03. 1月 2012 · コメントは受け付けていません。 · Categories: コラム, 特集 · Tags:

昨年掲載したコラム「【特集コラム】親父にフィギュアSNS「fg」をやらせてみた」、これまでたくさんの方々に読んで頂き、2011年内に公開した記事の中で最も読まれた記事となりました。PV(ページビュー)もなんと2万5000PVを突破!どうもありがとうございます。
昨年秋にまた農作業の手伝いで実家に帰る機会があったので、ついでに父のfg利用動向をチェックしてきました。このコラムは以前からの続きとなります。

■ちょっと間が空くとめんどくさくなる。それがソーシャルメディア

父のfgページをチェックして下さっている方は既にお分かりかと思いますが、父の作品投稿が9月10日でピタリと止まっています。これは秋になり農作業が忙しくなったため。9月中旬〜11月は農家が一年のうちで最も忙しくなる時期です。しかし止めていたのはfgへのログインだけで、作品だけは作っていたらしく…

未投稿の作品がてんこ盛りに。

平等院鳳凰堂がエライことに。

実は父のペーパークラフト製作ですが以前のコラムからいろいろと状況が進展しているようで、作った作品を「譲って欲しい」と言って下さる方や製作依頼のオーダーをくれる方もいるとか。母曰く、市の保養所に作品を譲ったら御礼に高級霜降牛のセットをもらったとのこと。しかし仕事や作品製作など「リアル」が忙しくなると、どうしてもオンライン活動に割く時間がなくなってしまいます。そしてちょっと間が空くとPCを立ち上げることすら面倒になってしまいがちです。

ということで、父のケツを叩いて早速写真撮影。

■いきなりグローバル

そしてfgを立ち上げると…

外国人のユーザーからコメント投稿とフレンド申請が来ている!

父:「あや!これ外人でねえが?おら英語なのわがらねでゃ」

私:「んだばとりあえず私が代わりに英語で返信するがらよ。『フレンド申請ありがとうございました。これからも宜しくお願い致します』ぐれえでいいべ?」

父:「んだ。それでいい。しかし外人も好ぎで日本語のサイトどご使ってらなだべな。たいしたもんだなや。おら英語なのぜーんぜん分がらねえのによ」

また、ほかにもたくさんのコメントと評価を頂いていました。作品によっては閲覧数が4桁になっているものも(ありがとうございます)。日本語のメッセージやコメントにはできる限り父に返信させました。

ということでこれまでのブランクを埋めるべく未投稿の作品をサクサク投稿。すると投稿した側からぐんぐん閲覧数と評価が増えていきました。明らかに以前と比べスピードが違います。作品をたくさん投稿することで良いサイクルができたようです。

しかしここに来て問題発生。父の癌が脳に転移し、その影響で視力がガタ落ち。もう眼鏡を作るのが間に合わないくらい現在進行形で落ち続けています。医師の余命宣告カウントダウンでも寿命は今年ラスト1年。果たして父は作品を作り続けることができるのか?

ということで、今後作品が増えるかどうか分かりませんが宜しければ父のfgページをチェックしてみて下さい。

http://www.fg-site.net/members/125345

12. 11月 2011 · コメントは受け付けていません。 · Categories: コラム, 特集, 電子書籍 · Tags: ,

先月、実家周辺の風景をiPhone向けカメラアプリ「Instagram」で撮影したコラムを公開したところ…

・ヤバイ
・ひどい
・これはこわい
・よせ
・この写真人写ってないけど端っこに人いるよ

などなど大変ご好評を頂きました。そこで閃いた!

 

「これで電子書籍を作って適当に値段を付ければ売れるんじゃないか?」

 

実はこのVSmedia、現時点ではまだ収益化できておらず私も貯金を切り崩して生活しているダメ人間状態です。この電子書籍が少しでも収入の足しになればこれ幸い。ということで作ることにしました。

現在では電子書籍プラットフォームもたくさんありますが、私が選んだのはこちら

ブクログのパブー | 電子書籍作成・販売プラットフォーム

このVSmediaは株式会社paperboy&co.が運営するレンタルサーバー「ロリポップ!」を使用しているのですが、たまに同サービスのサイト内にこのパブーのバナーが出てくるんですよね。まあ選んだ理由はそれだけです。

