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【Casual Connect USAレポート】東アジアでの成功方法を教えます---日本と韓国で成功するモバイルゲームの条件とは

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【Casual Connect USAレポート】東アジアでの成功方法を教えます---日本と韓国で成功するモバイルゲームの条件とは1

今回のCasual Connect USAでは複数のセッションで「アジアはモバイルゲームのフロンティア」「アジア市場の収益は欧米とは桁違い」など、とにかく「アジアはなんだか凄い」といった内容が聞こえてきて、アジア地域のモバイルゲーム市場への注目度が高まっていることが伺えました。この最近のトレンドを反映してか、パネルディスカッション「Success in Asia: Lessons From Industry Leaders in Japan an South Korea」が設けられ、株式会社ディー・エヌ・エーの執行役員である赤川隼一氏、NHN EntertainmentのディレクターであるJames Yoo氏、Crowdstarのグローバルビジネス部門VPであるRandy Lee氏、SponsorPayのビジネス開発部門SVPであるBen Chen氏が一堂に介しアジア市場への参入のポイントを解説しました。ちなみにSponsorpayはまだ日本ではあまり知られていませんが、ドイツに拠点を置く欧州最大のリワードネットワークで定期的に地域ごとのモバイルゲーム市場のデータも発表しています(過去記事はこちら)。

【Casual Connect USAレポート】東アジアでの成功方法を教えます---日本と韓国で成功するモバイルゲームの条件とは2
DeNA 赤川隼一氏

■「アジア」で一括りにしてはいけない
まず冒頭のテーマは国ごとの市場やプレイヤーの違い。多くのアジア以外の国・地域の人々はアジアを一括りにして考えます。しかしこれこそが失敗の原因であるとし、Chen氏は「アジア地域を統一された”アジア市場”と見ないで欲しい。同じアジアでも東南アジアと東アジアでは違うし、さらに東アジアの中でも中国、日本、韓国はそれぞれ全てが異なる。特に最近の日本と韓国ではスマートフォン向けのメッセージングアプリがゲームプラットフォームとして存在感を増しており、韓国のランキングはKakao Talkに独占され、日本のランキングはLINEに独占されている」と指摘しました。

■とにかく短く!
次に、日本と韓国のプレイヤーのプレイスタイルがテーマに挙げられました。日本人と韓国人の1回あたりのゲームのプレイ時間はだいたい1〜2分と非常に短く、その代わり短い間隔で何度もログインして遊びます。一方、西洋人はログインの間隔が空きますが、1回あたりのプレイ時間は長くじっくり遊ぶ傾向にあるとのこと。これを受けてYoo氏は「日韓でヒットしたければ1回あたりのプレイ時間が極力短くなるようゲームをデザインしなければならない。また日韓ではヒット作の寿命も短く、リリース直後にある程度のダウンロード数を稼いだタイトルでさえ大半は3ヶ月以内にランキング圏外に消える」と指摘しました。つまり、日韓の市場で生き延びたければ少なくとも3ヶ月ごとに新たなゲームを開発する必要があるというわけです。

画面は縦に!プレイは片手で!
加えて、このセッションで全員が賛成したポイントとして「ヒットさせたいのなら端末を縦持ちにして片手で操作可能なデザインにするべき」が挙げられました。これは先に挙げられた「1回あたりのプレイ時間の短さ」とも関連しますが、日本と韓国は公共交通機関を利用する人が多く、電車やバスの中、それらの乗り換えの待ち時間にゲームをプレイする人が多いことも要因として考えられます。実際に韓国の人気・売上ランキングで上位にランクインしているタイトルの全ては縦画面で片手で操作できるシンプルな内容のカジュアルゲームだそうです。しかしLee氏は「ゲームの内容がシンプルでもUIがシンプルというわけではない。アジアのプレイヤーは情報と広告の洪水に慣れており、一つの画面の中に多くの情報が詰まっていてもすぐに理解できる。画面内に常に広告が入っていることさえあまり問題にはならない。渋谷が人と情報と広告で溢れていても人々が問題なく活動しているのと同じ」と付け加えました。

■カードバトルゲームは韓国でも人気
日韓の最近の市場の動向について、赤川氏は「日本ではまだまだ海外のタイトルよりも日本国内のディベロッパーのタイトルが人気で、さらにヒットタイトルのほとんどが『神撃のバハムート(Rage of Bahamut)』のようなカードバトルゲーム」と解説しました。またこれを受けYoo氏も「カジュアルゲーマーの嗜好が多様化したためか、今では日本を超えて韓国でもカードバトルゲームの人気が高まり韓国のディベロッパーが開発したタイトルも増えている。これは韓国のモバイルゲーム市場における新たなトレンドだが急速に成長しており、カードバトルゲームはベストなモバイルゲームのジャンルの一つと言える」と語りました。なお、「神撃のバハムート(Rage of Bahamut)」は欧米でも成功したタイトルなので、カードバトルゲームの人気の高まりは日韓に限ったことではないかもしれません。

これらのことは日本に住む我々にとっては当たり前かもしれませんが、日韓以外の国の人々には未知のことばかりで、まだまだ「盛り上がっているけれど謎の市場」と思われているのかもしれません。最後にChen氏は「東アジア市場への参入にはある程度の投資と期間が必要。短期計画では簡単に成功できない。まずはその国に完全にコミットし、雰囲気や文化、テイストをしっかり学んで欲しい。そしてその土地のプレイヤーが何をしているか、何が彼らを惹き付ける要因となるかを理解して欲しい」と呼びかけました。

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