターとキャラクターの会話で進むノベルゲーム形式で進み、その途中途中で敵が攻撃をしかけてきます。ところがバトル画面が…
どう見てもパズドラ
いや、これはちょっと言い逃れできないレベルでしょう。日本語対応されておらず全部のテキストが英語ですが、別にそんなのは読まなくてもほとんどプレイに支障はありません。だってパズドラとほとんど同じだから。3マッチ式パズルのルールも同じならキャラクターと敵に属性が設定されていることも同じ。縦横の列の数やパズルパネル(Gem)が消えた後に上から降ってくるシステム、コンボを重ねるとその分強力な攻撃を加えられるシステムも全く同じです。
ステージをクリアするごとに新しいステージが開放されたり、通常ステージの他に期間限定のスペシャルステージがあるのもパズドラとだいたい同じで、それぞれをクリアするとキャラクターや強化アイテムが入手できます。
キャラクターが増えていくと当然デッキ編成の幅が広がり戦力も増します。デッキはドクターを筆頭に最大5種類まで登録可能。これもパズドラに似ていますが、本作にはソーシャル要素が無く、他プレイヤーを助っ人にすることができない分キャラ編成の枠が一つ多くなっています。
キャラクターはゲームの進行に従い自動的にレベルアップしていき、レベルがMAXになったところで強化アイテムを使用して”限界突破”させると更にレベル上げができるようになります。
それにしても見れば見るほど豪快なコピーっぷりです。レイアウトも全く同じだし。ちなみに開発・提供を行っているのはTiny Rebel GamesとSeed Studioという企業です。
もちろんパズドラのコピーは今に始まったことではなく、同作がリリースされた2012年当時から既に国内外の多くの企業が数え切れないくらいの「パズドラ亜種」をリリースしています。3マッチ式パズル以外のパズルとRPG要素を組み合わせたタイトルも含めれば、その数は数百にも及ぶでしょう。だからこの「Doctor Who: Legacy」だけを「パズドラのコピーだ！」と責めるのはフェアではありません。
そもそもゲームに限らず世の中のありとあらゆるものはコピーを繰り返し進化してきたものかもしれません。先行者をコピーしつつも新たな要素を加えて付加価値を出し、それをまた誰かがコピーして進化させ…その延長線上に現在のソーシャルゲームやモバイルゲームも存在しているのでしょう。また、世界中の多くのディベロッパーが「パズドラ亜種」を開発しているということは、それだけガンホーの発明である「パズルRPG」が世界的にも浸透したということであり、むしろ喜ばしいことだと捉えることもできます。
……そう頭では分かっているのですが、それでもイギリスの公共放送であるBBCの、世界最長と言われている超有名長寿ドラマの「ドクター・フー」でさえパズドラをサクッとコピーしてしまうこの状況が果たして良いのだろうか？…と感情的にモヤモヤしている自分がいるのです。もちろんただの丸パクリではなく、番組の内容と連動したストーリーやノベルゲーム風のUI、スマホだけでなくFacebookでもプレイ可能なクロスプラットフォーム性などこのタイトルならではの要素もあるのは分かっているのですが。私の頭が硬いのかなー…
(C) 2014 BBC Worldwide Limited and Tiny Rebel Games LLC