先日はイギリスの大御所ヘヴィメタルバンドのアイアン・メイデン（Iron Maiden）の公式スマートフォン向けRPGをご紹介しましたが（記事はこちら）、今回はアメリカの重鎮ハードロックバンド「KISS」の公式スマートフォン向けゲーム「KISS Rock City」をご紹介したいと思います。あのKISSのこと、いつか絶対にスマホゲームをリリースするだろうと予想していましたが、それが遂に現実になりました。まあ配信しているのはオーストリアの会社ですけどね。
本作は、バンド活動が上手くいっていない貧乏な若者となり、リズムゲームをプレイしながらストーリーを進めてロックスターとしての成功を目指すリズム＆シミュレーションゲームです。もちろんゲーム内にはKISSのメンバーがナビゲーターとして登場し、リズムゲームパートではKISSの公式音源をプレイできます。
まずは男女どちらかの主人公を選択します。どちらを選んでもシナリオや登場キャラのセリフは変わらないし、着せ替え用の服飾アイテムもシルエットがちょっと変わるくらいで基本的には同じデザインです。
冒頭、クールな衣装に身を包み、KISSのメンバーとともに大きなステージに立って観客を沸かせる主人公が描かれ、リズムゲームパートのチュートリアルが始まります。
しかし、実はそれは主人公が頭の中で思い描いたただの妄想で、現実はロクに客が入っていない場末の汚ったねえクラブでブーイングを浴びまくっていたのでした。あまりの惨めさに雰囲気が最悪になったバンドはゲームが始まって早々に解散してしまいます。
しょんぼり散らかったボロアパートに帰ってきた主人公でしたが、そこに突然KISSのフロントマンで創設者のジーン・シモンズ＆ポール・スタンレーが現れ、「お前には才能がある！俺には分かる！」「ロックな生き様を教えてやる！」「ロックに魂を売るか？」と語りかけてきました。何だこの中二病的展開。
で、いきなり「男と女どっちのグルーピーと遊びたい？」ときた。ロックな生き様＝とりあえずグルーピーとヤるかよ！ここで面白いのは、男女どちらの主人公を選択しても男女いずれのグルーピーを選択可能で、「男×男」「女×女」の組み合わせもOKになっているところ。こうしたジェンダーへの配慮があるところが欧州の会社が配信するタイトルだなという感じです。
とは言え、厳しいAppleの審査があるため酒池肉林を描くなんて到底不可能で、流石のKISSでもこの程度の表現が限界なのでした…。それにしてもなんでハート模様の下着なんでしょうか？
「俺らにはロックのパワーを広める誰かが必要なんだ」
「ということで俺らはお前を導くことにした」
こうしてシナリオを進めつつ間々に差し込まれるリズムゲームをプレイし、ロックスターを目指していきます。リズムゲームで良いスコアを決めるとその分ゲーム内通貨のご褒美がたくさんもらえるので、まずはそれを貯めて…
新しい服を買ってロックスター志望の若者としてはシンプル過ぎるコーディネイトをどうにかしましょう。
課金画面にしっかり出てくるジーン社長。ゲーム内通貨は、ゲームを進めることで入手できる”お札”と課金で購入する”ダイヤ”の二種類があり、さらにシナリオはスタミナ消費で進めていきます。
セール情報にもしっかり出てくるジーン社長。さすが抜かりない！
KISSの導きに従い、新たなメンバーをまた一から集めて新バンドを結成し、地元のクラブでライブを行ってローカルバンドとして足場を固める主人公。途中、クラブのセキュリティにナメられて出演者なのになかなか中に入れてもらえずケンカしたり、メンバーの一人がテンションが上がらないのをどうにかしたり、知名度と日銭を稼ぐためにラジオ局で仕事をしたり、「おめえの曲は退屈だしミュージシャンシップもクソだ」と別のバンドにケンカを吹っかけられたりと、中二病的なストーリーながらも「バンドリーダーの苦労」がしっかり描かれています。
なお、ゲーム中にちょいちょいTwitterを模した吹き出しが表示され、リアルタイムにバンドのファンの増減が分かるようになっているのがリアルです。打ち上げでドンチャン騒ぎをして全裸になったところを実況されてファンが減ったり、凄いライブ（リズムゲーム）をして絶賛のつぶやきが相次ぎファンが激増したり。海外ロックファンの英文つぶやきを知ることができてちょっとした英語の勉強にもなります。
地道な活動が実ってバンドはマネージメントオフィスに所属することに成功。これでコンスタントに稼げる仕事が舞い込んでくるようになりました。社長はしょっちゅうFワード（ゲーム中では伏字表現）を口にするガラッパチなおばさんですが根は良い人のようです。
マネージメントオフィスに所属した後も、スタジオ代をケチってアパートの部屋で練習して騒音苦情で警察が来たり、他メンバーの知り合いが「スキャンダルを流すぞ！」と脅してきたりとトラブルの連続で、そのたびに主人公が交渉して解決していきます。リーダーはつらいぜ！
それでもShow must go on。ライブ活動を続けないとファンも金も得られません。
そして遂に熱狂的な追っかけファン・グルーピーが現れました。まだ2人だけですが。
早速主人公はそのうち1人をお持ち帰りしてしまいました。早っ！せっかくできたグルーピーをすぐに食うなよ！「腹減ったんで種芋食っちゃいました」みたいなもんだろ！と思いますが、ここでどちらか片方を持ち帰らないとストーリーが進行しないので仕方がありません。しかも食ったグルーピーが翌日「バンドメンバーとヤりました！」とつぶやいたことでさらにファンが増えました。普通炎上すると思うんですが、海外ではそういうのは大らかなんですかね？
…とまあこのように、中二病的な展開の中に妙にリアルなバンド運営の苦労が織り交ぜられたストーリーのゲームです。ぶっちゃけリズムゲームパートは非常に簡単で、事実上「画面ポチポチゲー」といったレベルです。スタミナを消費して画面ポチポチでストーリーを進めてキャラクターを着せ替えるってちょっと前の日本のモバイルゲームの形式そのものですが、もしかして日本のモバイルゲームをリサーチしたのでしょうか？
とりあえずKISSのファンはもちろん、かつてバンドをやっていた人や現在進行形でバンドをやっている人も楽しめると思うのでプレイしてみて下さい。ダウンロードは無料です。
KISSオフィシャル 2018年 カレンダー 壁掛け A2 CL-333
キッス・ロックス・ヴェガス【初回限定盤DVD+2枚組CD(日本先行発売/日本語字幕付き/日本語解説書封入)】
