東京ゲームショウ2019のVR/ARコーナーにて、ジェムドロップ株式会社とSpicy Tailsが共同開発したVRアニメーション「狼と香辛料VR (英名: Spice and Wolf VR )」のPlayStation 4版が試遊出展されています。
本作の原作である「狼と香辛料」は、2006年にリリースされた累計発行部数420万部を突破する人気ライトノベル作品です。行商人のロレンスと獣耳の狼少女ホロが様々な町を旅する物語が描かれ、貨幣経済が成立した中世以降のヨーロッパをモチーフとしたような作品世界と、その中で行われる経済活動が物語に深く関わってきます。その作り込まれた世界観から、あの世界に行ってみたい!と思ったファンも多いでしょう。そうした点でも「狼と香辛料」はVRと非常に相性の良い作品と言えます。開発にあたっては、2018年11月に日本国内と海外の双方を対象に開発資金調達のためのクラウドファンディングが実施されましたが、もともと人気の高かった作品のVR化プロジェクトとあって、スタートからわずか2時間で800万円の調達に成功。今年に入り、晴れてOculus Rift、Oculus Go、HTC Vive、PlayStation 4(PlayStation VR)、Nintendo Switchと各種プラットフォーム向けに展開されました。
東京ゲームショウに出展されている試遊版では、道中雨に降られてしまったロレンスとホロが、森の中で打ち捨てられていた水車小屋で雨宿りをする一番最初のシナリオを体験できます。
本作は「二次元の中に入る!」という夢を追いかけて開発されたとのことで、グラフィック自体はフル3DCGでモデリングされてはいるのですが、キャラクターは所謂”アニメ塗り”のトゥーンレンダリングで描写されており、二次元が三次元になった際の違和感はあまり感じませんでした。
それよりも気になったのは、一番最初のシナリオにVRならではの「臨場感」や「視点移動」の面白さを一通り味わえる動きが全て詰め込まれていたことです。シナリオの冒頭、まず目の前に広がるのはボロボロに朽ちかけている水車小屋で、そこを見回していると画面左側にある入口の方から2人の声が近づいてきます。それからロレンスが自分の方に歩いてきたと思ったら、なんと自分が座っている場所にロレンスが重なり一体化しました。ここで体験者は、自分の視点がロレンスのものであることが分かります。
その後もホロは水車小屋の中をせわしなく歩き回りながら絶えずこちらに話しかけてきます。高低差のある段差の上に登ったり、箱を椅子代わりにして座ったり、部屋の隅の方に行ったかと思えば目と鼻の先まで近づいてきたり、隣に座ったり。彼女の動きを追うだけで、VR空間での視点移動を一通り体験できるようになっており、VR作品の導入部として非常に良くできていました。特に印象的なのは、ホロの動きと連動して彼女のモフモフの尻尾も滑らかに動くところ。自分の鼻先をかすめるくらい近くで尻尾が跳ねるシーンもあり、つい反射的に避けようと頭を動かしてしまいました。
なお、10月5日(土)にはOculus GO & Oculus Quest向けVRライブプラットフォーム「VARK」にてトークイベント「狼と香辛料VR in VARK」の開催が予定されています。このイベントは、「VARK」にホロが登場し、様々なコーナーを通じて観客と交流するというもの。観客がその場で選んだ選択肢によってトークの方向性が変わるコーナーも用意されているそうです。作品のキャラクターとファンが仮想空間とアバターを介して直接交流できるというのもVRならではの楽しみ方ですね。イベントはニコニコ生放送にも同時配信されるため、Oculus GOとOculus Questを持っていない人も観覧可能です。作品のファンの方は是非こちらもチェックしてみて下さい。
■イベント詳細
イベント名:「狼と香辛料VR in VARK」
開催日時:10月5日(土)19:15開場、19:30 開演
開催場所:VARK
協力(50音順):KADOKAWA、Spicy Tails
視聴方法:Oculus Go、ニコニコ生放送
特設サイト:https://vark.co.jp/event/ookami201910/
※本イベントは音楽イベントではございません。
※本イベントはOculus Questではご参加いただけませんのでご注意ください。
■チケット詳細
【VRチケット詳細】
・価格:1,980円(198 VARKコイン)
・発売日時:9月20日(金)12:00
【ニコ生チケット詳細】
・価格:1,000円
・発売日時:9月20日(金)12:00