【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話

   2012/12/25

先月既にお伝えしましたが株式会社サイバーエージェントが運営する海外向け2D仮想空間「Ameba Pico」が昨日12月17日を以てサービスを終了しました。日本発のグローバル市場向けサービスとしてはそこそこのペースでユーザーも増えていたし、私もログインするたびに海外ユーザーとのチャットを楽しんでいたのでこの決定は非常に残念です。そこで、今となっては貴重になってしまった在りし日のスクリーンショットも交えてAmeba Picoの歴史を振り返りつつ思い出話を書いてみます。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話1
Ameba Picoにログインして一番最初に撮影したスクリーンショット

Ameba Picoは2010年3月にリリースされました。一見アメーバピグの表示が英語になっただけに見えますが、アイテムやエリアのデザインが海外ユーザー向けにアレンジされていたり、アメーバピグでは提供されていないアイテムやエリア、機能がAmeba Picoの方に先に実装されたり(そして後にアメーバピグに”逆輸入”されたり)と、細々としたところが異なっていました。また無課金でアイテムをGETできる手段がいろいろと用意されており、印象としてアメーバピグよりもお金をかけずに遊べる感じでした。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話2
アメーバピグでは有料販売されているゴスロリ服もいろいろあって無料でGET

また機能面にAmeba Picoの方に先に実装され、後にアメーバピグにも導入されたものがかなりありました。その代表的なものが「アイテムを食べる」という機能です。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話3
今ではアメーバピグに当たり前のようにある食べ物アイテムですが、実はAmeba Picoの方が先だったんですよね。これはサービス開始当初より実装されており、自分の部屋や公共エリアにいろいろなアイテムを出して「みんなで飲み食いしようぜ!」と他のユーザーとの交流のきっかけにしている人が多かったです。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話4

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話5
また、Ameba Picoではゲーム的な「クエスト」イベントも行われていました。これは各エリアにいるNPCから様々なクエストを受け、それをこなすごとにアバター用の服飾アイテムが貰えるというもの。大航海エリアで海賊船の船員になったり、江戸エリアで忍者の修行をしたり、クリスマスシーズンにはサンタクロースのお手伝いをしたりetc… クエスト用のNPCやモーション、アイテムはアメーバピグの使い回しではなく新たに作られたもので、今思えば非常にリッチなコンテンツでした。あとクエストを受けるごとにNPCの英語の台詞を読まなければならないので何気に英語の勉強にもなりました。

しかし何より英語の勉強になったのは他のユーザーとのチャットです。Ameba Picoは英語サービスなのでもちろん世界中のユーザーがログインしていましたが、私は英語圏のユーザーよりもアジア圏のユーザーによく会いました。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話7
Ameba Picoではプロフィール欄に自分の在住国を国旗で表示できるようになっていたのですが、日の丸を表示しているとよく外国人ユーザーから「お前は本物の日本人か?」と話しかけられました。「そうだよ」と答えると、その後には「小栗旬のファンなんだけどなんか情報ない?」だの「城田優が出てる時代劇(当時放送されていたNHK大河ドラマ「天地人」のこと)ってどんな内容?」だの「私ケロロ軍曹の大ファン!特にギロロが好き!」だのコンテンツに関する話題の集中砲火。やはり親日的な外国人ユーザーがよくログインしていたためか、海外にも多くのファンを持つヴィジュアル系バンドの「Alice Nine」はアメーバピグよりも先にAmebaPicoで仮想アイテム・プロモーションをしていました

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話7
課金アイテムを身に着けている海外のAlice Nineファン。確かどちらもインドネシア人でした。それなのに英文チャットが爆速でビビったものです。

Ameba PicoはFacebookアプリとしても提供されていましたが基本的に年齢制限は無く、ティーンエイジャーも結構ログインしているようでした。私は上記のようにインドネシア人やフィリピン人、バングラディッシュ人の女子高生とチャットしたことがあるのですが、みんな当たり前のように英文チャットができ、しかも速度も英語圏の人とほとんど変わらないくらい速く、つくづくYahoo!翻訳頼みの自分が情けなくなったものです。バングラディッシュ人の女子高生は「家にはPCもネットもないけど学校に来れば使えるから毎日それが楽しみで学校に通ってる!今も学校のPCからログインしてるんだー」と言っていました。昔の「給食」が果たした役割を現在はPCとネットが果たしているんですね。しかし生徒が自由に使えるPCを設置してるなんて秋田県の高校よりバングラディッシュの高校の方が良い環境ですよ。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話8

