もしある日突然「あと60秒で核ミサイルが着弾します!」と緊急放送が入ったらどんな行動を取りますか?ポーランドのインディゲームディベロッパーのRobot Gentlemanが東京ゲームショウ2019に出展したPC/スマートフォン向けシミュレーションゲーム「60 Seconds! Reatomized」は、まさにそんな極限状態の人間の行動を疑似体験するシニカルながらもシリアスゲーム的な側面を持つタイトルでした。
本作は、核ミサイルが着弾するまでの60秒以内に核シェルターに家族を避難させ、かつサバイバルに必要な物資を取捨選択して生き残りを目指すサバイバルゲームです。登場する家族は父親のテッド、母親のドローレス、娘のメリージェーン、息子のティミーの4人。ゲームを開始すると、まず家中を駆け回って家族と必要な物資を核シェルターに放り込むパートが始まります。家の中には食料となるスープ缶や水、ラジオ、地図、ライフル、ガスマスク、トランプなど様々なものがありますが、一度に運べるのは4つまでで、60秒以内に欲しいもの全てを核シェルターに放り込むのは絶対に無理。おまけに家族は自分でシェルターに移動しようとしないので、アイテムと同様に持って核シェルターまで運ぶしかありません。
ここで、敢えて家族を見捨てて自分だけが生き延びられるだけのアイテムの取得を優先するのも作戦の一つです。しかしやはり家族みんながとりあえず助かり、協力してその後の生活をサバイバルするのが本作の醍醐味だろうし、もしかしたらサバイバルで人手が必要な場面もあるかもしれません。物資の消費が早まるけれど家族愛を取るか?それとも心を鬼にして自分自身の生存を最優先するか?いきなり冒頭から究極の選択を迫られます。
なんとか60秒以内に家族全員といくつかの物資を核シェルターに放り込んだら、いよいよ先の見えないサバイバルパートに突入です。核シェルターは家の地下にあり、なんとか爆風をしのぐことはできたものの、当然外は焼け野原。一番無難はサバイバル生活は、少ない物資をやりくりして軍隊の救助を待つことですが、ここでは1日ごとに様々なイベントがランダムで発生し、その都度それらにどう対応するかを決断しなければなりません。
そのうえ、アクティブな活動をせずただ核シェルターにいるだけでも毎日食料と水を摂取しないと家族は死んでしまいます。全員が毎日規則正しく食料と水を摂取すれば当然それらはすぐに底をついてしまいます。誰に何を与えるか、ここでもシビアな選択を迫られます。
なお、物資は外に探しに行ったり他の生存者と取引したりすることで後から増やすことも可能ですが、外で狂暴な生存者に襲われたり、詐欺のようなうさんくさい取引を持ちかけられたりすることもあり、一瞬も気が抜けません。子供を外に探索に行かせたら速攻で殺されるかもしれないし、大人が外に探索に行ったらその隙に他の生存者に核シェルターを乗っ取られるかもしれない…。どんなイベントがいつ発生するのかはランダムで、運の要素も大きいため家族全員が生き延びるのは至難の業です。
お母さんのドローレスが死んでしまったのでお父さんのテッドを探索に出したら、その隙にヒャッハー!な世紀末感溢れる他の生存者に核シェルターを乗っ取られた図。当然子供たちは…
死に絶えました。
このように毎日がシビアな選択だらけで、サバイバル生活がいかにストレスに溢れるものかが嫌というほどよく分かるゲームです。本作は既にリリースされており、PC版(Steam版)は980円、iOS版は480円、Android版は450円で配信されています。ご覧のとおり日本語テキストにも対応しているので、興味のある方は是非プレイしてみて下さい。