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【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

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2月23日(土)に仙台駅前の複合ビルAER(アエル)にて開催された東北圏内の学生を対象としたアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」、午前中は身近に存在する様々な課題を解決するアプリに特化したピッチが、午後の部の前半は東北圏内の学生が開発したオリジナルゲームを対象とした「ゲーム部門」のピッチが、そしてラストは半年間グローバルラボ仙台主催の「スマホゲーム開発塾」で学んだ学生チーム対抗の「GLS for Education部門」のピッチが行われました。

【DA・TE・APPS!2019レポート】身近な課題を解決するアプリとは?東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その1~

【DA・TE・APPS!2019レポート】ゲームジャンルもプラットフォームも多種多様 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その2~

「スマホゲーム開発塾」とは、グローバルラボ仙台と協力企業の指導により毎年実施されている、仙台で学ぶ学生を対象とした完全無料のゲームアプリ開発講座。参加学生の年齢や学年、学校の種別、開発歴、スキルは問わず、どんなゲームを開発するかを考えるアイデアソンから、開発したゲームをマーケットプレイスに申請するまでの全ての行程を半年間かけて学びます。その過程で、当初のコンセプトからガラリと大きく変わったゲームもあれば、様々な理由によりメンバー構成そのものが変わったチームもあり、紆余曲折を経て計4本のゲームアプリがiOS/Android向けにリリースされました。この部門の勝敗は審査ではなく「ゲームアプリがいくら稼いだか?」という売上金額のみで決まります。つまりただ開発して完了なのではなく、リリース後もダウンロード数を上げるためのPR・広報活動を行ったか?プレイヤーにプレイし続けてもらうためにアップデートを行ったか?といった「運営力」まで問われるというわけです。
なお、今回の「DA・TE・APPS!2019」の「GLS for Education部門」には、初の試みとしてフィンランド・オウル市よりフィンランドのオウル工科大学のゲーム開発者教育プログラム「Oulu Game Lab」のチームも参戦。国を超えた対決が繰り広げられました。

■悪夢の世界を旅するパズルゲーム「Nightmare Cube」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Nightmare Cube」は、悪夢の世界に迷い込んだ少女を救うためにキューブを転がしてつなげ、空中にある扉(ゴール)を目指すパズルゲームです。操作方法は、少女が乗っているキューブを画面フリックで前後左右に転がして移動させつつキューブ同士をくっつけ、その高さを扉の位置に合わせて少女を脱出させるというもの(プレイレビューはこちら)。
当初はシンプルですっきりしたデザインのパズルゲームでしたが、ある時ゴシック&ダークな世界観ながらもどこかメルヘンな雰囲気が漂う凝ったグラフィックのゲームへと変貌しました。こうした作風やアートワークの変化も半年かけてゲームアプリを開発する「スマホゲーム開発塾」の面白い点の一つです。
このアートワークは審査員からも好評でしたが、一方で「キューブを転がす際の操作が少し難しい」といった意見もありました。

■ボールを反射させて敵を攻撃する回転アクションゲーム「CuruCuruCrash」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「CruCruCrash」は、ボールをサークル状のフィールドに射出し、壁面に反射させながらフィールドの中央にある「円」にたくさん付いている色の付いた球に当てることでパワーを貯め込み、「円」の内側にいる敵に当てることで破壊を目指すアクションゲームです(プレイレビューはこちら)。これ以上ないくらい徹底的に無駄を排したシンプルかつスタイリッシュな作風のゲームですが、チュートリアルや説明すら一切省いたスッキリさ故、審査員からは「操作方法やルールが分かりづらい」といった声も上がりました。

■「盗み」でアイテムを収集する泥棒RPG「Brave Thief」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Brave Thief」は、主人公が盗賊団に属する泥棒で、冒険に必要なアイテムを全てスリや空き巣、万引きといった「盗み」で手に入れる一風変わったRPGです(プレイレビューはこちら)。懐かしいファミコン時代を彷彿とさせる8bit風グラフィックとUIデザイン、手に入れたアイテムを別の場所で使って新たなイベントを発生させる謎解きゲームにも通じるシステムが印象的な作品ですが、審査員からは「主人公が犯罪者ってどうなの?」「敢えて主人公が盗みをやる動機付け的なものが欲しい」といった意見が出ました。

■迫りくる月曜日を倒すインフレタップゲーム「Monday ~LastWeek~」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Monday ~LastWeek~」は、毎週やってくる”魔の月曜日”を倒すことを目指すクッキークリッカー的なインフレタップゲームです。画面タップで次々と訪れる日にちを倒し続け、得られるゲーム内ポイントで攻撃力や助っ人キャラの能力を天文学的数字にまで高め続け、最後に待ち受けるラスボスの「月曜日」に挑むという内容で(プレイレビューはこちら)、学生作品とは思えないほどのアートワークと、さらにそれをLive2Dで動かしている開発力が目を引くタイトルです。この点は審査員も高く評価していましたが、一方で「インフレゲームでは月曜日を倒した後のご褒美感や解放感を感じられない」といった厳しい意見も飛び出しました。

ここまでがグローバルラボ仙台主催の「スマホゲーム開発塾」にて開発された作品のピッチですが、午前の部の課題解決アプリと同様、こちらも良い意味で学生作品らしさを感じない作品ばかりでした。まずなによりアートワークのレベルが高い!しかも、どれも良い感じに作風もゲームジャンルもバラバラになってネタかぶりが一つもないうえに、それぞれゲームとしてしっかりプレイでき、明らかに前年、前々年よりレベルアップしています。だからこそ、それに合わせて審査員からもよりレベルの高い厳しめの講評が出たのでしょう。

この後、今度は現地フィンランド・オウル市よりビデオチャットにて「Oulu Game Lab」チームの作品紹介が始まりました。
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
日本とフィンランドの時差は7時間なので、この時の現地の時間は9:00前と結構早め。皆さん休日の朝早くからお疲れ様でした!