 

1.どんな本にするか?
パブーには詳細なマニュアルが用意されているので(これも電子書籍形式)、これを見ながら作業すれば初めてでも割と簡単に電子書籍が作れそうです。特にマンガや写真集は画像データをZipファイルにして一括インポートできる機能があるのですが、せっかく初めて作るのだから文字入れしたらどうなるかも見てみたいもの。そこで「ちょっとテキストが入ってる写真集」を作ることにしました。

 

2.製作開始!
それでは早速本の製作に入ろうと思います。


まず本のタイトル、カテゴリ設定、概要の記入などを行いますが…まるでブログの設定をしているよう。しかもタグ設定までできるようになっています。これならブログを書く知識があればサクサクっと出来そうな感じです。


そしてどんどんページを作っていきます。こちらの編集作業はもっとブログっぽい!画像のサイズを変更したり、文字を装飾したりと本当にブログ記事を編集しているかのようです。なお、この作業の前に「章」を設定することもできるのですが写真集には不要かと思い省略しました。(「章」は後から設定することも可能です)。


…で、どんどんページを作った結果なんと総ページ数は43ページに!奥付も含めると44ページです。実はコラムで使用した写真は撮影した中のほんの一部で、この電子書籍を作るにあたり未使用の写真を加えたのですが、ちょっと多過ぎたかも…

まあいいか

 

3.値段を決めよう
ではいよいよ作った本を公開します。


本がWeb上だけでなくスマホやタブレット上でも読まれることを想定しPDFとePubの作成にもチェックを入れます。


そして問題は「価格」。他の人が作った有料の本を見ると、そのほとんどが数百円単位の価格設定で数千円単位のものは稀です。印象としては同人誌の価格設定に近いような。パブーは本が売れた時に販売手数料として価格の30%を徴収するビジネスモデルになっています。例えば価格を100円に設定した場合は70円が執筆者の取り分となるわけです。今私が作ってる写真集は初めて作る言わば「やってみた」的な本なので、あまり高い値段にしてもなー…という気もします。ということで、後々計算が楽になることも考え、自分の取り分がピッタリ100円になる「142円」に設定することにしました。


あと忘れてはいけないのが「試し読み設定」。有料の電子書籍とはいえ、いくらかお試しで中を見れなければ買う気は起こらないでしょう。実際の本屋で立ち読みしてから本を買うのと同じですね。とりあえず私は奥付を含め9ページピックアップして公開することにしました。

 

4.完成!

こうして電子書籍完成!パブーで私の写真集が公開されました。まだ公開してすぐなので当然売り上げはおろか評価やコメントもありませんが、パブーは外部のソーシャルメディアとの連携機能も充実しているのでこれからガンガン営業したいと思います。

しかし思っていた以上に簡単に作れてしまい拍子抜けするくらいでした。本当にブログを書くのと同じ感覚です。なんかもっといろいろな電子書籍を作りたくなってきました。今後「VSmedia傑作選」みたいなテキスト中心の本も作ってみようかな?


↑こんなブログパーツも生成される!

12. 10月 2011 · コメントは受け付けていません。 · Categories: コラム, 特集 · Tags: ,

またまた中の人の実家ネタです。私の実家が秋田県の農家で環境がいろんな意味でヤバイ件は先のコラムで書いたとおりですが、ぶっちゃけインターネット環境もかなりヤバイです。まず…

・光回線使用不可
「利用してはいけない」という意味ではなく地形的な問題で個人では「 利用できない」という意味の「不可」です。また自治体レベルの環境整備も全く行われていません。

・SoftBankの携帯使用不可
これまた地形的な問題でアンテナが全く立ちません。 もちろん3Gも繋がったり切れたりで不安定。というかほぼ切れっぱなし。

・その結果、家ネットはADSL、携帯はDoCoMo or au
今時ADSLって…しかも家のPCのスペックも相まって激遅…

私は携帯電話はSoftBankのiPhone1台のみで、外出時はこれでメールもTwitterもFacbookも全部チェックしているので実家に帰った時点でもう音信不通です。

