「フォボス・チルドレン(PHOBOS CHILDREN)」は、一見落ちものパズルゲームのような、または縦画面のシューティングゲームのような、またはBGMに合わせてノートをタップする音ゲーのような見た目でありながら、そのどれでもないというiOS向け”チェインアクション”RPGです。私が初めて本作を知ったのは東京ゲームショウ2015のインディーゲームコーナーでしたが(当時のレポート記事はこちら)、それ以後も様々なインディーゲーム系イベントに試遊出展され、国内外の様々なメディアに取り上げられているタイトルです。
ゲームのルールは至って簡単。画面上から降ってくるボールの中から同じ色のものを3つ連続でタップして消すだけ。BGMに合わせてタイミングを計る必要はなく、またどのボールをどの順番でタップするかもプレイヤーの自由で、とにかく同じ色のを3つ続けてタップしさえすれば「チェイン」が発動し、その色(属性)に対応したキャラクターが敵を攻撃します。ここら辺のシステムはパズドラのヒット以降爆発的に増えたパズルRPGと同様ですね。
緑色のボールを3つ消したところ。緑の属性の自パーティのメカが敵のメカに攻撃を加えました。こうして降ってくるボールを漏らさず3つずつ消していくことで敵パーティのHPが徐々に削られていき、早くHPを0にすると勝ちとなります。ただしボールを打ち漏らして画面下まで落としてしまうと自パーティがダメージを喰らいHPが削られてしまいます。
こちらがマイページ。初期の状態ではストーリーを読んでいくモードしかプレイできませんが、ステージ(エピソード)をクリアするごとに少しずつ機能が開放されていきます。
一番最初のパーティは主人公の「レイナ」ともう一体のメカだけ。各ステージをハイスコアでクリアするとキャラクターがドロップされることがあるので、まずはなるべくパーフェクト状態でクリアしてキャラクターをGetすることを目指します。
「フォボス・チルドレン」のストーリーは以下のとおり。
西暦2326年。 異星人惑星「サイア」を周回する宇宙ステーション「フォボス」が突如襲撃される。多くの家族が生き別れ、逃げ遅れた何百人もの地球人がサイアに残された。
その「フォボス事件」から20年、地球人はサイアに残された地球人救出のためフォボスに戻ることになる。将来を期待される兵士「ディアス橘・レイナ」は、遠征の任務に張り切っていた。しかし、任務を遂行するうち、新たな仲間と出会い、レイナの世界観が変化していく。真相を探る旅が、今、始まろうとしている。西暦2346年、すべてが変わる。
本作はインディーゲームスタジオのMirai-Laboの開発第一弾タイトルなのですが、こう書くと何ですがとても少人数のスタジオが作ったとは思えない重厚なSFスペースオペラです。もうストーリーの序盤から、人間、メカ、異星人、AIが入り乱れ、挙句の果てには古代の神様まで登場するてんこ盛り具合。しかもその全てのキャラクターに固有の役割や職業、名前が設定されています。これ、普通ならそれなりの規模のゲーム会社が手掛けるレベルのボリュームです。
バトルも「同じ色のボールを3つタップして消すだけ」と書くとカジュアルな内容のように思われるかもしれませんが、これがプレイしてみるとなかなか難しくやり応えがあります。まず最初にどの色をタップするか?で後のプレイが左右されたりします。どの順番でどの色のボールが落ちてくるかはランダムで予測不能なうえに、やけに遅く落ちてくるものもあれば、いきなり凄いスピードで落ちてくるのもあったりと落下パターンがトリッキー。例えば緑が先に落ちてきたのでとりあえずそれをタップしてみても、それからしばらく赤と青がやたらとたくさん落ちてくる場合もあります。またステージが進めば進むほどそのパターンは複雑になり、さらに落ちてくるボールの数も多くなるなど難易度が高くなっていき、しまいにはてんやわんやになって、自分がさっき何色を消したか?そもそもさっき消したのは何個目か?すら分からなくなるほど。常に一瞬の判断力と瞬発力が問われます。
「ボールは上からだけでなく画面上に突然出現することもあります。気を付けて!」
もはや”落ちてくる”ですらない。
「矢印ボールが出てきたら、上に向かってスワイプ!敵に直接攻撃できます。」
”タップして消す”から”スワイプ”に頭を切り替えるのが難しい!
…とは言え、ずっと緊張状態では気分的に疲れてしまうので、ミスなくプレイし続けると「フィーバーモード」に突入するご褒美&一休み的演出も用意されています。
エピソードを読み進めていくと、無料&有料ゲーム内通貨を使ってガチャを引いたり、Getしたキャラクターを合成して強化したりといった一般的なRPG的機能が利用できるようになります。
もし合成強化用のキャラクターが入手しづらい時は、パーツショップで強化用パーツを購入してキャラクターに合成すると良いでしょう。ゲーム内通貨を消費しなければなりませんが、ものによってはキャラクター合成よりも早くレベルアップします。
他にも、ストーリーとは関係なく、どこまでノーミスでプレイし続けられるかを競うご褒美付きスコアアタックモードや曜日限定クエストなども用意されています。
ストーリーやイベントはアップデートによりコンスタントに追加されており、メインストーリーも主人公・レイナを放っておいてロボットとAIが会話するエピソードが出てきたりと多様化していきます。
ちなみに私は第4章で遂にミスを連発してゲームオーバーをやらかしました。まあ有料のゲーム内通貨「ミネラル」を消費すればまた途中からリスタートできるのですが。
なお、スクリーンショットを見ていて気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、ストーリーといい世界観といいキャラクターデザインの作風といい、80年代後半~2000年頃の”ちょっと懐かしいSFスペースオペラ”の雰囲気が漂っていますよね。記事ではお伝えできませんがBGMもそんな感じです。おそらくMirai-Laboのメンバーの皆さんはこの時期のアニメやゲームなどの影響を受けているんじゃないかと思います。