■変なモンスターに遭遇するダンジョン探索RPG「Fungeon Crawl」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Fungeon Crawl」は、ダンジョンの中を探索しつつ、突然現れる変な敵モンスターと戦いながらアイテムを収集し、次のダンジョンに進むためのカギを探してどんどん深層のダンジョンへ進んでいくRPGです。ジャンル的にはダンジョンRPGの傑作「ウィザードリィ」や「バーズテイル」「マイト・アンド・マジック」などと同様の3DダンジョンRPGですが、パーティ編成やプレイヤーキャラの育成、マップ表示はなく、ひたすら一人称視点でダンジョンの中を彷徨い、敵と戦い、アイテムを収集していくというシンプルな内容になっています(プレイレビューはこちら)。しかしその分バトルがゲームの主軸となっており、敵と戦う際に衝撃を表現するため画面を揺らすなど、コミカルな見た目に反して細かなこだわりが詰め込まれています。
ただ審査員からは、「なぜダンジョンを探索しているのか、このモンスターは何なのか等のストーリーが欲しい」といった声が上がりました。

■エンドレススケボーアクションゲーム「Shred 'n' Slam」
【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Shred 'n' Slam」は、スケボーでストリートをどこまでも滑っていくエンドレスラン形式の横スクロールアクションゲームです。ステージ上にはコインやスタミナアイテム、スケボーのアップグレードに必要な強化アイテムが配置されており、プレイヤーキャラの体力ゲージが0になる前にスタミナアイテムをGETしつつ、先へ先へと進みます(プレイレビューはこちら)。本作の特徴は、スケボーがモチーフではあるものの「トリック」(技)を決めることは特に重要な要素ではなく、むしろいかにロスタイムを発生させずにスムーズに先へ進めるかが問われるゲームとなっています。
完成度の高い作品ではありましたが、その分初見では操作方法をのコツをつかむのが難しく、審査員からも「操作が若干難しく、チュートリアルから抜け出すのも大変」との声が上がりました。

以上で全ての出場作品のピッチが終了。その後遂に全ゲームアプリの売り上げが発表されましたが、最も稼いだのは…

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
悪夢の世界を旅するパズルゲーム「Nightmare Cube」でした。売上総額3万3705円!

昨年までは、「スマホゲーム開発塾」発のゲームアプリは全て有料で配信して「ダウンロード件数」で勝負するという形式でしたが、今回からは有料配信してダウンロード料を稼ぐか、それともF2Pモデルにして広告費を稼ぐかを各チームが選択できるようにして「売上金額」を競う形式に変更。その結果、「ビジネスモデル」そのものをチームが考えられるようになりました。そして優勝したのが120円での有料配信を選択した「Nightmare Cube」だったということは、F2Pモデル全盛の現在でも、まだまだ有料ゲームアプリはいける!という現れなのかもしれません。をちなみに「Nightmare Cube」は全チームの中で最も早くリリースすることができた作品で(2018年12月下旬リリース)、その分PR・広報活動に時間を割くことができたのも勝因となりました。

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
優勝した「Nightmare Cube」の開発チームには、他の2部門の優勝チームと同様に賞状、トロフィー、賞金30万円のほか、今回のスポンサーであるTSUKUMO(ツクモ)とASUSからも賞品が授与されました。

加えて、急遽「売上は無かったけれどゲーム自体は良くできていた」ということで審査員より「特別賞」が設けられ、「Oulu Game Lab」チーム作の「Fungeon Crawl」に授与されました。これは現地チームには相当意外だったようで、ビデオチャットですぐに状況を把握できなかったこともあり、一同「?!?!」という反応でした。

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
「Fungeon Crawl」への特別賞授与は審査員の満場一致で決定。受賞の理由は、ゲーム史に残る傑作「ウィザードリィ」と同ジャンルに果敢に挑戦し、またそのスピリットを受け継いだ作品だったこと。まだ未完成で発展途上ながら、今後の進化に期待できる作品であることも評価ポイントとなりました。

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~
現地にいる開発チームに代わり、授賞式にはオウル市の産業支援公社Business Ouluの日本担当インターナショナルコーディネーターの内田貴子さんが登壇。特別賞として賞金10万円が授与されました。

【DA・TE・APPS!2019レポート】最も稼いだゲームアプリはどれだ! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」レポート~その3~

グローバルラボ仙台および「ゲームアプリ開発塾」「DA・TE・APPS!」は、始動当初よりオウル市との連携のもと様々なコラボレーションを行っており、「DA・TE・APPS!」で仙台の学生とオウルの学生を競わせることはスタート時からの夢だったそうです。それが「DA・TE・APPS!」開催から5年目となる今回、それも日本・フィンランド国交樹立100周年の節目の年に遂に実現し、両国のチームがそれぞれ受賞するという良い形で終えることができました。なお、次は今回とは逆に仙台の学生がオウルに行くことを目標にするとのことなので、今後の仙台&オウルのコラボレーションからも目が離せません。
とにかく、「DA・TE・APPS!2019」に出場した全開発チームの皆さんお疲れ様でした!そして受賞チームの皆さんおめでとうございます!「GLS for Education部門」受賞作の「Nightmare Cube」と「Fungeon Crawl」はいずれも現在も配信中なのでぜひプレイしてみて下さい。

「Nightmare Cube」のダウンロードはこちら
iOS版(120円)
Android版(120円)

「Fungeon Crawl」のダウンロードはこちら
Androd版のみ(無料)

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