こんな環境なので当然両親は超・情報弱者。辛うじて仕事上の書類作成、入力などの作業は父がPCで行っていますが、情報取得はテレビ、新聞(と挟まっているチラシ)、雑誌、ラジオの所謂「4大マスメディア」のみ。スマートフォンはおろかガラケーすら使えず、自らインターネット上で情報発信をしたことなど一度もありません。もうどこから手を付けてよいのやら。

そこで、まずPC操作ができる父に照準を合わせ「ソーシャルメディア」を使わせてみる実験を行うことにしました。しかし上記のような状況なので、父はソーシャルメディアという言葉も知らずブログやSNSといったサービスについても「?」な状態です。ここからいきなりFacebookやTwitterをやらせるのは酷というもの。そこでまず父のプロフィールを洗い出し、「特化型SNS」をやらせてみようと思いました。以下は父のスペックです。

年齢:61歳
学歴:中学校卒
職業:農業、自動車整備士
趣味:
バンド(ドラム担当)
音楽鑑賞(主にハードロック、ヘヴィメタル)
ミリタリー(国内外、時代問わず)
ペーパークラフト

実は父は肺癌で余命2年を宣告されている末期癌患者なのですが、どういうわけか入院中にペーパークラフトにどハマりしてしまったらしく、さらに元からあったミリタリー趣味が相まって1日1個ペースで戦闘機のペーパークラフトを作りまくっているとのこと。挙げ句の果てには「リアルな戦闘機を見て作品作りの参考にしたい」という理由だけで車をぶっ飛ばして青森県三沢市の米空軍基地に行ってしまうほど。ちなみに私の実家は秋田県の中でも山形に近い超県南なので、そこから青森県三沢市へ行くとなるとほぼ「秋田縦断」です。

そこで思い付いた!フィギュアSNSの「fg」だ!

http://www.fg-site.net/

「fg」は株式会社エンタースフィアが運営するフィギュアやプラモデルなどの立体作品の写真を投稿・共有するSNS。一応主な対象はフィギュアやプラモデルですが、他にもドールやあみぐるみ、ジオラマ、ドールハウス、さらには「雪像」まで様々な立体作品の写真が投稿されています。当然ペーパークラフトもあり。そこでここに父のアカウントを作成し、これまで作ったペーパークラフトの写真を片っ端から投稿させるようにしました。

1.アカウント登録

もうここから大変。fgへの登録には まずメールアドレスが必要なのですが、父は自分のメールアドレスを覚えていませんでした。一応実家にはADSLでネットが来ているので当然メールアドレスもあるっちゃあるのですが、普段全く使用していないので覚えているはずもなく、まずプロバイダーの「アカウントのお知らせ」の紙を探すところからスタートです。

で、どうにかこうにか見つけ出して仮登録→本登録へ進んだのですが、ここでまたストップ。父曰く

「プロフィールさ何書けばいいべ?」

と。fgのプロフィールは、プロフィール画像貼付け、ニックネーム、HPアドレス、性別、血液型、住所、誕生日、職業、自己紹介(自由記入型)と結構詳細に設定できるようになっています。しかし父にHPアドレスなどあるはずもなく、その他の項目も「そんたごどネットさ書いでいいもんだべが?」と尻込みしています。当然本名での登録なんてもってのほか。普段ネットに接していない田舎の中高年でさえ「本名・個人情報の公開はNG」と思っている日本人の気質は一体どうやって形成されるのだろうか?…とふと考えてしまいました。

そしてやっと設定したプロフィールがこれ

とてもシンプル

2.画像投稿
そしていよいよ作品写真の投稿ですが…

ミリヲタの血が騒いだのか、早速他のユーザーのミリタリー系作品の閲覧を覚えたようです。「この『ミリタリー』ってやづ(タグのこと)クリックすれば一度に見られるなだが?」とうっすらタグの機能も理解したようで、「ほお〜これ良いな!」「すげえなこのジオラマ!」「これシブい汚し塗装だなや!」「やだらカッコ良いでゃ!」ともの凄い勢いで作品を閲覧しています。

で、肝心の作品写真の投稿ですが、そもそも父は作品を作った後に写真を撮るということを全くしておらず、作ったそばから人にあげたり病院のギャラリーに展示したり、地元のショッピングモールに飾ったりと手放していました。そこで家に残っていた作品をとりあえず私が適当にInstagramで撮影し、その画像を投稿することにしたのですが…

