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【レポート】絵や写真が動き出す! スマホを通して作品鑑賞する「動き出す美術館 ARアートミュージアム」を見てきた

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【レポート】絵や写真が動き出す! スマホを通して作品鑑賞する「動き出す美術館 ARアートミュージアム」を見てきた

現在、秋田県秋田市にある秋田拠点センターアルヴェにて、iPhoneとAR技術を利用して作品を鑑賞する美術展「動き出す美術館 ARアートミュージアム」が開催されています。

このイベントは、会場内に展示された作品をそのまま見るのではなく、AR(各超現実)アプリ「ARART」がインストールされたiPhoneのカメラを作品にかざし、画面越しに様々な”変化”を見せる作品の様子を鑑賞する展覧会です。作品はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」やゴッホの「ひまわり」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」などの巨匠の作品(レプリカ)から児童小説「不思議の国のアリス」の挿絵、風景や花の写真と様々ですが、作品ごとにそれぞれ異なった”変化”が現れ、現実と幻想が入り混じった不思議な感覚を味わえます。会場内は展覧会としては異例の「カメラ撮影OK」(ただしフラッシュはNG)でWebやSNSでの公開も歓迎という太っ腹対応で、入場時にアプリを起動した状態の専用端末を無償で貸してくれるので事前準備も要りません。会場内には小学生くらいの子供から高齢者まで幅広い年齢層の来場者がおり、思いがけない”変化”に歓声を上げたり感想を言い合ったりと、通常の美術展ではありえない賑やかな空間となっていました。

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常に充電しまくりの貸出端末。鑑賞中はアプリ起動しっ放しですからね。

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会場の様子はこんな感じ。ARによる作品の変化を楽しむにはもうちょっと近寄って作品全体が画面に収まるようにしなければなりません。必ずしも正面に立たなければならないわけではなく、多少斜めになっても認識できました。

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一番最初に展示されているのはこちら。美術に馴染みのない人でも知っている名作の中の名作、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」です。これをiPhone越しに見ると…

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絵具がバラバラと剥がれ落ち…

【レポート】絵や写真が動き出す! スマホを通して作品鑑賞する「動き出す美術館 ARアートミュージアム」を見てきた
絵の下からレオナルド・ダ・ヴィンチの自画像が出てきました。一説によればダ・ヴィンチは終生この「モナリザ」を手元に置いて自分の顔そのものを手本に加筆し続けたらしく、顔の各パーツのバランスが自画像とピッタリ合っているんですよね。このARによる”変化”ではそれが本当によく分かります。

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こちらは葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」のうちの一枚「神奈川沖浪裏」ですが、波間から何かが出てきました。

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どう見てもゴジラです。

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【レポート】絵や写真が動き出す! スマホを通して作品鑑賞する「動き出す美術館 ARアートミュージアム」を見てきた
こちらは「不思議の国のアリス」の挿絵を順路に従って見ていくことで、まるで止められていた挿絵の時間が動き出したかのような自然なアニメーションと音声により物語を追うことができる「ARの国のアリス」コーナー。ARアプリ「ARART」には画面上でアニメーションを再生する機能だけでなく、そのタイミングに合わせてサウンドも一緒に再生する音声ガイド&BGMのような機能も備わっています。これは動画で見た方が分かりやすいでしょう。

vsmedia -


周りに他の来場者もいてみんな音声を再生していますが、イヤホンやヘッドフォンが無くても十分聞き取れる音質でした。挿絵によってはアリスやウサギが動いて画面からいなくなってしまうものもあり、順番に見ていくことで彼らを追いかけている気分も味わえました。

【レポート】絵や写真が動き出す! スマホを通して作品鑑賞する「動き出す美術館 ARアートミュージアム」を見てきた
こちらは最初からARで鑑賞することを前提に制作された8枚の連作絵画「ウロボロスのトーチ」。絵画、映像、音響によって人為と無為の流れと悠久の時間の中で循環する永遠性を表現した作品で、8枚の絵画には、有史前から古代、近代、現代、未来へと続く事象が描かれています。ちなみに「ウロボロス」とは自分の尾をくわえて円環となった蛇または竜のことで、この「ウロボロスのトーチ」は最後の絵で最初の絵に戻ることが示唆され、まさに「ウロボロス」のような構成になっています。ということは「トーチ」に相当するものはスマートフォンというわけですね。

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この「ウロボロスのトーチ」の特徴は、アニメーションがキャンバスをはみ出し自分の方にまで迫ってくること。またいずれの絵も異なる複数のモチーフを組み合わせた構成になっており、1枚につき3~4種類のアニメーションが再生されるので見どころもいっぱい。何度も繰り返し鑑賞したくなる作品です。

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こちらは屋久島の四季折々の風景を大型パネル4枚で表現した作品。ここまで大きいとさすがに全てのパネルを一度に画面内に収めるのは不可能で、パネル内の”ある一部分”にiPhoneをかざすことで様々な変化が現れます。どこでどんな変化が現れるかは見てのお楽しみ。

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例えば「春」のパネルのある部分では画面全体に雨が降り始めました。苔生した森にしとしと降る春雨は実に趣があります。

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こちらは蕾の状態から花開くまでの花の様子を微速度撮影した映像を使用した作品「モーメンツ・オブ・ブルーム」。写真は蕾の状態ですが、それにiPhoneをかざすとまるで生き返ったように動き出し大輪の花を咲かせます。


開花するまでの時間は短いもので一晩、長いものでは2週間と花の種類によって異なりますが、この作品では高解像度データをもとに、全ての花の開花が15秒に編集されています。

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こちらはテーブル状の額にモノクロの風景写真を収めた「パノラミックな風景」。この展示方法自体にもちゃんと意味があり、写真にiPhoneをかざすとモノクロの状態からカラーに変化し、額が風景をのぞく「窓」のようになります。

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さらにiPhoneを上下左右に傾けることで「窓」から広がる風景を見渡すことができます。中には地球からはるか何万キロも離れた異星の大地の風景もあり、実際には見ることができない広大な宇宙の風景を垣間見られます。

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なお、このイベントで使用されたARアプリ「ARART」は一般向けに公開されており(ダウンロードは無料)、これを手持ちのiPhoneにダウンロードして会場で販売されているグリーティングカードを購入すれば、小さいサイズではありますが自宅でも手軽にARアートを鑑賞できます。イベントは4月9日(日)まで開催されているので、秋田県民、特に秋田市周辺にお住まいの方は足を運んでみて下さい。

開催日時:
3月20日(月・祝)~4月9日(日)
午前10時~午後5時
(最終入場午後4時30分、最終日は午後4時閉館)

会場:
秋田拠点センターアルヴェ 2階多目的ホール

入場料:
一般(中学生以上) 1,000円
こども(小学生以下) 600円
※税込み・3歳以下入場無料、携帯端末貸出無し

主催:
AKT秋田テレビ

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