やってみた コラム

【やってみた】フィンランドのEDMバンドによる間違った日本観の音ゲー「Gaijin Superheroes Game 1」

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正直なところ、初めて彼らの情報を見た時はツッコミどころが多過ぎてどう反応すればいいのか悩みました。

【やってみた】フィンランドのEDMバンドによる間違った日本観の音ゲー「Gaijin Superheroes Game 1」

彼らは日本愛好家のフィンランド人により結成されたEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)グループの「Gaijin Superheroes(ガイジンスーパーヒーローズ)」。彼らは日本文化を心から愛し、日本語のエレクトロ・ダンス・ミュージックを作りたいと望んでいたそうですが、残念ながら日本語ができないため旅行会話集に出てくる単語を使ってファーストシングル「ALL THE JAPANESE GIRLS GO “OOOH!”(日本のギャルはみんな”きゃーっ”ってなるはず)」を制作し先月スマートフォン向けゲームとしてリリースしました(過去記事はこちら)。しかし「日本語ができない」というのは多分ウソです。なぜならプレスリリースが非常に流暢な日本語だったから。以下プレスリリースより抜粋です。

ガイジンスーパーヒーローズは、日本愛好家のフィンランド人ポップグループである。バンドのメンバーは日本文化を心から愛し、日本語の EDM、すなわちエレクトロ・ダンス・ミュージックを作りたい、とかねてから望んでいた。しかし、すでにポップスターで億万長者であるガイジンスーパーヒーローズ、日本への愛は海より深く山より高いのだが、日本語ができない。というわけで歌詞はすべて旅行会話集に出てくる日本語を拝借した。便利だろう!

ボーカルのゴサイ・マスターはこう語る(その語り口はまるでサンプラー・マシンのようである)。「諸君が我々の音楽を聴くには、一曲ごとに1ドル払い、さらにゲームする、あるいは、ゲームを楽しまなければならない。これはまさに、ウィン・ウィン・ウィン・ウィン状態だ!」

Spotifyがたとえビッグアーティストにもごく少額の著作権使用料しか払わないことは有名だが、現在の音楽業界は困窮状態である。しかしそんなことはガイジンスーパーヒーローズには関係がないのでシャンパンを飲んで笑っている。ほぼ存在しないような著作権使用料をあてにするのではなく、ゲーム業界のビジネスモデルを音楽配信のツールにすることを思いついたからである。”

プレスリリースの全文はこちら

ムチャクチャ流暢じゃねえか!それかブレーン的な日本人が裏にいるのかも。いずれにせよ、敢えて狙って「間違った日本観」をモチーフにしているように思えます。まあ日本人だって語学力がないくせに今まで散々妙ちくりんな英語を使って妙ちくりんな曲を作って妙ちくりんなパフォーマンスをしてきましたからね。逆に日本がネタにされたってOKでしょう。

ということで、早速この「Gaijin Superheroes」のファーストシングルにしてスマートフォン向けリズムゲーム「Gaijin Superheroes Game 1」をプレイしてみました。

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こちらが起動直後の画面。普通に日本語が表示されてる!これは特に日本語翻訳版というわけではなく、全世界共通でこの画面です。やっぱり日本語分かってるだろ!モードはEASYとHARDの2種類があります。

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ルールは曲に合わせて歌詞の単語をタップしていくというもの。でも彼らのファーストシングル「ALL THE JAPANESE GIRLS GO “OOOH!”」は現時点ではこのアプリ内でしかフルで聴くことができないので「予習」というものができません。つまり初めて聴いた曲で初めて知る歌詞をタップするということに…

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歌詞自体に特に意味はなく、本当に旅行会話集に載っているような定番の日本語/英単語/フィンランド語が羅列されています。左上から順番に右に向かってタップすりゃいいんでしょ?と思うものの、そこはリズムがあるのでズレると当然失敗となります。

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ゲーム中には多数の彼らの写真と共に日本で撮影されたと思しき写真も使われており、パラパラマンガとコラージュを組み合わせたようなアートワークになっています。

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1〜2回くらい失敗してもゲームオーバーになりませんが、何度も失敗すると途中で曲がストップし、それ以上聴くことができなくなってしまいます。もう一度最初からやり直し。

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とは言え、何回かプレイしているうちに徐々にリズムのパターンがつかめてくるので難なくクリアできるようになります。こうやって「ゲームを通して曲を覚えてもらう」のが彼らの狙いなんですね。

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クリアするとこのようにド派手な演出になります。

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一回クリアするとスタート画面に「AUTOMSTIC!(自動!)」というボタンが出現し、ここから何もしなくても曲だけ聴けるようになります。なので早く曲を聴きたいという人はEASYモードでさっさとゲームをクリアしてしまうとよいでしょう。

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こうなると普通にミュージックビデオを視聴しているのと同じですね。

彼らのプレスリリースによれば、「ほぼ存在しないような著作権使用料をあてにするのではなく、ゲーム業界のビジネスモデルを音楽配信のツールにすることを思いついた」とのことですが、これは結構アリなのではないかと思います。前述のように、ゲーム形式だとプレイすることで楽曲そのものが記憶に残るんですよね。どのみちダウンロード購入するのなら、楽曲データもゲームアプリも手間は変わりませんし。ちなみにスマホゲームを楽曲のプロモーションツールとして使用した先例として、ヘヴィメタルバンドの「Lordi」が2010年にリリースしたiOS向けゲームアプリ「Lordi The Game」があります(リリース当時の記事はこちら ※期間限定配信のため現在はサービス終了)…って、そういえば彼らもフィンランド人だった!考えてみればゲームと音楽って現在のフィンランドのコンテンツ産業に於ける柱的な存在なので、それらを組み合わせたビジネスモデルが出てきても別に不思議ではありません。ただし、ただ楽曲を配信するのと違いゲームは開発のための経費と期間がハンパなくかかるのでムチャクチャ大変ではあるのですが。とりあえず気になった人は試しにダウンロードしてみて下さい。

iOS版はこちら(100円)

Android版はこちら(141円)

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