父は文章が書けない。他のUGC系SNSと同様、fgにも自由に作品の説明文が書ける機能があるのですが(1000字以内で)、ここで完全に父の手が止まりました。

私:「作品について何でも好ぎなごど書いでいいんだど。製作でこだわった点どがアピールポイントどがよ。」
父:「何たごと書いだらいいべ。さっぱり思い付がね。」

最初はプロフィール設定の時と同様にネットに何かを書くことを遠慮しているのだろうかと思ったのですが、どうやら本気で何を書けばいいのか分からない様子。そこでふと気付きました。これまでの人生の中で自分の意見や主張を書き記し公に発表する機会を与えられなかった人間に、「自由に何でも書いていい」と言ったところでスラスラ書けるわけがないと。いきなり見知らぬ土地に無一文で放り出して「好きな所に行ってもいい」と言うようなものです。

そこで誘導

私:「このF-18作ったどぎ一番大変だったなどごだ?」
父:「ミサイルだな」
私:「ミサイルは設計図さ無がったよな?」
父:「んだ。ホットドックの棒どごカッターで削って作ったなだ」
私:「そういうごど書げ」
父:「あーなるほどな!」

こんな感じでとりあえず最初に4作品を投稿してみました。

3.投稿後

父がPCの前から離れなくなった

どういうわけか一番最初に投稿したメルセデスベンツのクラシックカーのペーパークラフトが人気で、投稿後1日で閲覧数が100件を突破し評価数も上々。またマイリストに入れてくれたユーザーもいました。これには父も心底驚いたようで

父:「これは日本中の人が見でけだってごどだべが?」
私:「fgには海外ユーザーもいるがら、もしかしたら外国人も見だがもしんねえな」
父:「そんたごど昨日まで想像もしねがったでゃ 。このマイリストってなんだべ?」
私:「これが『自分の気に入った作品』だってごどだな」 
父:「どごのどんた人がおらの作品どご評価してけだなだべ?信じらんねえ。」

と、完全にfgにどハマってしまいました。そして閲覧数や評価、マイリスト数が気になりだしたのか各作品のページをリロードし続けるという作業に没頭。

しまいには「リロードするたんびに何十人って単位で閲覧数増えでってら。ってごどはこの瞬間にそれだげたくさんの人がこごどご見でらってごどだな?やっぱりみんな仕事終わった夜に見でるんだな。んだば夜に投稿すればそれだけいっぺえ見でもらえるな。」「どうも戦闘機が人気あるな。戦闘機の閲覧数の増え方が一番早え。」と分析まで始める始末。

そして…

いきなり新作製作開始。

作品があるからfgに投稿しよう

fgに投稿したいから新作を作る

に完全に目的がすり替わっています。こうしたUGC系のSNSは、その存在自体がユーザーの創作意欲の向上及びモチベーションの維持に役立っているんですね。

さらに父「これロシア空軍のsu27って戦闘機なんだけどよ、裏側の資料が無え。裏側分がらねばミサイルどんたふうに付いてるが分がらね。写真や設計図どご上手い具合に調べる方法ねえべが?」と。そこでGoogleの画像検索を教えると…

なんと海外のミリタリー系サイトにアクセスして展開イラストを探してきました。父は英語はおろか一切の外国語ができないというのに。

さらにその後父は

・ 最初から最後まで自力でfgに投稿
・デジカメで自力で作品写真を撮影
・Web上で画像編集用のフリーソフト をダウンロード
・その画像編集ソフトで作品写真のサイズ変更や補正を行う
・屋外撮影

などなど猛烈な勢いで”進化”していき、私が実家に滞在した1週間のうちに計11点もの作品を投稿。その後も継続的にfgにログインしているらしく現在21点の作品を投稿しています。最初こそ作品の説明に何を書いていいかすら思い付かない状態でしたが、現在では稚拙ながらもちゃんと1つ1つに説明文を書くようになりました。それまでSNSのSの字も知らなかった田舎のオッサンがこんな短期間にここまで”進化”するなんて我が親ながらヤバイです。

