TOYOTAが同社の新型PASSOのタイアップアプリとしてテキスト自動変換アプリ「しずかったー」をリリースしました。
「しずかったー」は、文章に含まれるネガティブな言葉や下ネタを自動認識しポジティブでキレイな言葉に変換してくれるアプリです。タイトルどおりドラえもんのヒロイン・しずかちゃんが起用されていますが、今夏公開の3DCG映画「STAND BY ME ドラえもん」のキャラデザインが採用されているので映画のタイアップも兼ねているのでしょう。
例えば「マジあいつ嫌い!」と入力すると、「本当にあの方将来的には好きになるしかない!」と実にキレイ且つポジティブに変換してくれます。スラングなども丁寧な言葉になるようです。
変換レベルは「Low」「Middle」「High」の3段階から選択可能。「Low」は必要最低限の言葉が変換される程度ですが、「High」にするとちょっとやり過ぎかも?というくらい変換されます。
…で、思い付いた。
原作コミックでのドラえもんの暴言を「しずかったー」で変換するとどうなるのか?
アニメのドラえもんしか見なていない人はあまり知らないかもしれませんが、原作のドラえもんはかなり毒舌…というかぶっちゃけ鬼畜です。原作ドラえもんのブラックさは藤子A先生の大人向け作品に匹敵するかそれ以上で、もはや青い悪魔と言ってもいいくらい。ドラえもんの暴言については既に多くのまとめ記事や動画が作られているので気になる人はググってみて下さい。
まずは簡単なものから試してみます。
「きみはじつにばかだな」
これはカラー作品集 第6巻 に収録されている「ウルトラスーパー電池」にてドラえもんがのび太に対して放った一言です。既にネット上では有名でAA化されたり二次創作でネタとして使われたりしているので知っている人も多いでしょう。これが「しずかったー」で変換されると…
「きみはじつに幸せ者だな」
幸せ者!「ばか(バカ、馬鹿)」は「幸せ者」へと変換されるようですね。
きみはじつにばかだなきみはじつにばかだなきみはじつにばかだなきみはじつにばかだなきみはじつにばかだなきみはじつにばかだな.........変換した言葉はそのままTwitter、Facebook、LINEへ投稿できるのですが、その際に変換する前のオリジナルの文言がズラ〜っと表示されるのがなんだかシュールです。
では他のドラえもんの暴言もどんどん変換してみましょう。
「アホかきみは」
これはコミックス16巻に収録されている「雲ざいくで遊ぼう」にて、本気で息で雲を吹き飛ばそうとしているのび太に対しドラえもんが心底呆れ返ったツラと共に放った一言です。
「天才かきみは」
アホが天才になった!これはまた面白い変換例が出ました。
何気に衝撃的なのが…
「口をきくのもめんどくさけりゃ、もう死んでしまえ。」
ドラえもんがのび太に対しはっきりと「死ね」と言うなんて何があったのかとビックリしますが、これはコミックス18巻収録の「テレパしい」での一言。ドラえもんものび太の無茶振りに相当キてることが伺えます。
…なにこれ??
平仮名が多いと単語の区切り方がおかしくなって妙竹林な変換になってしまうようです。「めんどくさけりゃ」の中の「さけ」が「酒」として認識され「カルーアミルク」に変換されてしまったんですね。でもなんでカルーアミルク??あと「死んでしまえ」の中の「でし」が認識され「恋人の次」と変換されたのも謎です。「死んでしまえ」では変換されないのでしょうか?認識・変換の基準がイマイチ分かりません。
そしてドラえもん史上屈指の暴言と言えばこれ!
「やろう、ぶっころしてやる」
これはコミックス5巻に収録されている「ドラえもんだらけ」の中の有名な一言です。寝不足で錯乱したドラえもんが別の時間軸から来た自分自身を殺そうと追いかけ回すという狂気じみたシーンで、こちらも「きみはじつにばかだな」と同様に頻繁にAA化されたり二次創作に使われたりしています。
は?!