…で、ある日、Ameba Picoの公共エリアの一つである公園で「I am a Chinese! I love heavy metal! I love Seikima-II!」とずーーーっと連呼しているユーザーを見かけました。

121212 -再集結大黒ミサ-  (3枚組ALBUM)
もはや説明不要の日本HR/HM界に欠かすことのできないバンド「聖飢魔II」

何!聖飢魔IIだと!!私を小学生以来の聖飢魔II信者(聖飢魔IIのファンのことを”信者”と言います)と知ってのことか!!!と、思わず「I’m Japanese huge Seikima-II fan!」とか何とか適当な英語で話しかけたところ相手大興奮。聞いたところ相手は中国在住の大学院生男子で、小学校の修学旅行で東京に行った際、偶然見かけた聖飢魔IIのポスターに「心を射抜かれた」とのこと。しかし、それから聖飢魔IIの情報を調べようとしたものの中国には全く情報が入ってこず、インターネットは規制がかかっているうえにまだ子供だったから個人用PCを買う金もない。そこで好きなだけPCが使える大学に入ろうと思って勉強し、そして大学に入ってからはグレートファイアウォール(中国国内のネットユーザーに都合の悪い情報にアクセスできないようにフィルタリングする検閲システム「金盾」のこと)を突破する裏技も覚え、英語と日本語も学習し、今はTwitterやFacebook、YouTubeにも普通にアクセスして楽しんでいるのだとか。ちなみに彼は聖飢魔IIをきっかけに今ではすっかり立派なメタラーとなり、アメリカのバンドではMETALLICAが、日本のバンドでは聖飢魔II以外にマキシマム ザ ホルモンが好きだとか。

現在の日本ではソーシャルメディア、仮想空間、ソーシャルゲーム、アプリetc… といったものは「リアルの友達」とのコミュニケーションをより強めるもの、または楽しむものとされており、むしろ見知らぬ誰かと友達になる使い方は「出会い系」に繋がる危険なことと捉えられがちです。しかし本当にそうでしょうか?私は「見知らぬ誰か」、それも海外にいる異人種・異民族と繋がれることこそが「ソーシャル」の最大の魅力ではないかと思っています。私はAmeba Picoで上記の中国人の聖飢魔II信者や東南アジアの女子高生とチャットをして、自分はなんと恵まれた環境にいるのだろうか、そしてそんな恵まれた環境にいながらなんとボンヤリした人生を過ごしていたか心底反省しました。インターネット検閲が無いこと、自国語である程度の情報が得られることがいかに幸せなことか。しかし日本にいて日本人とばかり付き合っていていてはそれに気付くことはできません。

また、日本のアーティスト、芸能人及びコンテンツは「クールジャパン」だとか何とか言ってるくせに全然海外への情報発信ができていないことにも改めて気付かされました。中国人の聖飢魔II信者曰く、「日本のアーティストは多言語じゃなくていいからとりあえず英語でTwitterやFacebookなどのSNSを使って欲しい。そうすればもっと早く情報を見られるのに。日本語の翻訳は難しい!」とぼやいていました。ちなみに現在中国では大卒の人なら大抵英語はなんとかなるとのこと。

そこで提案なのですが、いっそアメーバピグは英語サポートを始めてしまえばよいのではないでしょうか?Ameba Picoも途中から日本語サポートを行っていたのでそれの逆をやるような感じで。そうすればAmeba Picoにログインしていた海外ユーザーもアメーバピグに”戻って”くるかもしれません。特に今はLINEのスタンプのようにSNSが日本文化を海外に紹介するプラットフォームの役目を果たしていたりもするし、Amebaには多くの芸能人ユーザーがいるので、彼らとのタイアップ企画が英語でもある程度楽しめるようになれば海外ユーザーは喜ぶと思うのです。

【Ameba Pico】Ameba Picoで中国人の聖飢魔II信者に会った話9
ONE PIECEエリアとか絶対海外ユーザーにもウケそう。

尤も現時点でもアメーバピグには海外ユーザーがいるのですが、UIの表記が英語になればより多くの海外ユーザーが気楽にログインできるようになるでしょう。アメーバピグをアメーバピグのままグローバル化する、結構上手くいきそうな気がするのですがどうでしょう?

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