もしかしたらこうした農村部の中高年にこそソーシャルメディアは必要なのかもしれません。中高年に限らず農村に住む人は「こんなちっぽけな自分に一体何ができるんだろう?」という、ある種の無力感と閉塞感を抱えて生きているようなところがあります。しかしそれもほんのちょっとした「きっかけ」さえあればあっと言う間に変わるのではないでしょうか?fgを使うことにより一気に進化した父のように。ソーシャルメディアは「個人」こそが最強のコンテンツで、且つどこにいてどんな仕事をしていようと世界中の人々と瞬時に繋がることができます。ソーシャルメディアを活用すれば、農村の無力感や閉塞感を吹っ飛ばし新たな才能を掘り起こすこともできるのではないでしょうか?

但しインターネットに不慣れな中高年にいきなりソーシャルメディア云々を説いても「?」でしょう。そこでその人の普段の生活や職業、趣味など身の回りのことに関連した「特化型SNS」をまずオススメするといいかもしれません。例えば主婦にはお料理レシピSNS「クックパッド」を勧めてみるとか。田舎のおばあさんがもっとクックパッドを利用するようになれば、その地域ならではの郷土料理や伝統料理のレシピが増えてクックパッド自体も面白くなるでしょう。

なお、文中で紹介した父のfgのアカウントはこちら

http://www.fg-site.net/members/125345

今は秋で農作業が忙しいので新作投稿は止まっていますが、それを過ぎればまた復活すると思います。宜しければご覧下さい。そして評価、コメント、マイリストなどもお願い致します!(^-^)/

09. 10月 2011 · コメントは受け付けていません。 · Categories: コラム, 特集 · Tags:

突然ですが、私は昔から廃墟や廃屋、廃村の写真が好きで好きでたまりません。所謂「廃墟萌え」というやつです。人工物が朽ちていく独特の退廃美がたまらなく好きで、市販の廃墟写真集や廃墟特集の雑誌のみならず、最近ではコミケなどの同人誌即売会に行くと必ず廃墟系のスペースをチェックしてしまうほど。

これまでコミケなどで買った廃墟系の写真集の数々。

しかしこうして様々な廃墟系写真集を見ていくうち、いつの間にかある思いを抱くようになりました。それは、

「私の実家も寂れっぷりでは負けていない」

私の実家は秋田県で果樹園(主にりんご)をしているのですが、その環境がはっきり言ってヤバイです。

どうしてこんな場所に住んでいるのだろうかと。まあそれはご先祖様が落武者だったからなのですが。しかしこうして改めてGoogle Earthで見ると、まさに落武者のためにあるかのような引き蘢りベストスポットですね。昔の人の土地を見抜く目はスゴイ!

私の実家のある集落はまだ「限界集落」(人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり社会的共同生活の維持が困難になった集落のこと)というレベルではありませんが、それでも最近は若い跡継ぎが不足し高齢者だけでは山奥の畑の手入れが行き届かなくなり、さらに昨年の冬は豪雪でりんごの木が痛んでしまい畑自体がどんどん荒れてきているとのこと。

そこで、ちょうど今年の夏に農作業の手伝いで帰省する機会があったので、実家周辺の景色を題材に「廃墟写真」っぽい写真を撮影してみることにしました。といっても、私はちゃんとした撮影機材一式どころか一眼デジカメすら持っておらず、取材時でさえコンパクトデジカメとiPhone4のカメラで済ませてしまう有様。というわけで、お手軽且つ無料でそこそこなクオリティの画像が作れる人気iPhoneアプリ「Instagram」を使って撮影することにしました。

「Instagram」については既にあちこちで書かれているので今更説明の必要もないかもしれませんが、このアプリの便利なところは、あらかじめ撮影した写真にも様々なフィルタをかけてどれが一番良いか検討できるということ。フィルタの種類が違うだけで同じ写真でも全然印象が違ってくるから不思議です。

というわけで早速やってみましょう!まずはこちら、山の畑に行く時に通るあぜ道です。

これにInstagramのフィルターをかけると…

あれ?…なんか…ホラーテイストになった?… なんかこう、向こうから”何か”がやって来るような雰囲気が…

まあ気にせず次にいってみましょう!

