VRコンテンツに於いて「見まわす」「見つめる」という動作は最も重要なプレイスタイルです。東京ゲームショウ2017のインディゲームコーナーにプレイアブル出展されていたShip of EYLNのVRゲーム「メドゥーサと恋人」は、まさにその2つをフル活用したタイトルでした。
メドゥーサは相手の目を見て石に変える能力を持つギリシャ神話の怪物。本作は彼女とその恋人の男を操作して戦う2人プレイ可能な”VRロックオン・パートナー・アクションゲーム”で、1人はメデゥーサ役となりVRヘッドマウントディスプレイをかぶってプレイし、もう1人は恋人役となってコントローラーでプレイします。メドゥーサは敵に視点を合わせることで彼らを石に変え倒すことができますが、問題は恋人を見ても石に変えてしまうこと。片っ端から敵を倒そうとあたりを見回してうっかり恋人の顔を見てしまうと、彼はたちまち石化して動かなくなってしまいます。恋人はメドゥーサを見ないように武器を持って敵と戦い、メデゥーサは恋人を見ないように石化能力で戦うという、「見まわす」「見つめる」をフル活用しつつも敢えて制限を加えているルールが斬新でした。
こちらがメドゥーサの視点。中央にある円を一定時間敵に合わせると石化します。ついさっきまで飛び回っていた敵が石になってストンッと砂の上に落ちる物理挙動がなんだか面白く、最初のうちは空ばかり見上げていました。空を見上げていれば恋人が視界に入る心配もありません。ただしメドゥーサは石化能力を使い続けるとエネルギー切れを起こしてしまうので、しばらく経ったら瞼を閉じてエネルギーをチャージしなければなりません。その間は無防備になるので恋人に頑張ってもらうといった連携プレイが重要になってきます。
空を飛んでいる敵を倒していたら下の方からサンドワームみたいな巨大な敵が出現！ヤバい！と思って視点を合わせようとしたら視界に恋人が入ってきました。こっちもヤバい！
とりあえず大きな敵は恋人に任せ、また空を飛ぶ敵をメインに倒そうと思っていたらまた視界に恋人が！こんな時の「助けて欲しいけどこっちくんな」という不思議な感覚は、おそらく本作でしか味わえないでしょう。連携プレイと瞬発力が問われるゲームで、実際にやってみるとてんやわんやになります。
本作は2018年にPlayStation VR向けにリリース予定で現在も開発中とのこと。しかし既に国内のインディゲーム系およびVR系のイベントや、米ロサンゼルスにて開催された「Anime Expo 2017」に出展し高い評価を得ています。ちなみに今回の東京ゲームショウ2017でも「電撃PlauStation インディー部門」にノミネートされていました。