「ジェントルマン、ぶっナデナデしてやる。」?!
「やろう→ジェントルマン」は丁寧に変換しているとして、「ころして→ナデナデして」ってどういう基準の変換なんでしょうか。
殺すのがダメなら消すのはどうだ!
「じゃまものは消してしまえ。」
これは風刺話として最高傑作と言ってもいいコミックス15巻収録の「どくさいスイッチ」での一言です。ドラえもんの暴言・毒舌の中でも危険レベルが高く、この後に続く「すみごこちのいい世界にしようじゃないか。」という言葉も恐いです。
「ここにいるべきものは消してしまえ」
「じゃま(ジャマ、邪魔)」が「ここにいるべきもの」に変換されていますが、後に続く言葉との組み合わせからこれはこれで危険な言葉になってしまいました。必要な奴を敢えて消すというのも実に独裁者的です。
危険な台詞と言えばこちらも忘れちゃいけない。
「じゃ、ミサイルでもうちこんでやるか。」
まったくどこの北の将軍様だという感じの発言ですが、原作ではこれをドラえもんが無表情に言っていたりするので余計に恐いです。コミックス20巻収録「設計紙で秘密基地を!」での一言です。
………あれ?変換されない?しずかちゃん的にはミサイル攻撃はネガティブではないんですかね?
物騒なものだけでなく迷台詞も変換してみましょう。
「やきいもは、食べる前におならをする」
これもコミックス5巻に収録されている「のろのろ、じたばた」での一言です。心身共にに早くなる薬「クイック」を飲んでせっかちになったドラえもんがドタバタしながら芋を頬張りつつ屁をこく様子がかわいいので一読をオススメします。
「やきいもは、食べるまえに天使のため息をする」
おなら→天使のため息wwwwwwwwwwww
確かにこれはキレイな表現です。しずかちゃん的にはおならは天使のため息なんですね。
1コマあたりの罵詈雑言数で1番なのはこれ。
「ジャイアンのよくばり。いじわる。ばか。ノーテンゴリラ。あほ。くそったれ。しんじまえ。」
ジャイアンにここまで言いたい放題に言うのはなかなか凄い…けれど、実はひみつ道具「ヤカンレコーダー」を使った”時間差攻撃”なのでした(コミックス4巻収録)。この変換は結構期待できそうです。
よくばりが変換されないのは意外ですが
いじわる→愛情の裏返し
ゴリラ→コアラ(なんで?)
くそったれ→美しく儚い者たち
しんじまえ→お願いだから生きてっ!
と凄い変換が来ました。ゴリラはしずかちゃん的にはネガティブワードなんでしょうか?だとすると「キテレツ大百科」のブタゴリラは一体…
ちなみに原作ではしずかちゃんすらなかなかの毒舌キャラです。のび太のことも平気で「あんた」呼ばわりしバカとか言います。中でも一番ひどいのはこれ。
「いくらばかでも、よろこばせといてがっかりさせるのはかわいそうよ。」
ひでえ!のび太のことを「いくらばかでも」とはwwwwww この台詞を「しずかったー」で変換するなんてしずかちゃんにとってはブーメランですね。
はぁ?
「いくら」が食品のイクラとして認識されてしまったみたいですが、それが「赤い宝石のようなつぶつぶ」とは。一方「がっかり→すこし気を落とす」という変換は控えめな感じがします。
…とまあいろいろ変換して思ったのは、全ての言葉がキレイ且つポジティブになると
とても気持ちが悪い
ということです。ネガティブな言葉や下ネタが一切無い、または言えない世界なんてただ息苦しいだけで居心地はぜんぜん良くないでしょう。時代の流れもあるでしょうが、原作ドラえもんはできる限り自主規制などせずオリジナルの暴言・迷言のまま出版され続けて欲しいと思います。
伏せ字にすると余計にエロい