こちらは先ほどのあぜ道の写真あった樫の巨木の根元にある石神。子供の頃から親や年寄りに「これは神様だがら前通るどぎは拝め」と言われていましたが、未だにどんな謂れがあるのか全く知りません。もしかしたら親や年寄りも知らないのかもしれません。

これにInstagramのフィルターをかけると…

これはヤバイ。なんかホラー系のサウンドノベルの画像素材に使えそうです。

気を取り直して次!

これは全国どこでもそうだと思うのですが、山の頂上には必ず神社が祀られているもの。なので山道の途中にこんな鳥居が設置されています。横にある杉の木との対比がなんか良いなと。

これにInstagramのフィルターをかけると…

この鳥居をくぐると”見知らぬ世界”へ行けそうな気がする。そして二度と戻って来れなさそうな気もする。

次!

扉ぐらい直せと。これは山道の途中にある祠(これも詳細不明)なのですが、もう壊れっぱなしです。

これにInstagramのフィルターをかけると…

ヤバイ。もうヤバイという言葉しか出てこない。

ちなみに祠の中はこんな感じになってます。

これにInstagramのフィルターをかけると…

やらなきゃよかった

 

…と、予想外に横溝正史の田舎モチーフの作品テイストになった山道を抜けて、やっと畑エリアに到着!

これにInstagramのフィルターをかけると…

やっとホラーっぽくない写真が撮れた…。やはりカラーだと不気味な感じは無くなりますね。しかし、なぜかそこはかとなく”昭和臭”が漂っています。とても21世紀の風景とは思えません。

道の真ん中に早生りんごが落ちていました。

これにInstagramのフィルターをかけると…

お!これは我ながら渋い写真になったような。この一点透視図法な構図が良いんじゃないかと思うのですがどうでしょう?りんごが虫に食われているのも良いアクセントになっているような気がします。

しかし実際に畑エリアを見て衝撃的だったのは、自分が実家にいた頃とまるっきり風景が変わってしまっているということでした。以前はそこらじゅうにりんごの木が生い茂っていたのに、どこの家もどんどん畑を棄てているので山が丸坊主になっています。

これはりんごの木を伐採したあと。伐採後切り株を掘り返さずにそのままにしておくと、根っこは生きているので次世代の芽が出てきます。

また丸坊主どころか、畑の跡地が猛烈な勢いで森に還っている光景も随所で見られました。

ここは去年まで普通にりんご畑だった所なのですが、もはやそんな面影は全くありません。もう眼前に草木が”迫って”くる。実際にこういう光景を目にすると、森とは「浸食」するものだということが実感できます。ふと「宮崎駿さんの『風の谷のナウシカ』の腐海は自然の描き方として正しかったんだなあ」なんて思ってしまいました。

そしてさらに山奥の畑に行くと…

おらこんな村いやだ

これは、昨年末〜今年の初めの雪害でりんごの木が修復不可能なくらいに折れてしまったもの。もう再生できなくなってしまった木は、通常だと切り倒して薪にしたり木工品の材料にしたりとリサイクルするのですが、高齢者だけだとそうした力仕事もままならず、こうして放置されたままになってしまいます。もはやこの風景には寂寞感しかありません。

そしてふと、りんごの木が全て伐採されているのに農作業小屋だけポツーンと残されている場所に目が止まりました。

しかしこの農作業小屋も打ち捨てられているようです。

脇にあった農作業用水の井戸もかなりヤバイ空気を出しています。絶対貞子が這いずり出してくる。

もうちょっと高いところから見下ろすと本当に丸坊主になっているのが分かります。

それで後から母に聞いたのですが、なんでも昨年1年間だけでここの谷で計5人もの人々が首を吊って自殺しており、先程の農作業小屋はその自殺現場の一つだったとのこと。

そういうことは早く言ってくれ

ちなみに秋田県は自殺率日本一と言われている自殺大国で、特に6月に自殺する人が多いのだそうです。自殺ダメ!絶対!

なお、これらのInstagram写真を母に見せたところ「何だが八つ墓村みでぇだ。まあ家も八つ墓村どたいして変わらねぇがw 」と言っていました。やはり母の目にも横溝正史テイストに映ったようです。

 

廃墟ディスカバリー
廃墟ディスカバリー

八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」
ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」