【Casual Connect USAレポート】Zynga流「基本プレイ無料のゲームをデザインする時に考える3つのこと」

 

【Casual Connect USAレポート】Zynga流「基本プレイ無料のゲームをデザインする時に考える3つのこと」1

現在、ソーシャルゲームやモバイル向けのゲームアプリのヒット作の主流は”売り切り型”ではなく基本プレイ無料(F2P:Free to Play)のタイトルです。しかしそれはただ形式が違うだけでなくゲームデザインそのものも全く異なります。というのも、基本プレイ無料のゲームは始めるのも簡単ですが止めるのも簡単なため離脱率が高く、またアイテムや仮想通貨に課金する収益モデルがほとんどでプレイヤーがゲーム内でお金を使ってくれなければ収益は0だからです。基本プレイ無料でありながらアクティブ率を維持し、さらに高い収益を上げるためにはどのようなゲームデザインをするべきでしょうか?米大手ソーシャルゲームディベロッパーZyngaのCCOで農業ソーシャルゲーム「FarmVille 2」の開発に携わったTim LeTourneau氏は「Three Things to Think About When Designing Free-to-Play Games」と題した講演で同社のゲームデザイン手法を解説しました。

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まずLeTourneau氏はミケランジェロの名作「アダムの創造」を見せ、「現在では名画と呼ばれる作品もルネッサンス当時はクライアントの教会の発注によって描かれたコマーシャルアートだった。これは現在のゲーム制作と変わりはない」と説明。コマーシャルアートであるからにはクライアントの意図を無視することはできず、ゲーム開発に於いてそれは「会社の利益を追求」することを意味します。

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次にPopCap Gamesの「Bejeweled」とKing.comの「Candy Crush Saga」を例に挙げ、伝統的な有料ダウンロードゲームと基本プレイ無料ゲームの違いを説明しました。これらはどちらもパズルゲームですが、有料の「Bejeweled」は全プレイヤーに等しく負担が発生するのに対し、無料の「Candy Crush Saga」はアイテム課金したいと思う一部のプレイヤーに負担が発生します。LeTourneau氏はこの違いをふまえ、ゲームデザインに於いてもその点を配慮しなければならないことを指摘しました。

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続けてLeTourneau氏は「基本プレイ無料のゲームにおいてリリースはゴールではなくスタート」であり、そこからアップデートを何度も行い”運営”し続けなければならないことを前提に、当初からゲームを拡張可能なものに設計しなければならないことに言及。さらにただ面白いゲームを作るだけでは不十分で、プレイヤーに長く課金してもらうために経済感覚を持つことと、アクティブ率を維持するため他のプレイヤーと一緒に楽しめるソーシャル要素を加えることがポイントだと語りました。つまり基本プレイ無料のゲームには「中長期に渡る運営を前提とした開発」「経済感覚」「ソーシャル要素」の3点が不可欠というわけです。

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農業ソーシャルゲーム「FarmVille 2」は、旧作「FarmVille」には無かった「資源」(水)という要素を取り入れることでより拡張性の高いゲームにデザインされているとのこと。「FarmVille 2」の農場を管理するには常に「水」が必要で、プレイヤーは水を使って農作物と動物を育て、収穫し、さらに収穫物を使って様々な加工品を作ることができます。つまり農場は水を中心とした一連のエコシステムがある「生きている」存在であり、プレーヤーは「生きている」コミュニティの一員という気分が楽しめます。

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この「育成→収穫→加工」の一連のエコシステムを核に、さらに販売システムやイベントなど様々な要素が重ねられています。LeTourneau氏はこれを「オニオンスキン開発モデル」と説明。タマネギの皮が徐々に積層されていくように、ゲームの基本システムの周囲に拡張要素を重ねていくことが重要だと説明しました。

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続けてLeTourneau氏は、プレイヤーに繰り返しプレイしてもらいつつ課金もしてもらえるよう以下の6ポイントを考慮しながら開発する必要があるとしました。

・1日のうち何回プレイして欲しいか?
・1回あたりどれくらいの時間プレイして欲しいか?
・プレイヤーを食い潰さない適切な消費モデルとは?
・プレイヤーが課金したくなる要素は何か?
・ゲーム内における戦略・技術・運のバランスは適切か?
・フィードバックと収益データの解析はどのように自動化すべきか?

これらのうちどれか一つでもおろそかにすると、プレイヤーの離脱や収益減、下手をするとコミュニティの炎上など手痛いしっぺ返しを食らうそうです。

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そして最後にLeTourneau氏はゲームにおける「ソーシャル性」を4段階のレベルに分けて説明しました。プレイヤーは

1.他のプレイヤーに気付く
2.一緒に何かをやる
3.継続して他のプレイヤー達に関わる
4.自分達のコミュニティを形成する

という順番で他者と協力プレイをするようになるとのことで、ゲームを開始してからできる限りこの段階を進めてもらえるような仕掛けを考えるなければならないと語りました。基本プレイ無料のゲームでは、プレイヤーを引き留める最も強固な要素は人との繋がりというわけです。最後にLeTourneau氏は「ただ何かゲームを開発することは簡単だ。しかし誰にプレイしてもらいたいか?彼らはなぜプレイしてくれるのか?さらにどのようにプレイしてくれるのかを考えることは非常に難しい。しかしそれに向き合うのが基本プレイ無料のゲームデザインだ。」と講演を締めくくりました。

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