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【レポート】海辺で拾ったゴミをクリエイティブに有効活用 「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」レポート

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12月5日(水)、仙台市内のコワーキングスペース「M's House」にて、海洋ゴミを使ってイヤリングやネックレス、キーホルダーを作るワークショップイベント「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」が開催されたので参加してきました。

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【レポート】海辺で拾ったゴミをクリエイティブに有効活用 「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」レポート

このイベントは、今年8月から活動を始めた東北3県(岩手、宮城、福島)の大学生チームが主催したもの。本来彼らが研究しているのは、昨今話題になっている自然分解しない「海洋プラスチックごみ」で、実際に東北各地の海辺に赴き、現地に落ちているゴミの種類や量を調査しているそうですが、ただゴミ拾いをするだけでは人が集まらず、なかなか続かなかったとのこと。そこでゴミを「ものづくりのための資源」と捉え、拾ったプラスチックごみや貝殻を使ってアクセサリーを作り、イベントで販売したり制作ワークショップを開催することで多くの人に海辺への関心を持ってもらいながら、資金面でも継続できる活動へと進化させていったのだとか。
ただ捨てられ、厄介者扱いされているゴミを「資源」と考えるなんて実にクリエイティブな発想の転換ですが、確かに海洋ゴミの中でも、ガラス瓶が波と砂に揉まれてカケラとなった「シーグラス」や、同じく波と砂で表皮が剥がれた「流木」なんてハンドメイド素材として人気だし、つい最近も拾ったシーグラスをフリマアプリ「メルカリ」で販売して現金収入を得た子供の体験談が話題になりました。こうした発想の転換は、ただ「ゴミ削減」や「エコ」を真面目に考えるよりもはるかに効果的と言えるのではないでしょうか。

【レポート】海辺で拾ったゴミをクリエイティブに有効活用 「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」レポート

【レポート】海辺で拾ったゴミをクリエイティブに有効活用 「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」レポート

【レポート】海辺で拾ったゴミをクリエイティブに有効活用 「海辺の資源をつかったアクセサリー制作会」レポート
今回使用した海洋ゴミは、仙台の荒浜で拾ったシーグラスやプラスチック片、ゴムホース、貝殻など。この字面だけ見ると本当にただのゴミですが、それが他のアクセサリー資材やデコパーツと一緒に並べられていると「こういう種類の素材」に見えてくるから不思議です。

アクセサリー制作の手法は、海洋ゴミと他のデコパーツを組み合わせてUVレジンに封入する、小さなガラスドームに入れてイヤリングやネックレスにする、ゴムホースを輪切りにしてビーズ状にし、ブレスレットやキーホルダーにする、シーグラスや貝殻で金継ぎするetc...などなどで、工夫次第でいろいろな作品が作れます。

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とりあえず私はUVレジンを使ってペンダントトップを作ることにしました。まずはシンプルな正方形の枠を選んで…

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ベースとしてうっすらとネイビーブルーとシルバーラメが入った2種類のUVレジンを流して…

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UVライトを照射して一旦硬化させます。ここまではパーツをトッピングする前のベース作りで、いよいよ次からは海洋ゴミを使った手順となります。

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どんなゴミをどうアレンジして使うかは完全に参加者個々の希望とセンスに委ねられましたが、私はプラスチック片とシーグラスがさらに細かくなったものを使用することにしました。仙台は海辺の街なので漁業関係の仕事をしている市民も多く、そのためどうしても漁業で使用する道具から生じるプラスチックごみが出てしまうとのこと。また東日本大震災で大量の瓦礫が出たため、それが沖で波に揉まれて細かく粉砕され、未だに浜に打ち上げられることもあるそうです。

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今回のイベントで新たに分かったのは、プラスチック片は「加工しやすい」ということ。自然の厳しい環境下を漂っていたことで良い感じに経年劣化しており、ラジオペンチで簡単に細かく砕くことができるのです。こうして小さなフレーク状にしてUVレジンに封入すると、もうそれがゴミだったなんて分からなくなってしまいます。あと表面も擦れてプラスチック特有のツルツルした質感から、シーグラスのようなマットなつや消しの質感に変化しており、なんとなく高級感すら感じます。

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加えてスペースの半分にシーグラスからもっと細かく割れてビーズくらい小さく、かつ丸く削れたガラス片もトッピングしました。それぞれ微妙に異なる楕円形になっていて、色も形もまちまちで非常に面白い素材になっています。

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こうした小さくなってしまった海洋ゴミはもはや手では拾えません。これは荒浜でざっくりすくった砂に水を混ぜてしばらく置いたものですが…

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時間が経つと、このように砂に混ざった細かい海洋ゴミが表面に浮いてきます。無作為にすくった砂なのに、その中にこんなにゴミが混ざってしまっているんですね。その中には小さなガラス片もたくさんあります。

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こちらがガラス片だけをより分けて乾かしたものですが、こうして改めて見ると、まるで最初からこんな形状の素材だったかのようです。もしこれが袋に入って一セット300円くらいで材料店に並んでいたら、きっと買う人もいるんじゃないでしょうか?

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こちらはさらにガラス片に着色したもの。もう普通に素材として使えます。

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UVライトを照射して完全に硬化させたペンダントトップ。プラスチックもガラスも光を透過するので、ライトに透かすととても綺麗です。気泡が入ったまま硬化してしまいましたが、これはこれで海っぽくて良いような気がしてきました。もう素材がゴミだなんて言わなければ誰も気付かないでしょう。

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こちらは他の参加者の方の作品。シーグラスをUVレジンで接着したペンダントトップなんて、お店やハンドメイドマーケットで販売されていても見劣りしません。

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これは主催の大学生チームが作例として用意した海洋ゴミを加工せず敢えてそのまま使った最近人気のインテリアアイテム「ハーバリウム」。流木をメインのモチーフにし、下にガラス片をあしらっています。

今回は海洋ゴミを素材にアクセサリーを作りましたが、参加して思ったことがあります。それは…

ゴミを集めてパッキングすれば「素材」として需要があるんじゃないか?

ということです。シーグラスや流木はもちろんのこと、プラスチック片を細かく砕いたり、シーグラスよりも小さくなった丸いガラス片をサイズや色でより分けてパッキングしてメルカリあたりに出品したら、ハンドメイドクリエイター向けに十分売れるような気がするのです。というか普通に”使える”し。アクセサリーを作って販売するのも勿論クリエイティブではありますが、それ以前の「素材」の段階で販売することも、海洋ゴミに対する興味を喚起する点に於いて有効ではないかと思いました。

なお、このイベントの後もワークショップの開催を予定しているとのことで、来春には実際に荒浜を歩いて海洋ゴミを拾い、それらを使って作品を作るイベントも計画しているそうです。また具体的なスケジュールとしては、2019年2月10日(日)にエルパーク仙台にて開催されるセミナー「海洋ごみのゆくえ」内でワークショップを開催するそうなので、興味のある仙台市在住・在勤の方はぜひ参加してみて下さい。開催概要は以下のとおり。

「海洋ごみのゆくえ~海を汚しているのはだぁれ?~」
日時:2019年2月10日(日)13:30~16:10
会場:仙台市エルパーク仙台セミナーホール1、2
主催:(公財)みやぎ・環境とくらし・ネットワーク
サイト:http://www.melon.or.jp/melon/

イベントの詳細はこちら(PDF)
http://www.melon.or.jp/melon/img/paper/190210sea.pdf

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