美しい満月が浮かぶ静かな夜道、虫や鳥の声、風、時々降る雨の音を聞きながら、何をするでもなく、どこかを目指すでもなくただ歩く…この「Blue Moon」はそんな「夜の散歩」をそのまま再現した真の意味の「雰囲気ゲー」です。
本作はスウェーデンのアーティスト・サウンドデザイナー・ミュージシャンのMårten Jonsson氏がたった一人で開発したゲームです。ちなみにもともとの原題は「Star Sky」だったのですが、日本語版をリリースするにあたりなぜかタイトルを「Blue Moon」に変更したとのこと。内容は、夜の街を散歩する主人公を操作して散歩の途中に隠された様々なイベントを見つけていくというもの。同じ場所でも再訪するたび新しい発見や出会いがあり、ゲームというよりはインタラクティブな絵本のような癒しの雰囲気が味わえます。
本作の操作方法は…
画面に1本指で触れ続ける…前方に歩く
画面を2本指で触れ続ける…ちょっとだけ早く歩く
これだけ!
本当にこれだけです。さらに歩くのは右方向(前方)のみで後戻りはできません。なので道の途中で何か見つけても通り過ぎてしまったらアウト。何かイベントが発生する際には直前に「魔法の音楽」が教えてくれますが、これが結構重要だったりします。
しばらく歩くと赤いバラが咲いているのに出くわしました。このように「何か」があると思った時は少し手前で立ち止まってみて下さい。それがイベント発生のトリガーだった場合は前述の「魔法の音楽」が入り主人公が不思議な光に包まれます。なお、その際も特別な操作は必要なく自動的に何かしらのアクションがありますが、早歩きしているとそのまま素通りしてしまうので要注意です。
さらに歩いていくと橋の上で女性(恋人?)が待っていました。なるほど!バラは彼女に贈るためにあったんですね。
その後、女性は主人公の後ろを付いてくるようになりました。夜の散歩の待ち合わせをしていたという設定でしょうか。
さらに歩いていくと妖精らしきものが現れたり…
流れ星が見えたり…
これらのベタ過ぎるロマンチックな雰囲気に流されたのか二人がキスしたり…
最後には夜であるにも関わらず美しい虹が出現しました。
終了後のセーブ画面には「秘密はまだ隠されている」の文字が。そう、本作は一回プレイしただけでは全てのイベントを見ることができません。何度もプレイし、その度に違う場所で立ち止まって様々なパターンを試さなければならないのです。
ある時は家が出てくるし…
またある時は主人公だけ空に飛ばされて雲の中を散歩することもあります。
正直このタイトルはかなり人を選ぶと思います。人によっては「何だこれ!ゲームでもなんでもねえじゃねえか!!」と怒るかもしれません。ゲームだと思ってプレイするとハッキリ言って物足りなく感じますが、日常の中でふとリラックスしたい時や美しいものをノンビリ眺めたくなった時、癒されたい時などに起動するといいかもしれません。